美術教育あれこれ日記(2004年)

 The Sense Of Wonder  学力論が盛んな今こそ読みたい

04/01/31(2272)

「こんな本を読みました」に「センス・オブ・ワンダー」を追加しました。素敵な文章です。
 主張もズシリときます。私の好きな本です。親になった人にも勧めています。学力を伸ばす原点はやはり、Sense Of Wonderだと思います。
 ある3年生との会話の中で「今まで感動した授業とかある?」と聞いたら、理科の授業のことをあげていました。(美術って言ってほしかったけど)「だって、なるほど、とか、そういうことだったんだーと、思う事がけっこうあるから」と答えていました。
 現在私の学校の理科の先生は4人いますが、みなさん、たいへん熱心に教材研究をしていますし、学力の基礎基本を知識においていません。
 美術教育を考えていくためにも、他教科からも学びながらと思っています。
 ちなみに、抽象美術のところでは、自然界が生み出す美しい形として「放物線」などがあることにも触れています。ポスターの授業をしていた頃は、日本国憲法を学習したあとにしていました。


美術教育をどう広めていくか


☆同じ石狩管内教育研究会図工美術部会の川名先生と長電話をしてしまいました。彼は第53次合同教育研究全道集会の第6分科会の「美術教育をどう進めるか」を代表して全国教研に参加したのですが、全国の様々な実践を教えて頂いて(特に九州の人たちは熱いと言っていました)非常におもしろかったです。 
 昨年は函館の木村先生が全国大会に行き、学んだ事を、全道にしっかり返してくれました。
 さて、話をしていて、「会津造形サークル」や「A.E.net」あるいは「絵の中の子どもたち(国土社)」の研究会などのように、有志が集まり、定例の研修会ができたらいいなと思いました。二人の会話で「なぜその題材に取り組むのか、子どもに何を育てようとしたのか」「生徒の思い』「美術教育をどう広めていくか」ということが再度、大事なことなんだよなーと思いました。

☆熊本県図工・美術教育研究会の『Web子ども美術館」が大幅リニューアル、中心になって取り組んだ西尾先生の仕事には脱帽です。
 さて、このWeb子ども美術館で画期的なのは「作品解説ナビ」です。これは、今後の美術教育のあり方を考えていくにあたり、このように「作品を子どもの思いや姿と共にとらえていく」ことが、ますます重要になっていくと思います。
 かつて現代美術社が「少年の美術」という教科書を出版しましたが、そこには、子どもの思いがくみとれるよう、感想文がたくさん載っていました。文字の多い美術の教科書だったのです。また、いわゆる上手な絵のオンパレードとも違いました。このことは、その後の各社の教科書づくりに大きな影響を与えたと思っています。「作品解説ナビ」を見ていて、そんなことを思い出しました。

☆私の「豊かな美術教育を!」がYahoo!の学習指導>美術に登録されました。ネットワークが広がるとよいのですが。

04/01/29(2178)

☆「こんな本を読みました」に「絵のなかの子どもたち」を追加しました。改めて読み直したら、充実した研究会に参加したような気分です

美術について考えるヒント~美術家のことば


04/01/26(2107)

「ピースフル アートランド びそう」のトビー高橋さんのサイトにリンクをして頂きました(私のリンク集の「資料」にあります)。おまけに、長い紹介文までつけていただきました。(ほめられすぎですが、正直うれしい!)教育関係者以外の方々と交流する事で、また違った何かが見えてきそうな気がします。
 教育界以外のところから「美術教育は大事だよ!」と声を出して頂けることは、大きな支えになります。

☆今日の1年生の彫刻(塑造)の授業で、制作中に、授業に関係ない話をする生徒が出てきました。うーん、まだまだですね。注意しなければどうなっていただろうと考えてしまいました。でも、そのあとやった相互評価は、みんな、よくやっていました。

★小学校の先生から(図工の指導に自信がないということで)授業に相談を持ちかけられ、話しているうちによいアイディアが生まれました。相談するっていいですね。自分も勉強になります。
 そして「図工美術は夢を育む教科だから」と私が言うと、「自分自身をこんなふうに表現出来る教科はほかにないです。図工は大事ですね!」と言ってくれました。

 自己肯定できない子ども


・今日、野口良行先生の親対象の講演会に参加しました。
テーマは「生と性を語れる、お父さん、お母さん」というものですが、感銘をうけました。
 その中で、教育観が間違っていたら改めて行けてこそ、本当の教育ができると話しておられました。
実は私もリンク集をつくりながら、他の実践や様々な考え方を知り、揺れることも多いので、いい年してと思う気持ちもありましたが、やはり、揺れながらもよいものを目指していこうと、また思いました。
 また講演の中で「自己否定」「自己肯定できない」子どもの数の多さについて、指摘しておりましたが、今後教育全体の中で考えていかなければならないことだと思います。当然、美術の授業のありかたも含めて。


☆「生徒の作品集」に「抽象絵画2年生」を加えました。この授業は、普段はにぎやかな生徒も、とにかく集中します。
 黙々と作品に取り組む姿は、本当にかわいい。作品には生徒の感想から一部をのせました。

☆リンク集に附属横浜中学校の三浦先生の「美術準備室」を加えました。作品に対して三浦先生のコメントがいいなと思いました。
 評価規準がいつのまにか評定規準という雰囲気ですが、評価は、本来温かなものであるべきと思います(厳しさも含めて)。
 子どもの活動を見て、常に目標に達成しているかいないかという見方になってしまうと大事なことを忘れそうな気がします。

☆リンク集に筑波大学の「芸術教育学直江研究室」を加えました。「異文化を通して見た美術教育」というレポートが紹介されています。
美術教育のあり方を考える上で、新たな視点を加えてくれると思います。

美術の共同制作


04/01/23 (2007)

 新潟の堀川先生のHPをリンクに加えました。実践は7年前のものだそうですが、学ぶべきことがたくさんあります。特に「共同制作」については、その問題点を押さえた上で明確な理論をもとに実践されています。
 私自身の「共同制作」に対する価値を再認識させられました。
また、教科を通した「学校づくり」などの視点があり、美術という教科の存在感を示されています。

☆今、3年生の「自分の存在証明」の授業がおもしろいです。生徒はいったい何を主題にしてものをつくるのか、わくわくします。

美術教育の名言

04/01/17(1781)

「こんな本を読みました」を追加しました。第1冊目は「美術教育の名言」です。先人から学びながら、今と未来を考えていきたいと思っています。

冬休みの課題に水彩画

04/01/16(1740)

・昨日から始業式。冬休みの課題の絵画作品が集まってきました。テーマは自由なので子どもが「何を描いてきたか」が本当におもしろいのです。ペットや部活動の道具や自分の趣味のものを描いてきている生徒は、非常に意欲的に描いてくる傾向が強く、その表現を見て驚くこと多いです。学級で冬休みの絵の鑑賞会を、します(といっても、生徒の感想を聞きながらの私の講評が主ですが)。絵の見るおもしろさを、感じとって欲しいのです。みんな違うからおもしろい。この課題は鑑賞とセットとして成り立つものと考えています。
 また、子ども絵に関わって、その子の親の会話(評価)を聞くと様々だなーと思います。子どもの絵のとらえ方について親にも理解してもらうようなことも、しなくてはと思ったりします。

指導要領の変遷


リンク集に「指導要領の変遷」を加えました。一覧表にまとまっていて、とてもわかりやすい。大阪府教育センターさんの仕事です。感謝。
美術教育の流れをとらえたり、比較したり、今後の美術教育のあり方を考える上で、の歴史を知っておくことも大切だと考えています。
日頃なかなか、そこまでは手がまわらないのが、現状ですが。

クロッキーについて

04/01/14

「作品集」に1年生の「クロッキー」を加えました。「作品」ではなく「練習」です。
指導法は、「脳の右側で描け」(B・エドワーズ著/マール社)に似ている部分があって驚いたし、なぜか少し、安心もしました。
けれども「一定の指導(教授)方法」で見た目の表現がよくなっていくということに対して、限界と「危険性」を把握しておきたいと思っています。

04/01/11

☆リンク集の「背景」に「企業メセナ」などを加えました。
 人間形成に貢献する美術教育であるということを大前提としながら、教科存続を考えると、社会に貢献する(結局は人にかえっていくのだが)美術のよさもアピールする必用があると思います。そのために世の中の動きをとらえておきたいので。
 ただベースには「教育基本法」があることを忘れてはならないし、その中で美術の果たす役割を考えていきたいです。

☆「美術教育雑感」に「教室から出た美術」を加えました。「伊丹っ子美術館(岡田先生)」は、学校あげてのフェスティバル。「宇喜田美術館(川島先生)」は美術のよさを多くの人にわかってもらえます。
 川島先生は「学校美術展」というリンク集をたちあげたので、みなさんで情報提供しましょう

児童画への無理解が生むこわさ


04/02/28 (3731)

 娘と一緒に親子で壁画を描くというイベントに参加しました。
未来のまちを描くというテーマです。いっしょに参加していた幼稚園児と小学校1年生の兄弟の母親と祖母の発言が気になりました。
 園児が「雪だるまの町がいい」といって描きだすと「もっとていねいに描きなさい」ウルトラマンがいいと言うと「そんなの?他にないの」
 小学校1年生の姉がツリーハウスの下がきを描いてパネルに描きだすと「あれ、下がきと違うでしょ。線はていねいに大きく描きなさい」
 5年生の私の娘が地下の都市を描こうとしたら、祖母の方が「未来なのに地下室はいやだなー」とぽつり。
 私は単なる一親なのですが、以後は私が中心に声かけし、大人の口出しを牽制しなければなりませんでした。大人はよかれと思って言っているのでしょうが。
 実は今、幼児を持つ親へ児童画についての啓蒙をしなければならないと考えている矢先の出来事でした。

04/02/26 (3614)

☆リンク集>「会津造形サークル平塚出張所」の「みしらず通信」を見せていただきました。一人の子の表現を追った研究がよかったし、そのあとの考察も、子どもの発達と美術教育のあり方をふまえた本質的な話し合いだと思いました。読んでいると研究会に参加しているような感覚になります。わたしが参加していたら、平塚さんが話されるような内容を話している気がします。刺激になります。

授業の自己評価から

04/02/25 (3560)

 1年生彫刻授業を終えて、生徒に授業の自己評価をしてもらいました。
その中に「身に付いた態度や感じ方、考え方は何だと思いますか」という項目を加えました。
それは川名先生(同じ北海道石狩管内)と電話で話したとき、「授業のしめくくり」はとても重要だとあらためて考えてみたことがきっかけです。さらに「なぜ美術を学ぶのか」ということを逆に授業を受ける側(生徒)の視点からも考えていくことも大切と考えたからです。
生徒は、この項目を書くにあたり、授業を振り返り、自分の学びに改めて気がつきますし、発見もあるようです。またこれらの自己評価を読んでいると授業改善のポイントが見えてきます。
 以下に代表的な生徒の言葉をあげます。
「なんとなくしか見ていなかった作品。でも、この作品はどのような気持ちがこもっているか見ることができるようになった。」「やっぱり、作品に心を入れる事だと思う。上手に出来る事だけじゃないとということ』「上手にリアルにつくることも大切だけど、気持ちをこめてつくれば、見る人にもそのことが伝わると思いました」「美術に対する感じ方が変わった」「美術でつくることの楽しさ」「集中力がついた」「くらべる力…観察力がついた」「形を面でとらえる力と集中力が今まで以上に身に付いたと思います」「いろいろな方向から観察する力。一つのものをつくるのに真剣になって一生懸命取り組む態度」「いろいろな視点から見ると見え方が違っておもしろかった」「空間の考え方」「自分の目標を意識すると集中出来るんだなあと思いました」「見る力」「手の感触」「うまくやろうとする考えをやめて、心でつくってよかったです』

ネイチャークラフト

04/02/22 (3438)

 札幌定山渓自然の村に家族で泊まってきました。ここのネイチャークラフトはいつやっても楽しい。自然の恵みをもとに造形物をつくる、この楽しさはなかなかのものです。ホットボンドが、この加工を容易にしてくれます(工作は接着がポイント)
制作をしていて、改めて自然の造形のおもしろさに気がつきます。
 この自然の村では「素材」をきちんと分類しているので楽しくつくる環境になっています。

印刷物に子どもの絵を!

04/02/20(3356)

 時節柄、次年度計画の資料づくりや入学説明会、卒業式等、学校では多数の冊子をつくりますが、作品掲載の依頼が多くなります。ざっと50~60点ほどの作品がいろいろな人の目に触れることになります。こうやって子供の作品をいろいろなところで発表することは、美術教育のよさを理解してもらうひとつの手だてだと思います。
 石狩では「石狩の教育」に、児童生徒の作品を掲載していただくようになってから、もう10年以上になります。「教育石狩」でも毎号子供の絵が作者の言葉や指導者の言葉とともに紹介されるようになりました。
 教育委員会や各市町村の研究団体あるいは市が発行する各種冊子など、まだまだ味気ないものが多いので、組織として作品を提供できる体制をつくればよいのでしょうね。言ってみれば著作権フリーの画像データ集。本文のカットなどは子供の素描を使うとか。
 こう書いてきて、思いつきました。メールやオンライン上のサーバーを活用し各学校の先生から作品を募集すればよいのだと。そういえば、今回は石狩造形教育連盟として、「石狩の作品集」に「石狩管内教育美術展」の作品をCDにして手渡したのでした。うーん、こう書いているうちに、すぐできそうなアイディアが出てきそうです。少し考えてみようかなと思います。
  そういえば、学校の生徒会誌で委員会が生徒会誌のカットを全校生徒から募集したことや、「千歳民報」さんに頼んでシリーズで市内の子どもの作品を紹介するという企画を持ち込んで、実現したこともありました。転勤とともになくなってしまいました。やはり組織として考えなければ続きませんね。

04/02/19 (3326)

・今日の1年生の彫刻の授業。生徒達は出来上がった作品を教室の棚にそろり、そろりと静かに並べていました。自分のつくった作品を大事にしている姿を見ているとうれしくなりました。

コーチング


「コーチングセンスが身につくスキル」岸英光著(あさ出版)に次のような言葉がありました。
「よく「魚をほしがっている人には魚を与えるのではなく、魚のとり方を教えなさい」といいます。しかし、それはコーチングではなくティーチングです。魚をほしがっている人に本当に魚をとらせるためには、その人に魚をよく観察させ、その人自身が魚のとり方を編み出さなければならないのです。それができればその人は、魚だけでなく鳥も、ウサギもとれるようになるでしょう。つまり「観察させ、方法を編み出すスキル」がコーチングのスキルなのです。」

04/02/18(3295)

☆「こんな本を読みました」に安野光雅氏の「絵のある人生~見る楽しみ、描く喜び」を加えました。生涯教育を意識しての美術教育を考えたとき、参考になる本です。授業づくりのヒントになることも書いてあります。
「生徒作品集」の「スケッチを楽しもう!」や「抽象絵画」は大人になっても気楽に美術に親しみ、楽しんでほしいという願いがあってはじめた授業です。

教室にあたたかい雰囲気


☆3年生の存在証明の授業で、教室の前に立って生徒が思い思いに制作している姿を見ているとかわいいと思いました。
 今回の授業は安易な表現に流れる生徒も出てくる等の反省点もありますが、なんだか教室が、あたたかい雰囲気でつつまれているように感じします。
 そうすると、ついついこれで、いいかなーと思ったり、いや自己満足の授業ではないかな、慣れに甘んじてはいないかなと思ったり。揺れてる私がいます。もっと充実した授業をつくっていきたいと思います。

Web実践資料

04/02/17(3264)
 「熊本県図画工作美術研究会」のHPが更新されていました。西尾先生は寝ているのかなと心配するくらい、精力的な更新作業です。注目しているのは「Web実践資料」です。多くの教師が連携しながらこのようなサイトを構築されていることに特に意義を感じます。互いに刺激しあい、学びあう場の提供だと思います。こうやって学びあうことが結局は子どもの学びに還元されていくことになると思います。
「長野県中学校美術教育連盟」の若松先生の実践発表を見ました。
 自分の「存在証明」や「想像の絵」の授業と対比させながら、見させていただきました。違う角度から自分の実践について考えてみる機会を与えてくれました。これもやはり作品とともに授業者の考えが実践資料と共に公開されているからだと思います。

04/02/13(3115)

・「リンク集」の「資料室」に「形FORMEフォルム」を加えました。日本文教出版のものです。情報の質も量も素晴らしい。研究者や全国の先生方が執筆しています。

スケッチを楽しもう!

04/02/12 (3049)

「生徒の作品集」に「スケッチを楽しもう!」を加えました。これは大人になったてから、気軽に「スケッチでもしてみようかな」と思ってほしいと願って設定した題材です。
 また、クロッキーでの指導で、教師側で見て描く手だてを限定したので、「絵には決まった描き方があるのだ」ととらえられてはいけないからです。風景スケッチは非常に楽しんで描いていました。実質的に絵を描いた時間は多くて40分くらいです。一人あたり1~4枚ほど描いていました。2枚が多かったです。多様な線が出てきました。見ている私が楽しかった。
この指導は元々は2年生の鉛筆デッサンのあとに水彩スケッチとして指導していたものです。この時は美術の授業が2時間続きで可能でした。なお、作品は1クラス全員分を載せました。

美術教育の基礎知識

04/02/09(2915)

「美術教育あれこれ>こんな本を読みました」に「美術教育の基礎知識」を加えました。ニュートラルな内容で、おすすめの一冊。この内容で2500円は安いと思います。これから美術の先生を目指している方には、特におすすめしたいと思います。ついつい現場で授業をしていると、視野が狭くなったりしがちなので、そういう意味でもあったらよい本です。

☆先日、制作への意欲の持てない生徒と話し込みました。こういう生徒へは早めの援助が必要なのに、気がついてあげなかったことを深く反省。授業での個々への対応の見通しが甘いからです。
 今日、廊下で3年生が「今日美術ないねー」と話しかけてきました。「毎日美術があればいいのに」と言ってくれた生徒もいました。こんな言葉に救われました。

04/02/08(2875)

☆「ピースフル アートランド びそう」(リンク集>資料)のトビー高橋さんから特に抽象絵画に関心を寄せていただき、激励のメッセージを送って頂きました。(作品の出来映えが、どうだとかではなく、生徒の感想にも注目していただけました。美術教育で何が大事かを理解していただいて本当にうれしい限りです)美術教育関係者以外の方からのエールは大変心強いものです。なお、「Peaceful Art Land B-sou」さんは、美術教育を考えていく上で参考になる資料が豊富です。「美術家の言葉」が多数紹介されています。

☆ダウンロード美術資料に「抽象絵画廊下掲示資料.doc」を加えました。この授業は全員の作品を廊下に掲示し、私のコメントを加えました。生徒はもちろん、同僚や親あるいは来客に理解していただきたかったのです。なお、「美術教育あれこれ」>「美術教育雑感」>「生活と美術」、「美術って何だろう」もあわせてご覧頂けるとありがたいです。


おすすめホームページ:
☆Web子ども美術館
★会津造形サークル

美術館で生き生き活動!

04/03/15(4510)

・晴らしいサイトを見つけました。茨城近代美術館で学芸員をされている山本さんのサイトです。美術館と学校との連携はどうあるべきかを示す先進的な取り組みを紹介してくれています。子どもと美術の関わりを学校現場とはまた違った角度からとらえることができます。
内容も豊富です。リンク集>美術館との連携>「Love-Art-Kids」を、ぜひご覧下さい。

その年齢だからこそ描ける絵


04/03/14(4464)

・小学校5年生の私の娘が、たまたま幼稚園の時に使っていた「スケッチブック(おえかきちょう)」を見て、「あー、楽しい絵。今ならこんな風にかきたくても描けないなー。なつかしいなー。」と言いました。
小学校5年生であれば私はてっきり、へたくそな表現だととらえるのではないかと思っていたため、娘の一言は意外でした。
5年生でも幼稚園の絵のよさを理解出来るんだなーということを発見しました。
絵画の指導は「その年齢だからこそ、その子だからこそ描ける絵」にすることが大事なんだよなと改めて思いました。

子どもが 表現する場をつくる

04/03/13

・感動的な卒業式でした。入学した頃はどうなるとやらと心配されていた学年でした。
しかし、学年があがるにつれてよくなってきたのは学年団のチームワークの賜物だとつくづく思いました。卒業式のその日、受付で子どもが書いた「親への手紙」が手渡されました。
表現する場をつくるということがいかに大切かを改めて感じました。
言葉も絵も歌も。
「自己表現」は、今ある自分を表に出すということよりも、自分を見つめ、自分を発見し、新たな価値に気づくことが大切ではないかと思います。それは自己肯定感につながっていくように思えます。

授業の感想〜授業改善


04/03/12(4373)

・存在証明の生徒感想文。作品と合わせて読むと、新たな発見があります。
生徒にはいつも「この題材を通して、感じた事、考えた事、発見した事等を書いてください。」ということで作文を書いてもらっています。
この作文は授業改善に欠かせないものになっています。また、作品だけからは理解出来ない事も、作文を読んでわかることも多いのです。1学年200人以上いますから、話すと言っても限界がありますし。今回も作文を読んだり、作品を見ながら、いりいろなことを思いました。
卒業かー、寂しいな。

04/03/11(4335)

・ある生徒の作品が未完成のまま美術室にあったので、本人に「どうするの?」と聞いたら「描きたかったので、家で描いてきます」私は「描きたかった」という彼の返事がうれしかったので、担任にそのことを伝えたら、日頃静かで目立たない彼が、卒業文集でも、たくさんの文を書いているのを見せてもらいました。
担任と私で、やっぱり自分を表現したいんだよねという話になりました。
ここにも教科の存在理由があると、あらためて思いました。

04/03/09(4254)

・今日卒業作品展(存在証明)の作品を完成させて持ってきた生徒がいました。
放課後描いていた生徒も。このような姿に出会うとうれしいです。作品も一部並べ始めました。先生方からも好評。美術のよさはまずは職場の仲間から理解してもらうことですよね。感想を言ってくれた先生には必ず、ありがとうを言っています。私も新たな発見ができることもあります。

・熊本の西尾さんから「Web子ども美術館」の英語版が完成したと連絡をいただきました。ありがとう。作品解説が400人分、データベースの作品は5000。「美術」を元気にしてくれる取り組みです。さらにメーリングリストも考えているというから、みんなで協力もしていきたいですね。義務教育で必修教科として「美術」を、残すためにもみんなで連携していきましょう!また美術教育関係以外の方からの理解を得るのも大事な事ですよね。

04/03/07 (4168)

<更新>
「美術教育あれこれ>美術教育雑感」に「教育課程の編成」と「題材設定の理由」を加えました。どちらも日頃大事に考えている事です。

04/03/05 (4058)

・熊本図工美術教育研究会の「Web子ども美術館」は英語版に対応。西尾さん、やりましたね!世界に向けて発信です。
 リンク集>美術教育研究会>「図画工作科」の川島さんも以前から国際的な視点からも取り組んでいます。
 またリンク集>図工美術教育研究会の「Art Education福本研究室」ではInSEAのことについていろいろな動きを紹介してくれています(なお、福本先生InSEAの評議委員です)。
「芸術教育学直江研究室」では異文化から見た美術教育を取り上げています。これらのサイトを見せていただくことで、今の美術教育のあり方も別の視点からとらえられ、興味深いです。広い視点を持つと自分の実践が客観的に見えてきたりしますので、おもしろいです。

 その一方で滝沢さんとやりとりしながら、免許がなくて仕方なく、「美術の授業」を持たされている(大変だろうなーと思います)先生方がいます。そんな先生達もサポートしなければと思ったり。北海道はそのような状況が多いですし。これもまた大きな課題です。地域によっては免許を持たないで美術を教えている人のための美術の授業のための研修会を持っているところもあります。
 こうやって、いろいろな方々と交流してく事は刺激になります。ありがたいことです。

04/03/04(4010)

・今日完成した彫刻作品に色を塗りました。今回は黄銅/赤銅/青銅/いぶし銀の豪華4色からの選択(塗らないという選択もあり)。さらに胴系の色は青さび/黒さびがあるのでバリエーション豊富。もう教室中、今までの授業とはまったく違ってわいわいがやがや笑顔笑顔。おまけに異臭はするは、瓶を落として割ってしまうは、でも楽しい。生徒から「おー!」「かっこよくなった」「なんかロダンぽい」「この表面(地肌)が、なんかいい。」などの声も。作品が生まれ変わったという感覚なんですね。
 授業では「自分の部屋に飾るんだからね」と強調してきました。

04/03/03(3974)

・函館の木村先生によると、近く「函館美研の実践集録」の製本作業をするとのこと。もちろん「石狩」でもつくっています。こうやって考えると、各地区で先生方のつくったレポートをWEB上で公開する事もできますね。各地区でサイトを立ち上げればおもしろいと思いますが、忙しいですからね。私のように個人でやる分にはマイペースでやれますが。
 リンク集>各地区の研究団体>「熊本県図工美術教育研究会」の「実践事例」の「資料Web」は読みやすいですね。私も参考になる事例を発見し、喜んでいます。
 今「美術関連検索サイト」の滝沢さんが全国の情報の共有化を構想中ですので、上に書いた事が別の形で現実に向けて歩みだしつつあります。

04/03/02(3902)

・リンク集>資料室>「ピースフルアートランドびそう」のトビー高橋さんからメールをいただきました。この「あれこれ日記」に注目してくださっているとのことで、大変うれしいです。

・ダウンロード美術資料集>「美術の言葉集」は、美術の先生方に役に立つ資料集と思います。(WORD文書になっています)あわせて「ピースフルアートランドびそう」さんの「美術家の言葉」も役立つ資料となっています。なお、同サイトにピカソの言葉がUPされました。ピンとくる言葉がありました。限られた時間ですから本も多数読む訳にもいかず、大変ありがたいことだと思います。

04/02/29(3787)

・リンク集>美術教育研究会>「美術関連検索サイト」の滝沢さんが「美術教育実践アーカイブ計画中。ご協力いただける先生方募集中!ファイル共有「情報の共有化」の一環として取り組みたい」との事。私も何か協力をできないかと思っています。(私が自分のサイトを立ち上げた頃、滝沢さんからアドバスもいただいたりで感謝しています)
 美術教科の存続を考えると私たちが協力しあい、実践の質を高めて行く事は急務だと思うのです。動向は掲示板を見るとわかります。

<更新>
リンク集>資料室に「武蔵野美術大学造形学部通信教育課程」を加えました。その中の「造形ファイル」は学生用ですが、高校生や中学生でも使えそうですし、教師の勉強にもなります。担当しているのは大坪先生です(中等教育の現場でも20数年のキャリア)。今後幼稚園から社会教育全体を見据えての連携が大切とのお考えを持っているとのことで共感を覚えました。

・以上の情報はリンク集>各地区の美術教育研究会>「熊本県図画工作美術教育研究会」(Web子ども美術館)の「掲示板」をきっかけに知りました。「掲示板」は時としてかなり有効な情報交流の場となると思います。互いに書き込むとお互い刺激になりそうですね。



おすすめホームページ:
☆美術関連検索サイト
☆Child Art Museum
*題材設定の理由




他のHPから学ぶ



04/03/29(5195)

・「Love Art Kids」の山本さんが4月から高学年から中学生を対象としたワークショップ(茨城県近代美術館)をするそうです。学校教育とは、また違うもう一つの美術教育です。そこから共通点や差異を見つけることで、すべきことが見えてくるのではないかという気がしています。

04/03/28(5132)

感動したから描く


・娘の飼育していたアトラスオオカブトムシが羽化しました。(外国産のカブトムシを飼育するのは邪道だと思っていたのですが)オスは2頭目。黒光りするその迫力。じっくり見るときれいでした。娘が水彩色鉛筆でスケッチしました。感動を描いているのだなーと思いました。
 小学校ではザリガニを描くという授業がありますが、同じ題材でも自分たちが教室で育てているものと、授業のために用意したものでは、違った授業になるでしょう。ちなみに私の娘が授業でも描きましたが、「チョビ」(クラスで飼っているザリガニの名前)を描いたと言っていました。素敵な題材です。

04/03/25 (4994)

おすすめの検索サイトART NAVI


「リンク集」>「資料室」に「ART NAVI」を加えました。
 このサイトはリンク集や検索エンジンから成り立っています。アートナビさんでは「ユーザーの方々に安心してご利用いただけるよう、掲載するサイトを必ず訪れ、確かな情報を発信し、管理・運営を行っています。」ということで良質の情報を提供してくれています。
 さらに言葉を紹介します。「太古の昔から様々な物事を、色々な形で表現してきた先人達。その表現はやがて人類が発展すると共に文化を作り、文明となり、国境を越えて拡がり価値を見出してきました。アルタミラの洞窟壁画等に見られるように、私たちの遠い祖先は、素晴らしい芸術を大切な遺産として、たくさん残しています。こうした「アート」を生みだす力は、現代にもしっかりと根をはり、私たちの中に流れています。子供たちがみんな、落書きやガラクタ遊びが大好きなのも、遠い祖先から受け継いだ「アートを楽しむ」というDNAなのかもしれません。そしてそのDNAは年齢や性別に関係なく、誰もが持っているものだと思います。」
 こんなセンスで運営されているサイトです。「Topics」や「旬のアート」もおもしろいです。

教師が変われば、生徒も変わる

04/03/29(5195)

・昨夜の教師仲間の送別会がありました。卒業生を出した担任の先生が「2年生の時は美術で本当に助けられました」と言ってくれました。実は落ち着かない学年だったのです。生徒指導で苦労する学年でした。そのクラスは各授業になかなか集中出来ないでいました。しかし美術の授業は集中していたのです。
 実はこのサイトの生徒の作品集「抽象絵画2年生」は、そんな生徒達がつくりあげたものです。本当にうそのように美術の時間は静かでした。(単純作業で静かになるならわかりますが、彼らは高度な思考を働かせてのことですから私はそんな彼らがかわいく思えました)生徒は黙々と描いていました。しかし、その前の授業(想像画)ではややもすると集中力を欠く生徒が出てきたり、ひさしぶりに苦労(工夫?)して授業しただけに、私としても強く印象に残っています。
指導する教師が同じでも授業の仕方や「題材」によって大きく変わるという証明みたいなものです。「教師が変われば生徒も変わる。」

・「リンク集」>「資料室」>「ピースフルアートランドびそう」さんの、美術家の言葉は参考になるということは以前も書きましたが、「絵画の製作技法・構造の効果」も非常におもしろい内容です。ミレーなんかは楽しく読ませていただきました。写真や図でわかりやすく解説してくれています。「鑑賞の授業」で時には分析的なこともやってみてもおもしろいかなと思います。
 サイト管理者であるトビー高橋さんのことを、私は美術教育における生涯学習担当と思っています。へー絵の見方ってこんな見方もあるんだなー、おもしろいなーと感じさせてくれます。

04/03/22(4812)

  • 作品展の賞状→参加証


「ダウンロード美術資料集」に「作品展の賞状」を加えました。
この賞状は6年ほど前に退職された関健治先生と共に考案したものです。
賞状ひとつにも美術教育で果たすべき願いを表現したかったのです。石狩管内教育美術展ではあえて賞をつくらず、「参加証」としました。「優秀な作品」ということとは違う視点で考案した文です。(関先生が退職されたときは本当にさびしかった。多くを学ばせていただきました)

・熊本の西尾先生が呼びかけに人になって美術のメーリングリストをつくりました。現在14人。西尾先生のメールを紹介します。
「全造連(全国造形教育連盟)メーリングリストの目的は…都道府県単位での横の連携を深めながら図工・美術の教育情報を共有化していく。・有益な情報交流の場として活用してください・毎年開催される全造連大会の活動バックアップをしていく・特に次期開催県の方はどんどん活用なさってください。 ・全造連の案内報道などは、依頼があればホームページの整備が整っている県 から同時に一斉報道も可能かもしれません。」
 具体的な動きが出てきました。滝沢さんの情報共有化とリンクさせると大きな力になりそうです。「美術関連検索サイト」に滝沢さんの願いが書かれています。ぜひ、のぞいてみてください。

・美術教育を必修教科として残すためにも、横のつながりも大事だと考えます。
石狩の川名先生とも近く動きをつくることにしました。
 日本文教出版の「形」が先日届きました。アメリカで美術科が学校から消えてしまたという過去の事実が紹介されています。日本も同じにしたくはありません。

04/03/21 (4750)

・川名先生(石狩)の「15歳の自画像展」や「卒業作品展」は成功のよう。
各中学校ではどのような状況なのでしょう。気になるところです。
今美術教育がこれだけ危機的状況にある中、とにかく存在をアピールすることも大事だと思っています。

04/03/20 (4719)

1年生の彫刻(塑造)授業


「生徒の作品集」に「1年生の彫刻の授業」を加えました。
 感想文を読むと、授業の目標とその達成度がわかります。また教師の予想していたこととは別のうれしい発見もあります。授業のあるべき方向は教師の願いがあってのものですが、子どもの内面を知ることは欠かせないと思っています。なぜなら表現は「子どものための」ものであるのですから。
ずっと以前の私の指導では完成度の高い作品を生み出すことを第一の目指としていました。しかし、子どもの中に何が育ったかというところになると、心もとありません。完成度の高い作品を「つくらせる」教師は力量のある教師と思っていました。
と書きつつ、完成度の高い作品を生み出す授業に興味を惹かれるという気持ちもどこかにあります完成度という言葉は適切ではないかもしれません。技法指導中心と言った方がよいのでしょうか。

04/03/19(4675)

《 更 新 》
「リンク集」>「美術館の連携」に「茨城県近代美術館」を加えました。
「LOVE ART KIDS」の山本さんが学芸員をされています。茨城県近代美術館のサイトを見ると美術館と連携することで「こんな可能性があるのか!」と感じさせてくれます。
 豊富な事例が写真つきで、簡潔にまとめられていて、わかりやすいです。小学校の先生などは特に参考になるのではないかと思います。茨城県の先生や親がうらやましいと思いますが、この事例を参考に地元の美術館と連携して行けばいいのですよね。
「夢」を感じさせてくれるサイトです。「LOVE ART KIDS」とともに見るとさらにそのすごさが分かります。私自身も地域のおじさんとしても中学校美術教師としても参考になりました。

なぜ、その題材に取り組むのか


・同僚の英語の先生と学力の話をしました。彼は、話せる使える英語を目指しています。英語教育では当たり前のことです。しかし、彼は本当にそうしたいと思っています。子どもが授業の中で英語で表現したいとか、英語で考えなくなくちゃならないような自主教材を考えています。彼は「必要感」とか「価値」という言葉を使っていました。そうしないと英語教育に未来はないとも。
 私もそうです。なぜその題材をやるのか、その題材をやることの価値を子どもが感じ取れるような授業をしなくてはならないと。
 今1年生でクロッキーをしていますが、なぜクロッキーをする必要があるのかということも生徒に話をしています。クロッキーをやることの価値を子ども達に理解しておいてほしいからです。こんなことを言わなくても、生徒達はまじめにクロッキーに取り組むことは分かっています。しかし、それでよしとしてはいけないと思うのです。

04/03/17 (4613)

・今日、職場の同僚が「卒業式のあの成功、はっきり言って僕はあの作品展が、その何パーセントかを担っていると思う。きっとみんなそう思っているんじゃないかな」と言ってくれました。うれしかった。

04/03/16(4550)

卒業記念作品展を終えて


・今日は公立高校の合格発表の日。あわせて卒業記念作品展の作品を持ち帰ってもらいました。残念ながら不合格になった生徒もいますが、作品を返しながら、声をかけました。「高校はブランドじゃないから、どう過ごすかだよ!」
 ところで、2年生のときの抽象作品を見ていて、ある生徒が「やっぱり絵って心が出るんだなー」と言いました。その頃の彼は反抗!反抗!反抗!という感じで親も教師も本当に大変でした。しかし美術の時間は静かでした。その絵はギザギザな硬い感じの絵です。私は彼のつぶやきを聞きながら「そうだなー、不思議だなー絵って」と言いました。うなずいていました。彼は卒業制作では頭像をつくりましたが、いい顔しています。

・実は作品返却場所のすぐ横に大きなゴミ箱があります。ここに作品を捨てるようなことないだろうかと、少し心配していました。(こんな心配をしなくなる授業にしたい。)結果はゼロでしたが、持ち帰らずに取り残された立体作品がいくつかありました。まだまだです。

・ある生徒は、いわゆる大人から見て上手じゃない自画像を描きましたが、彼は自分の絵を見つけると大事そうに袋に入れました。「この絵には真剣さが出ていて、いい絵だなー」と言うとにこりとうなずいてくれました。またある生徒はいわゆる上手な絵を描いていましたが、「先生、作品いらないのだけど」と言いました。絵の価値とは何かを考えさせられる一場面でした。

大地太陽幼稚園


・今日北広島の大地太陽幼稚園に行ってきました。夜の9時だというのに18日の卒園式の準備をしていました。先生方が飾り付けをつくっていました。また、その絵が素敵なのです。坂本園長から卒園の記念アルバムを見せていただきました。もう、びっくり。園児の作品も載っていました。自分の「ステージ」に「自分を切り抜いた写真」をはってある作品ですが、どれもこれも生命感あふれる作品でした。坂本園長の「ステージ」という言葉にどきりとしました。
 お会いするたびに新鮮な刺激を受けます。さてこの大地太陽幼稚園のホームページが近く公開されるようです。楽しみです。





おすすめホームページ:
☆Love Art Kids
☆茨城県近代美術館

美術教育の存在意義



04/04/08(5849)

・今日、結城さんから(「会津造形サークル結城出張所」)から修士論文が届きました。(ありがとう!)「小学校図画工作科における確かな学びのための評価の視点~低学年の自己評価という課題からの考察~」というもので、およそ120ページにおよぶものです。まだ、手にさせていただいたばかりですが、現在の美術教育の課題のひとつである「評価」のあり方を切り口としながら、美術教育の存在意義を問うような内容となっています。これから、じっくり読ませていただこうと思っています。こうやって、多くの教師が教科の存在理由を考えた結果をまとめたら、今すべきことが見えてくる気がしています。私ももっと勉強しなくてはいけないと素直にそう思いました。と、言いながら明日の夜から娘と雪の十勝岳連峰にトレッキングにいってきます。標高1300mあたりで、テントを張る予定。昨年行きましたが、それはそれは美しい世界です。

04/04/04 (5546)

鑑賞授業について


 鑑賞の授業を考えるとき、兵庫教育大学の福本謹一先生のサイトはぜひ知っておきたい内容です。
 以前北海道の夕張を中心に鑑賞を二つの概念によって押さえていました。「適応鑑賞」と「純粋鑑賞」です。適応鑑賞は表現活動とからめて、「純粋鑑賞」は、文字通り「鑑賞」だけを単独にとりあげたものという考え方でした。なるほどと、ずっと思っていたのですが。
 今年度は北海道・石狩の「石狩管内教育研究会図工美術部会」で「鑑賞」についても積極的に取り上げていくことになっています。

美意識はどこから生まれてくるのだろう


・今日、娘と二人でヘラクレスカブトムシの幼虫を買いました。店のクワガタの形を見て、二人で「どっちが、かっこいい?」などと話しました。「こっちのアゴの形いいなあ」などと。考えればこの「美意識」はどこから生まれてきたのでしょう。不思議です。そういえば大学生の頃「主観的美・客観的美」なんていう考え方にふれたことがありました。

04/04/01 (5392)

キミ子方式


・小学校5年生の娘が市立図書館から借りてきた本の中に「キミ子方式・カット・スケッチの描き方」という本がありました。娘に感想を聞いてみると「なんだか描き方が決まっているみたいでつまんないな」と一言ぽつり。小学校5年生でも、そんなふうに感じるんだなーと思いました。

ものをつくることで培われるもの



04/03/31(5330)

・今日美術部で描いた壁画にヒビが入ってしまいました。サッカーの室内練習で誤って壊してしまったそう。スポンサーと一緒に私のところに謝罪に来ました。当事者の生徒は本当にすまないという表情をしていました。3人で直そうという話になりました。彼の目から涙が出ていました。彼は授業でも一生懸命制作しているのです。こんな彼だから、大変なことをしてしまったという感覚を持ったのだと思いました。若者が公共物を粗末に扱ったり、文化財に落書きをしたりということも話題になりますが、こんな立派な生徒もいるのです。今は消費文化、ものづくりの大切さを知っている生徒を育てたい。ものをつくる心は、追求し苦労してこそわかってくることだと思います。

宮脇理氏の「if もしも… 学校から図工美術教育が消えたら」


・リンク集>「資料室」>「形」FORME(フォルム)が更新されていました。No273です。そこに宮脇理氏の「if もしも… 学校から図工美術教育が消えたら」という文が掲載されています。以下宮脇氏の文章を一部引用します。
「1970年代後半にニューヨーク市から起こった「芸術教育不要論」は,あたかも燎原の火のように,アメリカ合衆国のあらゆる州へと拡がります。それにしても瞬く間にこの事態が全米に拡がるとは…。(中略)現実に存在したものが無くなったときに,人ははじめてその変化の重大さ,その意味を知るということは,よくあることです。永年の間,学校という場に組み込まれていた芸術教科が消えるということは,足し算,引き算の感覚では推し量れないことが,ニューヨーク・イーストハーレム地区公立第108小学校ジョン・ブリル先生の発言にみられます。すなわち「…図工や音楽の授業がなくなり〈学校は灰色〉,絵によって他国のことを学ぶことが出来なくなった」
(後略)
〈学校が灰色になった〉のです。このあといくつもの報告がなされるのですが,〈学校が灰色〉は,学校という組織が有機体であることを証しています。ここに,芸術教科の削減が有機的仕組みである学校組織を枯らしてしまったことを語っています。
(中略)
未熟なデモクラシー国家と世間が,アメリカ並のマスデモクラシーに差し掛かった現在,「図工・美術教育が学校からから消えたら…」という「if:もしも」が起こり得るかもしれません。
(後略)つづく」
 おそろしい指摘です。文中にあった「学校が灰色になった」どころではなく、子ども達は人として、もっと大きなものを失うことになるでしょう。
 具体的に何を失ってしまうのか、それを昨日書いた川名君との研究で明らかにしていこうと思っています。(具体的には何を育てるのかということになります。もちろん基礎基本は石狩として押さえていますが。)
 ところで宮脇氏の引用はここを訪れる教育関係者以外の方々にも知って欲しくて取り上げました

 世間では「学力(受験学力と言わせてもらいますが)低下の問題を取り上げていますが、勝手なものでかつては「落ちこぼれ、落ちこぼし、新幹線授業、難しくて厚い教科書」などと批判していました。忘れてしまったのでしょうか。今子ども達に本当に必要な学力とは何かを考える必要があると思います。

・「形」FORME(フォルム)No273に会津の平塚さんと結城さんKey Wordに執筆されていました。お二人の活躍がうれしいです。しかも内容は本質論で、実践的裏付けがあります。
 平塚さんの現代の子どもにこそ「共同制作」が大切ではないかと主張されています。平塚さんの発言の根拠は彼のサイトにあります。具体的な実践ではこのサイトの「リンク集」>美術教育研究会>「MIcho Horikawa/美術教育実践」で中学校の例が示されています。参考になります。
 結城さんの自己評価論では「自己評価力」という表現でその意義を説明しています。私は「評価」と「評定」を結城さん同様、かなり意識して使い分けています。現在使われている「評価規準」はふたをあけたら「評定規準」の感があります。評価とは本来とても「温かいもの」だと思っています。結城さんの指摘は大切です。そして私たちの授業の質によって自己評価の視点も質も変わってきます。過去の私の授業での自己評価の生徒の視点は技法や努力に関するものが多かったのです。
 こうやって私もいろいろ考えることができるのは、このサイトを通じて、いろいろな方々と知り合えるからだと思います。感謝。

04/03/30 (5271)

美術教育の研究


・今日、美術教育の研究会(月1回実施)について川名くんと話し合いました。彼の学校で話しあったので若手の浅田くんも同席。会議というよりは雑談感覚です。(充実のひととき!)
最初に確認したことは、どうやら中学校美術が選択教科になってしまうかもしれないという危機。そのために何ができるか。自分の実践を深めながらも全国に訴えていくような気持ちでやろう。で、研究の柱は二つ。
(1)美術教育を深める研究
(2)美術教育を広げる研究
(1)については、現在の石狩の標準である「基礎・基本」を、改訂する。これは「教科性」の確立にもつながる。義務教育になぜ美術教育が必要なのかをとい直す作業となる。また作品を持ち寄り話し合いもする。模擬授業や授業研究なども必要に応じて。
(2)美術教育の大切さを多くの人に知ってもらう取り組みをする。目の前の子どもはもちろん、親や地域など。また免許を持たないで教えている先生へのサポート。
簡単にまとめると、こんな感じになります。いろいろな話をしました。
そして改めて二人とも美術教育についてきわめて近い感覚であることを実感しました。
川名君は今年参加した全国教育研究集会での美術部会で、私は全道やこのサイトを通じて、時を同じくして全国的な視野で美術教育を考えていこうと決意しました。
 とりあえず、1年間の会議日を決めました。まずは今年1年目が勝負。
 全国という話をしましたが、美術科がいつのまにか消えてしまったということにはしたくないのです。そのために何ができるか。運動論も含めて模索していこうと思います。
 今、熊本の西尾さんや美術関連検索サイトの滝沢さんなど、全国的な規模で活動していこうとする動きが出てきていますので、連動していきたいという話もしました。
 また美術教育の立場にいない人の発言が実は重いのではないかということも確認し合いました。外から「美術教育は大事だぞ!」と言ってもらえることが何より大きな力となる気がしています。感想メールがありがたいです。
 こう考えますと川名君とはじめるこの会、「会津造形サークル」「A.E.N.E.T」(最近では「Love Art Kids」)あるいは国土社の「絵の中の子どもたち」における月1回の研究会など、何度も回を重ねて質を高めていくという手法が参考になっています。


おすすめホームページ:
宮脇氏の文
★会津造形サークル
☆Web AE誌「鑑賞と教育」

教師の表情



04/04/23(7050)

《更新》

・リンク集>「各地区の研究団体」に3つの組織を加えました。ひとつは私の所属する「石狩管内教育研究会図工美術部会」です。研究主題の中の基礎基本の考え方をご覧下さい.石狩の財産ともいえるものです。私自身、日頃大事にしている考え方です。いずれ、このことについては私のサイトでも紹介したいと考えていました.
もう一つは「福島県造形教育連盟」のものです。公開されたばかりです。「art+edu」の小野浩司さんの担当です。最近小野さんのサイトが更新されていないと思ったら、このようなことだったんですね。これからが楽しみなサイトです。
3つ目は「福島県西白河郡小教研図工部」です。研究に対する真摯な姿勢が伝わってきます。研究方法も含めてくわしく紹介されているサイトは少ないので貴重だと思います。


04/04/22(6994)

・現在2年生では、鉛筆デッサンの授業をしています。今は鉛筆の持ち方や明度段階のつくり方など、練習の段階ですが、デリケートな感覚で、明度を表現している生徒の姿は、かわいいです。
この明度段階をつくることが具体的に実際の表現に結びつくのかを分かるようにしながら指導しています。
今やっていることが、どんな意味を持っているのか、生徒に有用感を感じさせることが、意欲を引き出しているようです。
今日はどの授業もなんだかとても調子がよくて(本当はムラがあってはいけないのですが)職員室にもどると、私が笑顔いっぱいだったからでしょう、他の先生から「山崎さん、なんかいいことあったの?」よほどうれしそうな顔をしていたのだと思います。
授業する教師の表情は大事なんだと改めて思いました.

授業の準備


04/04/21(6891)

・授業中、OHPのランプが切れました。仕方なく板書と言葉で説明するはめになりました。あらためて視覚に訴えることの重要性を痛感しました。本当は液晶プロジェクターを使って授業がしたいのですが、予算が厳しいです。
 「美術の授業こそ視聴覚機器を活用しなくてはいけない」と私が教育実習の時教えて下さったのが、札幌の角力山(すもやま)先生でした。
 そういえば、当時、明治図書の札幌教育研究会協議会中学美術研究部著「色と形の認識と創造」の中の「高めたい力」からも相当学ばせたいただいた。
 私の中で角力山先生との出会いは大きなものがあります。一時間の授業のために、「ここまで準備するのか!ここまで考えるのか!」そういった衝撃を教育実習の期間中、思い知らされました。

04/04/20 (6780)

・今日地元である北広島市の研究会がありました。今日は組織の立ち上げです。図工美術部会のみなさんが一斉に集まりましたので、会議のあと、私のサイトを紹介させていただきました。このサイトを訪れる方が増えていくことで交流の輪が広がっていくことを願っています。リンク集にも力を入れていますので、お役に立てるとも思っています。
 当面、今年の研究では「鑑賞」にも力を入れますので、下記に紹介しました「美術教育学会」の「図画工作科・美術科における鑑賞学習指導についての調査」報告書を、お勧めします。

・日々の授業を充実したものにしていくために、創造的に研究実践を進めていくことが必要ですが、限られた時間の中で力をつけていくために「先行研究」から学ぶとよいと思っています。これまでいただいた資料やらメールやら、心に響くことがたくさんありました。自分だけのものとならなよう、何らかの形で「還元」していくことも自分の役割と勝手に思っています。

美術部の発表の場


・今日北広島の中学校の先生に「美術部」の生徒の発表の場をつくりたということで提案させていただきましたが、いくつかの困難点はあるものの賛同いただけて感謝。主旨は「美術部員に発表の機会を用意し、活動への励みにしていく」ということでしたが、清野先生より「市民との交流」ということも主旨に加えてはどうかというご意見をいただけました。本当に大事なポイントです。それから私が転勤した後も続いていくようなシステムを考えないといけません。美術部の生徒は喜ぶと思います。

04/04/18 (6557)

・リンク集>美術教育研究団体>「日本美術教育研究学会」で「図画工作科・美術科における鑑賞学習指導についての調査」報告書が公開されていました。
小学校中学校に質問紙法で調査したものです。回答数が1000を超える大掛かりな調査で、全国の美術教育の現場での実態が見えてきます。
30ページにもわたる労作です。(PDF形式でダウンロードできます)
大変興味深い内容になっています。私としては、調査項目の「図画工作美術学習の意義」にも興味を持ちました。
このような情報を提供していただいた「日本美術教育学会」さんに感謝。

04/04/16 (6400)

・今日、入学以来はじめての美術の授業をしたクラスがありました。こう考えると授業時間数の少なさを実感します。
 授業開きでは、生徒に図工は好きかどうかやその理由を聞きながら、スタートします。嫌いな子の理由をインタビューしながら、美術は才能で決まる教科ではないということを話します。
 それから自分の可能性を信じてほしいという願いを伝えます.
言葉や例ではなく、もっともっとビジュアルでたくさん示すようなことをしたほうがいいなと思っていますが、アイディアだけで、手を付けてはいません。そのアイディアとは一人の生徒の入学から卒業までの制作した作品を見せながらの授業です。卒業時期に生徒に来るべき新入生へのメッセージを残してもらうのもいいななどと思っています。ドキュメンタリー番組風なんてのもいいかもしれない。
 自分のホームページを持って、様々な交流が生まれ、最近は様々なアイディアが生まれてきます。やりたいこと、やらなければならないことがたくさんでてきます。

04/04/14 (6263)

共同制作


・新潟県上越市の堀川先生から資料を送っていただきました。堀川先生のホームページによって「共同制作」に対する考え方に教えられることが多かったので、その詳細を知ることができて、うれしい限りです。
 様々な題材を開発されていますが、一貫して、生徒の「心」が大切にされています。また、美術科による集団づくりの視点も教えられることが多く、教科の存在をアピールすることにもつながっています。堀川先生の実践は、その題材を通して「子どもに何を育てようとしているのか」が明快です。
 現在短時間題材、あるいは興味関心という言葉がよく飛び交いますが、私たち美術教師は「あっ!その題材おもしろそう!」ということだけでは危険な気がします。
その題材を通して何を育てようとしているのかが何より語られるべきことだと思います。
 堀川先生のホームページ(「Micho Horikawa」)にある内容を紹介します。
「306名の生徒と学級担任及び学年の先生方が文字通り一つとなった巨大な作品は、形容し難い広がりと奥行きをもつ見事なことばとなった。」
「全校262人のポーズが跳びはねている壁は迫カ満点で、体育館が本当に生徒達自身の空間に変わったような実感があった。地域の入達も喜び、学校全体の雰囲気が盛り上がり目標はほぼ連成された。」
「自分の主題を迫求するには思考力、自己決定力、判断カ、表現カ等の総合的な能カが必要」
 なお、送っていただいた資料の中の「造形遊びと現代美術における「アースワーク」」の考察は、私の視野を広げてくれました。(「美育文化」1995年7月号)


雪の十勝岳連峰へ


04/04/12 (6116)

 娘(小学5年生)と雪の十勝岳連峰にトレッキングに行ってきました。標高1600mを超えるとアイゼンとピッケルが必要なので、そこから引き返してきました。

それにしてもこれほど天気に恵まれるとは!





太陽の周りを囲む円形の虹を見て二人で感激しました。
こんな自然の中にいるとなんとも言えぬ幸福感につつまれます。ふとセガンティーニを思い出しました。

鑑賞教育



04/04/30

★「ダウンロード美術資料」に、親への啓蒙資料を追加。

04/04/29 (7438)

・リンク集>美術教育研究会>「会津造形サークル平塚出張所」に、「鑑賞授業」の実践報告が紹介されました。「ひとりごとVol.85」です。石狩で鑑賞の授業にも力を入れていくことになりましたので、参考になると思い、紹介します。美術の本質にかかわるテーマです。
 私も平塚さんと似た構成の授業です。私の場合は、人物画でやります。平塚さんが子どもに紹介した絵の中に2000円で買える絵が含まれています。「おっ!」と思わされます。やはり授業の工夫が大事ですね。
 ちなみに「ひとりごとVol,83」も鑑賞関係です。石狩の研究の課題の「環境づくり」にも関連します。平塚さんの実践からは子どもの姿が見えてきます。授業もさりげない感じですが本質を見据えています。本当に日頃の授業の参考になる発信が多いです。

・佐藤祈くんからのメールで春から多志度中学校の教頭になったとのこと、今度は違う立場で美術教育を支えて欲しいと思います。何かそのうち、ひと味違う学校づくりをしてくれるのではないかと期待しています.
 教頭と言えば、美術教師ではないけれども、石狩の厚田中学校の石黒さんは、すばらしいホームページををつくっています。センスのよさは学校のホームページの域を超えていると思います.
 子どもも先生も親もあたたかく結ばれている様子が伝わってきます。その中にある「校区校史再発見」は石黒さんの仕事ですが、自分の学校のよさに気がつくでしょうね。
 とにかく、このサイトも多くの方に知っていただきたいものの一つです.私のリンク集のカテゴリーに、うまくいれられなくて、これまで紹介しなかったのですが、是非見て下さい。
 学校のホームページでここまで出来るんだという提案でもあると思います。なお、石黒さんが転任されてもサイトの更新が楽に出来るような方法も見通しています。

04/04/28(7378)

・1年生の美術の授業、入学以来3時間の授業に行ったときのことです。教室に入るなり「美術だ!美術だ!」と喜んで言ってくれる生徒がいて、とてもうれしくなりました。前回の授業で初めてクロッキーをし、それを楽しみにしているのでした。「できないと思っていたことが、できるようになる」そんなことをテーマにクロッキーに取り組んでいます。



美術と自然




04/04/26 (7262)

昨日、支笏湖に行ってたき火をしてきました。支笏湖の青と恵庭岳の白がとてもきれいでした。娘は魚とり。それにあきたら流木ひろい。石ひろい。学校の図工の時間に工作をするとのことでした。授業がきっかけで、自然の造形に目を向ける。もうそれだけでも図工の価値があると思います。そういえば彫刻家ムアは自然の造形物をコレクションしていましたっけ。




福島の結城克徳さんは、付属小学校との共同研究で「川原での造形活動」(福島大学教育実践研究紀要第45号)を試みています。また元深川小学校の渡辺貞之先生(現在アートホール東州館館長)は春の雪で小さな雪像をつくるという授業をしています(春ですからそれがどんどん溶けていくのです)。函館の駒場小学校の水島賢久さんは雪の上に落ち葉を並べる授業をしています。(写真を見ましたがきれいでした。)どれにも共通しているのが、できあがったものが、いつのまにか自然の中にもどっていくというものです。
 そして、どの授業でも、自分たちがつくったものが消えていくことがもったいないといい、いつまでも残しておきたいと言っています。自然とかかわりながら美を見出し、消えていくことに対し、はかなさを感じています。

 環境教育は重要ですが、知識ばかりが優先されている気もします。自然を愛でる気持ちがあってこそという気がします。知ることも大事ですが、感じることも大事だと思います。

04/04/24(7109)

・上の写真は、生徒のものですが、本当は生徒の表情のアップを載せたいところです。
授業中に見せる真剣な表情、完成した時の笑顔、本当はそんな姿を見ていただくことが、一番良いのかもしれません。
 これから美術教師を目指したいという方からメールをいただきました。返事を書きながら、自分のスタンスを再確認しました。子どもを育てるための美術教育をしているのだと。

総合学習のデザイン


 最近の仕事の大部分は「総合学習」です。これはこれで、非常におもしろいのです。実は「総合学習」には疑問を持っていましたが、やり方によっては、非常に価値があるということが、わかりました。子どもが学ぶことに価値を感じるよな「総合学習」であるならば、教えようとしなくても子どもは自ら考え、より高い表現を求めるのです。
 昨年1年生の「総合学習」の導入で様々な外部講師を招きました。アイヌ民族の方、脳性小児まひの方とそれをサポートするボランティアの方、子どもの表情は真剣でした。食い入るように話を聴いている子どもの姿を見て、ホンモノに触れることの大事さを痛感しました。
 また被爆体験を話を聴き、涙を流している子もいました。知識では知ってる子も多いのですが。
それから環境問題に取り組んでいる大学の先生の講演では、簡単な実験をしていただいたのですが、講演の休憩のときに、子ども達の何人かが大学の先生の周りに集まっていきました。講演の内容はかなり難しかったのですが、子どもは「大学の」先生とお話がしたかったようです。そこには尊敬の念を感じました。
 以後、子ども達は調べ学習をしたのですが、予想以上に真剣やっていました。
教師も変わりました。「総合学習」の時間があるから「しっかりやらなければならない」ということから「総合学習は大事だ」というように、意識が変わってきたのです。
 実はこの総合学習は、美術の授業の考え方を取り入れ、デザインし直したのです。つまり「子どもと題材との出会いの場面を、特に大事にする」ということです。
 それまでは「表現力」を高めるために、プレゼンテーションの方法やコンピュターの操作方法、発想の仕方、取材のときのマナーなど様々な「方法」を教えてきたのです。しかし、子ども達はせっかく表現方法を学んだのに「表現したい」という強い動機を持てなかったのです。
 子どもは知りたがっているはずです。「なぜ、学ぶのか?」を。

・「総合学習」について、このようにデザインを変えたきっかけを与えてくれたのが、北海道 幾生中学校の美術教師 佐藤祈くんでした.(「総合学習」には早くから取り組んでいて成果をあげていました。)感謝。そう言えばMACのよさを教えてくれたのも彼です。



おすすめホームページ:
★平塚先生の鑑賞授業
★厚田中学校
*TOP

子ども絵画教室と義務教育



04/05/14(8406)

《更新》 

*リンク集>「子どもの絵画教室」に「代々木アートスタジオ」を加えました。

 主催者の鈴木さんが子どもの頃過ごしていたのが私の家から車で30分くらいのところと知り、うれしくなりました。ところでサイトには30以上もの題材が紹介されていて、それぞれに作品の解説やら、制作の様子やらが公開されています。
 生き生きとした子どもの活動の姿にとても惹かれます。
また題材もユニークなものが多く、出来上がったものは、その年齢の子どもだからこそ描ける、つくれる作品になってると思います。
「子どもは小さな大人ではない」というルソーの言葉は正しいなと改めて思いました。
このサイトを見ていると、なんだか優しい気持ちになります。

*リンク集>「子どもの絵画教室」に「アトリエろれっと」を加えました。

 主催者の指田さんがサイトで「トントンギコギコ図工の時間」を紹介されていました。
なんだかつなっがていることにうれしさを感じました。サイトの言葉を紹介します。
「創ることを心から楽しめるように、当アトリエではきっかけづくりをしたいと思っています。 絵画や造形は、様々な分野とのつながりの中に存在するものなので、創りながら、遊びながら、子ども達はたくさんの体験をすることができます。 
時間のかかることですが、みんなで夢中になって生み出した作品がもう絵画や造形という言葉の範囲から抜け出たものになっていたら、それは当アトリエの理想にかなったものにちがいありません。」
特に最後の一文に惹かれました。サイトの中のサクランボの木、ゆずの木は、素敵です。

・1年生のクロッキーも今日で終わりなので、コンテを使いました。
もうとても真剣でかわいくなってしまいます。顔にコンテをつけたまま描いている生徒もいたりして笑ってしまいました。
元気のよいクラスで、まるでスポンジのようになんでも吸収していこうという感じです.
担任の先生が授業をのぞきに来てくれてますますいい雰囲気になりました。
担任の先生をモデルにしようとしたら逃げられてしまいました。

・高校で書道を教えている先生から感想メールをいただきました。高校の先生からの感想は初めてでした。「美術の言葉集」が書道の題材探しに役立つとのことで、お役に立ててうれしいです。
なお、言葉集はわたしのおすすめです。ダウンロード美術資料からどうそ。さらにくわしいものを求めている方はリンク集>資料集>「ピースフルアートランドびそう」さんを訪ねてみてください。サイト管理者の高橋さんは美術教育のよき理解者でもあります。

04/05/13 (8324)

・近くリンク集に「子どもの絵画教室」を加えます。一口に絵画教室といっても様々です。
美術を通して子どもを育てようとする主旨のサイトを加えます。そこから学ぶことも多いです。  義務教育の中の美術教育との共通点や相違点を考えていくこともよいと思っています。

04/05/11(8192)

《更新》
・リンク集に新たなカテゴリーをつくりました。子どものために直接役に立つサイトです。
「美術の玉手箱」は香川県の滝沢さんが、コツコツとつくりあげてきたもので「美術関連検索サイト」の中にあるものです。
「抽象絵画」はe-Larningというものの一環でつくられた東京の川島さんの仕事です。最近UPされたばかりです。
「Yokohama Yume Net」は横浜市教育委員会 情報教育課でつくっているもので、子ども向けの教科別で情報を提供しています。
「ダヴィンチの工房」は一般向けですが、非常に充実した内容になっています。中学生には見てもらいたいなと思います。
この他教育情報ナショナルセンター(NICER)の情報も豊富ですが、一番肝心の画像を見ることが出来ませんでした。それとも未完成なのかよくわかりません。

04/05/10(8098)

デッサンの授業


・今2年生のTくん、彼が入学してきた昨年の最初、絵に対してものすごくコンプレックスを持っていました。
 その彼が今日の美術の時間、最初に教室にやってきました。今鉛筆デッサンに取り組んでいるのですが、授業中も何度も手直しを加えながら形が少しずつよくなってきています。
 去年から見ると大違いです。去年は描いた絵をとにかく人に見られたくないという感じだったのですが。今日は隣同士の席の人と相互評価(「ワンポイントアドバイス」と言っていますが)の場面でも、いやがらずに、すんなりとやっていました。
 そして、なんと今日、授業が終わってわざわざ私のところに作品を持って来て『先生、どうですか?」と。いやー、本当にうれしかったです。
 できないとか、だめだとか思っていたものが、自分の意識で変えていくことが出来るという体験を「美術の授業」で実感しつつあるようです。
今日は板書にこう書きました。
「描く→見直す→あれ?→描く→見なおす→あれ?」とにかく間違いながらも直していけばいいのだということを、強調しました。
「デッサンは本気でやったら、苦労はするけど、おもしろいよ!」
このデッサンが終わったら「形の狂いなんて気にしない、気分、気分」と、またデッサンとは違うスタンスでのスケッチをする計画です。


04/05/09(8024)

《更新》

・リンク集に三つ加えました。

*リンク集 > 美術教育研究会 > 「さいびかんのホームページ」

熊本県の西尾先生のサイトです。最近リニューアルしたとの情報を、平塚さんのサイトで知り、見てみると、活気が伝わってきます。「心に残ったこと」など題材観のよさを感じます。サイトで見られる学級通信からは親への啓蒙という意味で学ぶべきことだと思いました。
またキッズゲルニカ(国際子ども平和壁画プロジェクト)への取り組みの詳細が公開されていますので、取り組みを考えている先生には参考になるのと思います。掲示板もあります。活気のあるサイトです.

*リンク集 > 各地区の研究団体 > 「くまもと図工サークル」

「さいびかんのホームページ」の西尾先生が管理者です。現在13年目ということです。月1回のサークル活動をされています。活動の計画や実践記録が公開されています。石狩の川名くんが全国の研究会から帰って来て「九州の人達は熱いよ。」と言っていたのを思い出しました。

Webサイト「トントンギコギコ図工の時間」


 野中真理子さんという映画監督が、つくられた自主上映映画の宣伝の公式サイトです。
残念ながら北海道では見ることが出来ませんが。是非見てみたいものです。
(秋からフィルム貸し出しもすると書かれていました。)
 ごく普通の公立小学校でのドキュメンタリーだそうです。図工専科の先生が指導者のようですが、子どもの活動を見守るタイプの指導だそうで、そのあたりもいいと思います。
時間数が削減されている今、教科の存続は危ういものになっています。
 しかし、人間がモノをつくることの大切さを教育関係者以外の方がちゅんとわかってくれています。追い風になってくれるでしょう。
 この映画に寄せられた著名人の方々が、この映画をきっかけに図工美術の時間が減っている現状を理解してくださっているようです。ありがたい!
 このサイトにある言葉を読んでいると、大きなエールをもらっているようで勇気づけられます。
私のサイトへも時々教育関係者以外の方が感想をくださいますが、自分の向かっている方向が正いかどうかを客観的に判断するひとつの刺激になっています。
 私が願う美術教育の価値と映画を見た方が感じた美術教育の価値、監督の感じた価値に、どんな差があるのか興味があります。
しかし、このサイトを見る限りそれは多分大きな問題ではないでしょう。
 文部科学省の前教科調査官の遠藤友麗氏が、教科調査官時代に「美術は才能の教科でしょ」「好きな子がやればいいんじゃない?」などとずいぶん聞かされたというお話をうかがいました。
この映画は「そうじゃない!」と言ってくれる映画なのだと思います。
とにかく「トントンギコギコ図工の時間」のHPを見るだけでもいろいろと考えさせられます。
(東京の川島さん情報ありがとう!)

諸外国の美術教育


04/05/07 (7850)

・国立教育政策研究所のサイトに、膨大かつ貴重な資料がUPされていることを知りました。(04/04/27付)
 研究成果報告で「図画工作・美術のカリキュラムの改善に関する研究ー諸外国の動向」というものです。
 最近、諸外国の美術教育の動向も気になりだしていたところなので、たいへんありがたいものです。
 PDF形式でダウンロードしたところ、なんと133ページもの資料でした。

「国立教育研政策究所」の説明を紹介します。
「教科等の構成と開発に関する調査研究 
小学校・中学校及び高等学校における教育課程の改善につながる 基礎資料を得ることをねらいに、平成9年度より進めている研究です。
 以下の報告書では、アメリカ合衆国、イギリス、フランス、ドイツ、 中国、韓国、シンガポール、台湾における当該教科の教育課程上の位置付け、 目標、内容の示し方、内容構成等について調査し、その結果をとりまとめています。
また、巻末には我が国と比較できるよう共通の項目による一覧表を作成しています。」
今取り組んでいることを別の視点から考えられることができます。

04/05/06 (7771)

・同僚の美術の山田先生が3年生の授業で「抽象絵画」に取り組んでいます。「生徒は集中するし、サイズ(B6)も「自分サイズ」でちょうどいいんでしょうね。」なるほど「自分サイズ」とは、おもしろい表現だなあと思いました。

・連休が明けてまたアクセスが増えてきました。単純にうれしいです。ありがとうございます。

04/05/05 (7681)

・GWは、支笏湖、真狩、長万部とキャンプに行ってきました。残念ながら、途中から天気が悪くなってしまい,予定を切り上げ帰ってきました.
スケッチを4枚。焚き火を楽しんできました。
さてキャンプでは観光地にも通り過ぎるわけですが、絵を描いている人の姿は見えませんでした。大人がもっと絵を楽しむようになればいいのにと思います。
 生涯教育を見越して、2年生の今やっているデッサンが終わったら水彩スケッチをやる予定でいます。
主旨は描くその瞬間を楽しむというものです。透明水彩絵の具を用意しました。大人になってちょっと描いてみようかなと思ってくれるといいのですが。

・「art+edu」の小野浩司さんのサイトがリニューアルされていまいした。
かっこよくなりました。シンプルで見やすい!内容がよいのはもちろんです。
それにしても複数のサイトの管理は大変だろうなあと感心してしまいます。
しかし、おかげで、質の高い情報を提供してくれています。
ところで小野浩司さんのサイトの「about」に書かれている「art+eduを立ち上げた思い」には共感します。
ハウツーではなく、常に本質を見据えた内容になっています。
これからの「更新」も楽しみにしています。

価値を感じると本気になる



04/05/20 (8962)

・今2年生で鉛筆デッサンに取り組んでいますが、モチーフ選びでけっこう悩む生徒もいます。
あまりにも悩みすぎる生徒は「クールにリアルに描く立場というのもあるので、たとえば今はいている靴とかでもOK。それはそれで真剣にやればおもしろいよ」と話しています。
しかし、けっこういろいろなモチーフを持ってきます。(生徒が何を描くのか楽しみです)
それを見ていたら、このデッサンでちゃんと自己表現をしようとしていることがわかります。
 日常生活で注意されることの多いある女子生徒はクラシックバレーのシューズを描いています。聞けば10年以上やっているとか。「この絵、廊下に飾ったらきっと他の人、バレーやっているってこと知ってびっくりするんじゃないか?」と言ったらにっこりしていました。
ちょうど、その朝たまたま生活面で注意したばかりでした。
けれども、その会話でなんだかとても和やかな雰囲気になりました。
「そうだよなー、誰だって自分のよさは認めてほしいし、知ってほしいよなー」と思いました。中学校2年生の年頃では自分のよさを照れくさくてストレートには言えませんが、絵なら抵抗なしのようです。
モチーフには「貝殻」「ヌンチャク」「テニスラケット」「ぬいぐるみ」「グローブ」「石ころ」「楽器」「記念ボール」「アクセサリー」「文房具」「田宮模型の特殊なニッパ」「インテリア小物」など様々ですが、一番多いのは部活動で使用している「道具」です。
しっかり絵を通して自分の存在を示しているようです。誰だって自分の存在は認められたいですものね。大人だって子どもだって。
中学生が描いたり、つくったりすることにきちんと価値を感じ取ることが大事だと思うのです。
「総合学習」も同じだと思います。やることに価値を感じてこそ子どもも本気になれるわけですから。

あるお母さんからのメール

04/05/19 (8899)

・茨城茨城県近代美術館のワークショップに参加された方から嬉しいメールをいただきました。
私のサイトを見て、応援していますとのこと。
これもリンク集>美術館との連携>「Love Art Kids」の山本さんとの出会いがきっかけです。人と人がつながることで、刺激にもなりますし、自分の視野も広がっていくのを感じています。多くの人と手を結び、子どもの成長になくてはならぬ「図工美術」を守っていかなければならないと思います。そしてその中で何が大切かを探っていきたいです。メールをいただいた方は「センス オブ ワンダー」がキーワードと言っておられました。

04/05/18(8811)

酒井式指導に悩む親


・今日、同僚の先生から一母親の立場から質問をされました。
その先生が自分の娘(小学校1年生)の参観日に行った時のことだそうです。
廊下に掲示されている絵を見て、とても驚いたというのです。それは、「ぱっと見にはよく見えるのかもしれないけれど、どれもがみんな同じで、これでいいの?!」と思ったというのです。
家に帰って、娘から絵を描いたときのことを聞いてさらに驚いたとのことでした。描くものの位置や大きさ、その順序など全て指示された通りに描かされるということでした。絵が嫌いになったようだとのこと。創造性が奪われてしまうという危機感を感じたそうです。
絵を描くときに考えることをしなくなるのではと心配されていました。
彼女はしきりに「困ったなー、いい先生なんだけどなー」とのことでした。

「酒井方式」の絵なので、彼女にそのサイトを見せてあげました。
「うん!これ、これ!同じです!」「えー、本当にみんな同じ!」「体は不気味ですね」
「でもうちの担任の先生はここまで極端ではないみたい、他のクラスはもっとすごかったから」

彼女に、話したいくつかのことを以下に簡単に紹介します。
「酒井方式をやっている先生は指導法がわからなくて、これならできると思い込んでしまう。
結局子どものためによかれと思ってやっているわけです。
研修会には多額の研修会費を払い身銭を切って参加している人もいる。だから良心的な人が多いかもしれない。
でも一度これだと信じると抜け出さないみたい。
酒井方式の全て100パーセントを否定するわけではないけれど。実際に昔、酒井方式をやったことがあって、「これではだめだ」と思い、今は素晴らしい授業をしている人もいる。
児童画の発達について結果として無視している。だから小学校低学年の指導ではもっともよくないと思う.幼稚園なんかでやりだしたら悲惨。
感じたり、考えたりできなくなってしまう。
絵には決まった描き方があると思い込んでしまったら大変だ。
ルソーは「子どもは小さな大人ではない」と言っているけれど、その時だからこそ描ける絵というものが描けなくなる。それと絵にとって大事な主題について子どもは考えなくなっちゃう。
子どもの表したいことはほとんど無視され、いわれるがままに描かされ、教師のあらかじめ出来上がっている絵のイメージに近づけるよう描かさせられるわけだから。」
彼女は、そのうち担任の先生に話してみようかということになりました。
ついでに彼女にレイチェル=カーソンの「センス オブ ワンダー」を読むようにすすめました

さて、よく美術の研究書には「○○方式はよくない」ということが書かれています.わたしもそう書いたこともあります。しかし、今回はあえて「酒井式」と書かせていただくことにしました。問題点をはっきりさせるためです。

酒井臣吾氏は前北海道教育大学函館校教授ということを経歴で公表しているので、安心して信頼される方もいるのではないかと思います。何しろ大学の「教員養成課程」の教授ですから。
(ついでに北海道教育大学函館校では今度は工作で佐藤昌彦氏 助教授が酒井氏と協力関係にあるようなので気がかりです。)
酒井氏は明治図書から多数の刊行物を出版していますし影響力は無視出来ないと思います。
ある僻地に勤務されている先生が図工の指導に困り、図書館に行ったら、たまたまあったのが「酒井式」の本だったそうで、それで酒井式に取り組んでみたというお話も伺ったことがあります。とても誠実な先生でした。
またインターネットで指導案の公開をしたりと盛んです。(この熱意ある取り組みは学ばなければなりませんが)
どのようなものか知りたい方は検索で TOSS と入力してみて下さい。

正直に言いますと自分のサイトで他の実践の批判を書くのはエネルギーが必要ですが、しかし書くべきことは書かないといけないと考えました。

 日本には美術教育の研究団体が多数あります。そこには考え方の違いがあります。
しかし酒井方式だけは、その考え方はまったく違うといってよいでしょう。
よろしければ、リンク集>「研究団体」をご覧下さい。

ただし、酒井式で少しはよいと思うこともあります。それは「かたつむりの線」です。
ただし、すべての絵画ではだめです。
わたしは、概念として絵を描く行為を打ち破るために、「目と手の動き」を「連動」させて、「じっくり、ゆっくり描く」ということをしています。
これは素描の入門には有効だと考えています。ただし、この方法のあと、全体と部分、部分と部分の関係でとらえるというように発展させていきます。
(なお、その後カタツムリの線は、「目と手の動き」を「連動」させてとニュアンスとは違います。)

★リンク集「子どものための資料室」に「NICER教育情報ナショナルセンター」追加。

NICERさんの目標を紹介します。「教育情報ナショナルセンター(NICER)は、我が国における教育・学習に関する情報ネットワークの中心的役割を果たします。NICERでは、学校教育から、高等教育、生涯学習にいたる「教育の情報化」の推進を支援することを目的としています」情報量は膨大です。他の教科でも使えます。

★リンク集「子どもの絵画教室」に「atelier Tierra Azulこども造形教室」追加

千葉県佐倉市、30代になったばかりの久本さんによるこども造形教室です。サイトには作品の他、その制作過程も紹介されています。「和菓子で春を味わおう」というのが本格的で興味を持ちました(粘土ではなく、ホンモノ)。またクリスマスプレゼント(誰かにあげる贈り物)では造形することに「目的」を持たせてあります。
さらにパラパラアニメ、クレイアニメなども動画で公開されていて楽しさが伝わってきます。
久本さんのサイトからは子どもから学ぶという感覚を感じます。やっぱり私も子どもの作品を見て「へー」とか「なるほどね」とか「そうだったのか」「やられた!」などという感覚を忘れないでいたいです。「ほめる」ということではなくて、本当によさに気づける感覚あるいは表現を通してその子を知るという感覚を忘れてはならないと思っています。(自分への戒め)
サイトの言葉を紹介します。
「作ることで楽しいことなら何でも「造形」としてとらえ、自分で作る、自分が作るを大事に活動しています。お絵かき、粘土、木工、紙工作、お料理、などなどなど・・うまく描くことや評価よりも、発達・発育にあわせて、それぞれがてらいなく思いきり表現行為を体験できることが、なによりの目標です。私たちの役目はそのお手伝いをすることです。」


「映画・トントンギコギコ図工の時間」

04/05/16(8602)

・トントンギコギコ図工の時間製作上映委員会の太田綾花さんからメールをいただきました。
美術教育関係者以外の方からの声に耳を傾けたいものです。

「リンクありがとうございます。「豊かな美術教育を!」は以前拝見しました。
こちらから御連絡しようと思っていたところなので、とても嬉しかったです。
そして、同時に今の美術の存在の厳しさを切実に感じました。
おっしゃるとおり、この映画は幸せに生きていくために何が大切なのかを示してくれます。
美術や芸術もそうですよね、それが受験という一つのステップの中でないがしろにされてしまうのは本当にいたたまれないです。
(美大受験ですら、絵の楽しみを忘れてしまう)」
「映画「トントンギコギコ図工の時間」は自主上映会をひらいていただける方々を募集しています。詳しくはHPを御覧下さい。多くの人々にこの映画を見ていただきたいと心から望んでいます。」

★「リンク集「子どもの絵画教室」に「アトリエfun」を追加」

埼玉県の有泉さんのHPです。サイトでの語り口が子ども一人ひとりを温かい目でじっくりとらえています。
「作品展」も素敵です。作品もなんか「生きてる」という感じがします。学校関係の美術展はやっぱり硬いかななどと思ってしまいます。
立場の違いはありますが、美術を通して子どもを育てるという願いは同じだと思いました。
有泉さんの言葉を紹介します。
「創るってことはとても楽しいこと 自分の手から何かが生み出せるなんて素晴らしい その楽しさをみんなに知ってもらいたい 生み出す力があるって事を知ってもらいたい 上手とか下手とかは関係ない 自分らしさを表現しよう 始めから思い通りにいかなくてもいいんだよ 自分らしさ...



おすすめホームページ:
☆トントンギコギコ図工の時間
*子ども絵画教室リンク集
*研究団体

100%成功する工作?~佐藤式・葛藤のない表現


04/05/31(9771)

・「ピースフルアートランドびそう」の高橋さんからメールをいただきました。
「苦肉の策で酒井式を採用した先生の現場での苦労は部外者の私にもわからないではないですが、」と前置きされながら「酒井式について美術についての考え方がなっていないということです。」「基本的な思考・思想がくるってますね」という主旨でした。
 美術全般への造詣の深い高橋さんの指摘だけに説得力があります。

北海道教育大学(国立の教員を養成する大学!)の佐藤昌彦助教授の活動が気になり調べたところ、「佐藤式」とあるではありませんか!佐藤式の基本理念は酒井式指導の理念と共通するということらしいです。今度は工作ですか。たんなる工作のお楽しみならば、おもしろそうですが…。
 しかし、正面切って「図工の基礎・基本をしっかりと指導します」と断言するならば、話は違って来ます。
 これは「理念」ではなく、「ハウツー」です。ですから実践報告は「○○のつくり方」となっています。確かに子どもは喜んでやりますね。きっと。
 失礼ながら佐藤氏の「基礎・基本」のとらえ方は、非常に狭いようです。国立の教育大学の先生である方の発言ですから、責任は重いはずです。
 もし私の娘が小学校の間、酒井式や佐藤式の指導を受けていたら、娘の豊かな発想はかなり、つぶされていたことでしょう。佐藤氏や酒井氏は、娘を未熟な存在(小さな大人)としてとらえることでしょう。子ども観が違います。長年世界各国(日本も含め)で積み上げられて来た様々な先行研究の成果をどうとらえているのでしょうか。
 佐藤式も酒井式も、表現課程における子どもの「葛藤」場面はほとんどないだろうと想像出来ます。佐藤式では100パーセント成功するのだそうです。当然ですね。

 ここ数日、方式の批判を書いて来ましたが、そこに、はまりたくは、ありません。
それよりも「美術は中学校の必修教科として必要ないのではないか」「才能のなのだから選択でやればよい」などと発言しているエラい方々の発言の方が影響力は大きいはずです。このような話は95年秋に文部科学省の前教科調査官の遠藤友麗氏から直接お聞きしました。ただ、どの場面でいつ、誰がそう発言しているのかが、わかりません。具体的なソースを知っておられる方がいたら、教えていただきたいと思います。

思いがあってこそ伝わる


04/05/29 (9591)

・宿泊学習で夕張に行って来ました。植物化石の採集、野外炊飯、石炭の歴史村でのスケッチ、石炭掘り(雨天で中止)、石炭でさつまいもを焼く、幸せの黄色いハンカチ広場見学、など盛りだくさんな内容でした。
子ども達もかなり満足した様子。真剣とか笑顔とか、そんな言葉が似合った活動になりました受け入れてくださった「夕張自然学校」のスタッフの姿勢にも、感激しました。
 さて、宿泊学習では代表委員会の指導をしましたが、集会等で伝える言葉は「何をつたえるべきか、自分の頭で考えて、本気で伝える。そうすれば、相手に伝わるから」昨年は「原稿は暗記して」という指導しでした。
そして今回、生徒の発表は見かけは多少かっこ悪くても、言葉は短くても、いい表情でした。やはり、そんな言葉はみんなが聞いてくれます。
 美術の指導と同じだと思います。
表現の完成度ばかりに目がいっていると、一番大切なはずの子どもの思いは忘れられてしまいます。自戒しつつ。

「集中」の質について


04/05/27(9475)

・今日の2年生の鉛筆デッサンの授業、決まった!休み時間のがちゃがちゃした雰囲気から授業に入ると一転してものすごく集中。前回相互評価(となりの席の生徒どうしで作品を見て、どうしたらよくなるかをアドバイスしあったので、取り組むべき方向があきらかになっている。ただしたくさんは言わないで、しぼって)のあとのせいも、あるかもしれません。課題意識があるのだと思いました。(授業の板書は「くらべる」)
一人くらいやる気のなさそうな生徒もいることは、あり得るのですが、一切なし。正直このようなときは本当にうれしいものですね。
教室の前に立って、生徒の目と手の動きや表情に着目すれば、
「とまどっている、自信がない、ただなんとなく手を動かしている、真剣に描いている。」というのが手にとるようにわかります。
今日の集中は、生徒が自信を持って、あるいは厳しく追求している結果でした。25分ほど経過して「3分間、あげるから、人の作品を見に行くといいよ。」「あるいは気分転換ね」というと、2人はそのまま描き続けていた他は、生徒は互いの作品を見にいっていました。
 これもまたうれしかった。緊張からリラックス。「もう時間(3分)かな」というと、さーっと席に戻り、また集中。
 忘れ物をした生徒がいました。自分のモチーフを忘れてしまったのです。それで他のもを練習として描いていいました。生徒に訪ねてみました。「やぱり描くモチーフで。やる気って変わる?」と訪ねてみました。「全然違う!」とのこと。「今日は忘れてくやしかったね」というと、うなずいていました。
 美術室の帰り、廊下で自分の描きかけの作品を見ている生徒が何人かいました。手応えがあったのでしょう。
 いつもこんな雰囲気になれば、いいのですが。他のクラスでの同じ授業。これも静かに取り組んでいました。これは静かなだけといった感じがしました。このクラスもうまくもっていきたいと思っています。
 さて美術の時間に「集中する」。これは真剣になっている証拠です。
しかし「集中するからよい」ということだけで、子どもをとらえるべきではないと思っています。
思いっきり葛藤しながらの集中と単純作業から生まれる集中とでは表面上は似ていても、「質」が違います。
 生徒が「葛藤」しながら、その結果、集中するのなら、素晴らしいと思っています。(単純作業から生まれるその集中も貴重ではありますが)

 ところで研究授業では私は教室の前から生徒の目と手の動き、表情を見ることにしています。
これは、おすすめです。特に観察してつくる、かくといった題材では、それを見るだけで授業での子どもの取り組みの質が見えてきます。
 ときどき研究授業を教室のうしろからだけ、指導案と見比べている方々も多いのですが、これは良い方法とは思えません。生徒の姿や思いを見て取れないですから。

04/05/25 (9339)

《更新》
リンク集>美術教育研究会に「のぶあきこ」を加えました。
茨城県の鈴木信昭先生のHPです。評価規準表、指導と評価、美術教育に関するアニメーションなどが紹介されていて、それぞれ詳しく述べられています。選択教科はユニークなもので指導者の発想のおもしろさが感じられます。生徒が主役の取り組みになっています。選択教科の報告文は生徒の言葉です。
 鈴木さんは「美術教育は、心をきれいにする教育、自己を見つめる教育と、生徒指導的な面をもつ活動(集中力を高める)など、技術教育に偏らない基本的なものをめざしています。」とのことで、私の理想と同じく人間教育の視点を大切にしています。
美術教師は一校に一人という場合がほとんどですから、やはりこうやって学び合っていくことを大切にしていかなければならないと思っています。新たな出会いはうれしいものですね。

04/05/24 (9251)

・気がつけば、このサイトのカウンターも、もうすぐ1万。よく考えるとすごい数字だなと思います。今まで研究などで、膨大な数の文章を膨大な時間を費やして、書いてきましたが、これだけ多くの人に読んでいただいたり、見ていただいたことは当然ですが、ありません。しかも見る方は教師だけです。
 今、美術教育のことをリアルタイムに考えていくために、このようにHPによる発信はよい方法だと思っています。おまけに時々感想もいただけます。感謝!
 ただ、いつもいただいているのは応援やらお褒めの言葉.ちょと不安にもなります。これでいいのかなと。時には厳しい意見もいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 美術という教科を必修教科から消さないために、今自分ができる精一杯のことをしたいと思っています。

04/05/23 (9167)

キット教材


・今日、「札幌芸術の森」に家族で行ってきました。
「作家からの贈り物」という展覧会が目当てです。
作家たちが少し息を抜いて、つくったおもちゃに、惹かれました。
ふと思いました。「なんか自分の授業は力が入りすぎていないか?」
そんなことを考えていたら、娘が「とーちゃん、木を彫りたいなー」。それは、何かを表したいという意図からではなく、とにかく「木が彫りたい」という行為そのものへの興味からです。
なんだか娘からメッセージをもらったような気がします。
帰りに「小刀」を買い、家で木を削りました。すぐ飽きてしまいましたが、彫りたいものが出て来たら夢中でやるだろうなと思います。
時間数が少ない中でどうしていくか。
中学校の「技術科」が担う部分などをもっと研究してみようかなと思いました。
それにして技術科では、なんとキット教材の多いことか。
私は中学生の頃の授業はキットは使いませんでした。
技術室の片隅に積んであった木を使ったのでした。棚や照明をつくったことは今も鮮明に覚えています。クラスのみんなの作品は全て違っていました。楽しかったなあ。

《更新》

*ダウンロード美術資料に「子どもへの礼状」を追加しました。
 授業を見たら、子どもへ礼状を出すというものです。
例として小学校2年と中学校2年のものを紹介しました。
はがきで手書きの時もありますが。
それから、授業者が「メッセージをいただく」方法とそのよさについて書いた文もUPしました。機会があったら試してみるとよいと思います。

「トントンギコギコ図工の時間」


04/05/22 (9092)

・「トントンギコギコ図工の時間」の製作上映委員会からリーフレットを送っていただきました。夏休みからは大阪でも上映するそうです。秋以降は自主上映の貸し出しもするとのこと。
 さて、そのリーフレットの中にある母親の感想が載っていました。
「釘を打つだけ、色をぬるだけでなぜこんなに、人を感動させるのでしょう。子どもってすごい!うちの子の作ってきた作品が、がらくたから宝物に思えてきました。」という言葉がありました。
 図工美術の価値を親にも伝えていくことで、親も変わる。教師もそのような努力をしなければ
(ところで、親が作品を捨ててしまったということも時々耳にします。せめて写真に残す等して、子どもと合意の上で処分して欲しいものです。傷つきますよね。親から「不器用」とか「才能だからねー」とか「他の教科でがんばりなさい」「美術もいいけど、勉強もしなさい」では)

《更新》
・美術教育あれこれ>美術教育雑感に「題材との出会い」を追加しました。

04/05/21(9034)

《更新》

・「ダウンロード美術資料集」を改訂。「親への啓蒙」というカテゴリーもつくりました。教科の存在理由を示していくためのものです。石狩の川名くんも親への啓蒙に取り組んでいます。
ダウンロード美術資料の一番のおすすめは「美術の言葉集」です。ただし、最近は言葉集は手を加えていません。
リンク集>資料>「Peaceful ArtLand B-sou」さんが美術家たちの言葉を膨大にを提供してくれているからです。

おすすめホームページ:
★のぶあきこ
★Peaceful ArtLand B-sou

やる気の出ない人は?



04/06/07(10320)

・先週,出張に行きましたが、それにともなう授業変更の連絡が悪く、生徒と先生に迷惑をかけてしまいました。情けないミスです。反省。そのクラスは他の先生が自習監督をしてくれました。今日授業があったので生徒にあやまりました。そして、その自習のとき、ある生徒が野球ボールを描いているのですが、びっくりしました。円がとても正確に描かれているのです。聞けば1時間ずっと円を描いていたとのことでした。よく見ると直したあとがあります。このこだわりは野球少年だからこそでしょう。彼の姿勢を絶賛しました。そうしたら「美術っておもしろい」との一言。うれしです。

・同じくデッサンの授業で、「今やる気のでない人は手を挙げて」と聞きました。3人手があがりました。その生徒のところへ行って、いろいろと話を聞きます。やはり、理由があります。生徒とのやりとりで、三人はその後一生懸命描いていましたが、授業が終わってから感想を聞くと、二人はやる気が出て来て満足そうでしたが、一人は「描けるようになってきたけど、つまんないです」とのこと、さて、どうするか。
生徒の感想を聞く、意欲について聞く、授業改善の良い方法だと思っています。
(「やる気のない人は?」と聞いて、多数手があがったらどうしようとドキドキしますが。)

04/06/06(10220)

・リンク集>子ども造形絵画教室に「キッズアート造形絵画教室」を加えました。
 大阪の栗山まことさんが主催する教室ですが、その中の「キッズアートニュース」では、非常に明快に「美術教育論」を述べられています。共感します。また栗山さんは幼稚園や大学での講師をしたり、「造形絵画教室のアイディア集(明治図書)」の編著、絵画教室ネットワークづくりと多彩に活動されています。
 栗山さんの言葉を紹介します。

「大人は、ついつい子どもたちに、なにか「形にする」ことや「完成させる」ことを求めてしまいます。それも、忙しい生活時間の中で、急いでやらせようとします。しかし子どもたちは、一つのことを「かたちにする」までには、ゆったりとした、十分な時間が必要なのです。目の前の素材に、感覚的に戯れたり、思った通りにしようとして失敗したり、しかしそこで新しい発見をしたり……、物事を、自分らしく完成させるには実は、こうした十分な試行錯誤の過程が保証された時間や環境が必要なのです。それは、失敗をも楽しめる、あらゆる挑戦ができる環境なのです。
 造形絵画教室キッズアートでは、絵画制作や工作、粘土、工芸クラフトなど、様々な「造形」をしていきます。しかし毎回、作品を「完成」させるのではなく、ある時には純粋に色遊びをしたり、色や形に体中の感覚で関わっていく「造形遊び」なども取り入れています。そうしたことを通して、子どもたちは自分の感性を豊かにし、やがて、本当に自分を表現したい時に、自分らしい造形表現を完成させることができるのではないでしょうか。「急がず、じっくり、今を楽しむ、自分を楽しむ」ことができる子どもを育てるのが、キッズアートの役目です。」


アートの力

04/06/05 (10147)
・たまたま行った喫茶店に置いてあった「Pen」(No.131 阪急コミュニケーションズ 6/15)という雑誌を見ていたら、「デザイン、建築、エコ、ファッション、NGOの、新しい思考回路 そうか、この手があったのか 42人の発想リスト」という特集が組まれていました。それぞれが興味深い記事でした。一部引用します。

「働く人にとってなによりも重要なのは、アーティストの感性や創造力から刺激を受けることです」そう語るのは、アーティストと企業の橋渡しを行う組織「ニュクス」(デンマーク)代表ユリウス・ノアーボ だ。(中略)
 実際に例を見てみよう。あるベルトコンベアメーカーでは、2代目社長が打ち出した改革案に対し、社員のあいだで意見が衝突して、不協和音が生まれていた。相談を受けてニュクスが提案したのは、彫刻家を会社に招き、新しいスタートとなるシンボルのオブジェを社員が創りあげることだった。唐突に思える案だが、いざやってみると「新しい自分たちの会社をつくりあげる」という目的が目に見える形で理解でき、ギクシャクしていた雰囲気がいつしか消えていた.しかもそれぞれの社員が「創り出す」ことの意味を再発見することができたのだ。今の時代、成功し続けるためには社員一人ひとりのクリエイティビテーがものを言う。従来型のコンサルティング会社任せの研修では、本当に必要な人材は育たないのではないか?そんな経営者の疑問に応え、アートの持つ「人間を解放する力」がいよいよ企業の現場に登場することになったのだ。ユリウスは確信している。「20年前は、カウンセラーすらいなかった。でも、ものごとは進化します。アートの力が、人と企業の関係をよりよう変える日は近いでしょう。」

「美術」の持つ力のうちの一つを再認識したような気がします。ところで、この話題はて学校に置き換えて考えるとおもしろいと思います。経験として行事などで似たようなことがあったよなと思い返されます。しかしユリウス氏は「アートの力」と断言しています。さて美術が学校を変える、集団をつくるという明快な意図を持った具体的な取り組みがあります。リンク集>美術教育研究会>「Micho Horikawa」です。

寺内定夫さん「絵を聴く」

04/06/04 (10087)
 寺内定夫先生は、深川の渡辺貞之先生の紹介でお会いする事ができました。そこで知ったのが「絵を聴く」という考え方です。さらに、そこで新たな考え方に触れました。今は「共感飢餓」の時代だと。

 子どもの作品の見てくればかりに目を奪われてはならないし、子どもの表現は大人とは違います。「絵を聴く」という絵画のとらえ方と対局にあるのが酒井式であり、佐藤式、松本キミ子式でしょう。子どもにとっての表現とは何か。寺内定夫さんは、美術教育(表現)の本質を考えるきっかけを与えてくれます。

 千歳の幼稚園で美術の共同研究をしたことがあります。その時、ある先生が言っていた事が思い出されます。子どもの絵はコミュニケーションの手段といえるのではないか、絵を通して子どもと話す事こそが大事だと思うし、また話をするとどんどん描いてくるということようになるといったような話でした。

 寺内先生とお会いした後、自分の美術教育のあり方を見直しました。子どもにとっての「表現」とは何か。揺れました。反面、いい年して、経験積んで何やってるんだと思ったり、そこで安住してはいけないと思ったり。葛藤の連続です。

カウンター10000

04/06/03 (10003)

・今日カウンターが10000を越え、単純に嬉しいです。思えばサイトをまじめに作り出してから、ほぼ半年が過ぎました。
この間、先生方はもちろん、様々な立場の方からいろいろなお声をいただき、たいへん光栄に思っています。おかげさまで私のアドレス帳も膨らんできました。
 さて「美術教育」が立たされている現状はきついですが、こうしてサイトを通じて交流をしてきたことで、考え方が変わって来ました。
 今までは「美術が消えたらどうするんだ?」とただ思っていました。
が、今は「美術を残すために何ができるんだろうか。」と前向きに考えるようになりました。
 教科の存続を考えると、ここ何年かが勝負となる気がしています。
ともに交流し合う中で互いに高めあいながらより「豊かな美術教育」を、つくりあげていきたいという考えます。

美術室の環境


・今日、仕事で東部中学校に行って来ました。同僚の山田先生が「東部中の美術室は美術の先生のこだわりというか、いかにも美術という感じがしますね」と聞いていたので、実際に美術室を見て来ました。
 ちょうど小出先生が美術部の指導をされていたので、いろいろとお話を伺えました。どんな美術室かと言うと、壁面いっぱいにびっしり美術展のポスターや案内状が貼られているのです。中には映画のポスターもあったりして。すごくインパクトがありました。
何かそこから何とも言えないアートの熱気が感じられるのです。
小出先生に「これって、美術っていろいろな表現があるんだよって伝えることと同じですよね」と言ったら「はい、そのつもりです。」とのことでした。
そしてポスターだから「今」を感じるんですね。リアルタイムです。このポスターがきっかけで生徒とさりげない会話も生まれるとか。
 小出先生との話の合間に美術部の生徒が私に話しかけてきました。「どれが、好きですか?」と。小出先生のさりげない環境づくり、いいなー、なるほどなーと心底思いました。美術が日常的に感じられる。
 そういえば、私が中学生のとき美術室にはってあったポスターで一枚だけ本当にびっくりしたものがありました。ボナールの絵です。女性にヌードを見て、生まれたはじて本当にきれいだと思いました。衝撃でした。


描く行為を通して対象が身近に感じてくる

04/06/02 (9925)
・2年生の宿泊学習に博物館の見学というプログラムを取り入れました。夕張の石炭博物館ですが、ただ見学させても見応えがあるのですが、展示物を主体的に見るための一つとしてスケッチを取り入れてみました。一通り見学が終わってから好きなものをスケッチするというようにしました。子ども達の描いた作品を掲示すると誰が何に興味を持ったのかすぐわかり、おもしろいなと思います。先生方には、表面上の出来ではなく、何を描いて来たのか、何に興味を持ったのかという視点で、作品を見たり、生徒と話したりしてくださいとお願いしました。
 また、描くことを通して「知る」ということもねらいました。描くという行為を通して対象に近づくといった感覚もスケッチの面白さだと思います。
 博物館の方がスケッチをしている生徒の姿を見て「展示物を描いてもらえるなんてはじめて。いっしょうけんめい描いていますね。うれしいわ。」と話しかけてくれました。(本当に夕張のスタッフはやさしい方ばかりです。)
他の先生から、「来年の修学旅行で発展させたいですね」と言われました。
 さて、国語科では授業の中で宿泊学習にちなんだ三十一文字に取り組んでいましたが、こちらはイラストとも描いていました。とってもよかった!イラストの面白さを生かした授業が国語で展開されていたわけです。生徒一人ひとりの感じた事が素直に表されていました。よい実践です。国語の作文などの「表現」に関する指導から学ぶことも多いです。

描くことを楽しむ


04/06/01(9837)

・上の絵は娘が「札幌芸術の森」に行ったとき描いた缶バッチのための絵です.我が家のペット全員集合という感じです。ウサギ、インコ、文鳥そしてエゾサンショウウオ4匹。かなり慎重に描いていました。なんだか、こんな絵を見るとうれしくなってきます。ペット達がかわいくて仕方がないという気持ちが表れています。
 先日美術の時間にクロッキーを終えての感想を生徒に書いてもらいましたが、「漫画やイラストを感想の余白に描いていいよ」と言ったら、喜んで描いていました。描くことを楽しむ感覚も大事だと思います。

障がい児学級での素晴らしい実践



04/06/20(11278)

美術関連検索サイトの滝沢さんとは情報の共有化に向けてコツコツと取り組んでいます。美術教育を必修教科として残すためにも、多くの先生との連携が必要です。

04/06/19(11147)

・私の学校には障がい児学級があります。その学級から生まれてくる作品はとても素敵です。
その子でなければ描けない絵なのです。私が「とてもいい指導ですよね」と言うと、「特別指導らしい指導はしていないんですよね」と言います。
しかし彼女は題材や材料、用具にはとても気を使っています。作品が出来たら描いた子からいろいろな話を聴いていますし、そのことをとても大事にしています。
そうすると絵の意味や表したいことや思いがわかってくるとのことでした。寺内先生の「絵を聴く」というスタンスです。
作品が出来ると「先生、見て、見て」と子どもの作品を私に見せてくれ、ニコニコしてその絵の説明をしてくれます。彼女は意図的に子どもの絵をほめるのではなく、心底子どもが好きで、子どもの表現に感激しているのです。その絵の意味が本当にわかるのは彼女なのです。
反面、親にはその絵が単に稚拙な表現としてしかとらえていないような感じがあったので、作品を「額」に入れて返したこともあるそうです。
私の身近なところで素晴らしい美術教育がおこなわれています。

04/06/18(11093)

《 更 新 》

 十数年前、自分自身の授業について深く反省するできごとが、ありました。そのことを忘れないために、美術教育あれこれ>美術教育雑感に「経験者の落とし穴」として公表しました。

04/06/16(10982)

・先日、小学校の先生を電話でサポートしました。10分か15分くらいのやりとりだったと思います。何となくサポートの仕方にも慣れて来ました。人の役に立てるのはうれしいです。

結果だけではなく、子どもの「学び」に注目


04/06/15(10891)

・今日2年生の学級PTAにいらしていた親が,何人かで廊下に掲示してある宿泊学習の作品(夕張の博物館見学が終わった直後、気に入ったものをもう一度その場に行ってスケッチしてくる。20分程度。コメントを付き)を見ていました。私は(このスケッチの場合)「出来映えよりも、描いている瞬間が大事だと思っています。」と解説しました。結果ではなく、子どもの中に何が育ったかを意識してほしかったわけです。
 10年くらい前の話ですが、ある数学の先生が私に0点の答案用紙を見せてくれました。そして「この答案用紙をよく見て下さい。途中まで何とかやろうとしているでしょ。」成績処理されたら0点ということでしかないが、この先生のこどものとらえ方はとても大事だと思いました。
 確かに0点ではあるが、数学的な考え方をやろうとしているのでした。
 10年くらい前の話ですが、ある数学の先生が私に0点の答案用紙を見せてくれました。そして「この答案用紙をよく見て下さい。途中まで何とかやろうとしているでしょ。」成績処理されたら0点ということでしかないが、この先生のこどものとらえ方はとても大事だと思いました。
 確かに0点ですが、まったくできないとあきらめてるわけではなく自分なりにやってみようとしているのでした。つまづきも見えます。
 生徒の描いた線(デッサンやクロッキー)を見ていると、いろいろなことが見えてきます。

チームで育てる

04/06/11(10604)

・同僚の美術の山田さんは、今3年生で私の「抽象絵画」をアレンジして取り組んでいます。実は題材が同じであっても「ねらい」に違いがあります。
おそらく他の人が見たら気がつかないかもしれません。山田さんと私の間ではよくわかります。二人の授業ではどちらの生徒も非常によく集中していますが、生徒が使っている脳みそは違うはずです。
しかも、このねらいは一題材で是非を問うことはできないでしょう。教育課程全体でトータルで考えなければならないことです。

 さて、この山田先生の授業が終わった後、生徒数人と山田さんと私とで作品を見ていたところ、ひとりの生徒が「みんなすごい!アー私のだめ!」と言いました。
そこで私たちが発言しました。
「他の人の抽象の作品を見て、いい!って言えるってことは、作品をつくりながら美的な感覚が高まったってことでしょ。(山崎)」「本当にそう!見る力がついたんだから(山田)」さらに山田さんはニコニコして、その生徒の作品を見て「いいねー、ここスゴいじゃない!」「わし、よー描けんはわ!(広島県出身)」など本気で感心していました。
 生徒は照れくさそうにしていましたが、やはりうれしそうでした。
その後、山田さんは、「いやー、中学生はスゴいですよね。もう発想がいいから。」「これって中学生だからこそ描ける絵だよね(山崎)」「本当にそうですよね!(山田)」何だかチームで子どもを育てている気がしました。

 私の授業を担任の先生に気軽に見に来てくださいと言っています。(私も行きますが)。すると、私が評価す言葉とは違う言葉が出て来ます。これがまた新鮮なのです。生徒もよろこびます。チームで育てるっていいですね。

なんか、いいね。


04/06/09 (10455)

・上の作品は3年生の「自分の存在証明」という作品から生まれたものです。奥のベンチに本人が腰掛けています。この作品の意図について描いた本人から聞いたのですが、教えてもらえませんでした。(この教えてもらえないというのもなぜか、うれしいものです。)「存在証明」の授業では自分の絵を理解してもらおうとか考えないで、ただ自分のために描くということもあるから、絵の中に秘密をこめてもいいと言ってあります。休み時間、クラスの生徒たちが、この絵を取り囲んで「なんか、いいね。」と話していました。共感を得ていたのです。

酒井式描画指導法の反撃?


・以前、自分の子どもが酒井式で指導を受けて困っている同僚(母)のことを書きました。その後の様子を聞くと、本を買って勉強したそうです。同僚は娘さんの担任の先生を信頼していますが、方式絵画だけは、本当に困ったとのことで、今度会って話してくるとのことでした。
 先日、娘さんの運動会が終わって母親と絵を描きながらいろいろ説明してくれるのだそうです。ただ娘さんは今度の図工で「また、おんなじだったらどうしよう?」と言っていたのだそうです。自分の描きたい場面があったのだそうですが、残念ながら授業では、描く種目やその他細かい描き方まで決められていたのだそうです。小学校1年生で図工がつまらないと言い出したので、娘がかわいそうになったということでした。
 私は同僚の娘さんの担任の先生に早く気がつてほしいと願うばかりです。同僚には「寺内定夫の子育て塾」を是非見るように勧めました。
「第1回TOSS酒井式全国大会にむけての基調提案(酒井臣吾)」という文章を入手しました。その中に「酒井式に対するいわれのない中傷、攻撃、妨害への対処の仕方」というのがあり唖然としました。
 さらに「酒井式で子どもにすばらしい絵を描かせた事実、子どもが自信を持った事実、親が喜んだ事実を積み重ねている人は強い。」「事実がなくて、理屈で相手を言い負かしても絶対によいことは何もない。」と書いてありました。
さらにTOSS酒井式描画指導法研究会札幌支部会報23号では、「酒井式への批判に対する対処の仕方」「そろそろ反撃しよう!!」という言葉をみつけました。
(同じ教師に向かってこんな発言をするとは!なんと悲しい発言でしょう)
 酒井式は教師の考え方までマニュアル化するのでしょうか。

最初のころ「かたつむりの線」でと言ったあたりまでは、時には有効性があったかもしれません。(私は素描の入門時に目と手の動きを連動させてじっくり、ゆっくりと指導しています。ただし、すべてに当てはめるわけではなく、ものの見方の一例として。)ただし、この「かたつむりの線」は酒井式の発明ではありません。

北海道教育美術展から酒井式の絵が完全に消えました。なお、私自身も過去、酒井式の指導を知らないで、その作品を一点だけ見たときは「いい絵だな」と思ったこともあります。日本文教出版の教科書に酒井式の絵が載っていますが、おそらく私同様指導の背景までは気がつかなかったのでしょう。

おすすめホームページ:
☆寺内定夫の子育て塾
*経験者の落とし穴


2008年 全道造形教育研究大会 石狩管内で

04/06/29 (11800)

・石狩造形教育連盟の総会がありました。
2008年、石狩で全道造形教育研究大会が開催されることになりました。
研究会は提案の場です。教科の存在理由を見据えた内容にしたいものです。

人との出会いの素晴らしさ


・小野有五氏の講演会は感動的でした。子どもも真剣に聴いていました。
子どもの感想文を読んだのですが、しっかりと受けとめていたようで、うれしいです。
 それにしても、尊敬すべき大学教授です。視点がやさしいのです。
あたたかさが伝わって来ます。
 最近は総合学習の教師になっています。
よい内容にしようとすると、ついつい力が入ってしまいます。
子ども達が素敵な大人、尊敬すべき大人に出会わせたいと思っています。



北広島市の図工美術部会

04/06/21(11353)
・地元の北広島市の図工美術部会の研究会がありました。
内容は研究主題にそった実践交流です。
30人の参加で、小学校・中学校合同です。
 私が司会をしましたが、実践報告が研究にそった内容になるように心がけました。
最初はちょっと堅苦しい感じになりますが、あえて研究内容の要約を読み上げました。できれば研究に沿って発言して欲しいということで。
およそ1時間30分。勉強になりました。
なるほどな、こんな方法があるのかと思ったり。やはり一人で考えるより仲間と共に考えるといいものです。
実践交流では、いわゆる「よい」作品だけを持って来ての発表が姿を消しました。1クラス全部を発表が基本だと思います。10年以上前はいわゆる完成度の高い作品を持ち寄っての協議が主流でした。
 ところで、研究発表は立ち話のような感じになりましたが、私はその方法が好きです。(長時間でなければの話ですが)発言しやすいですし。
 笑顔がある中での交流で、しかも本質的な話も出たりで、よかったなあ。
時間があれば激論がよいのですが。自分の価値観が揺らぐようなそんな論議が理想です。
 笑顔の中での交流でしたが「子どもの心を傷つけてしまう場面」などについての話題も出て来ました。非常に大切な話だと思います。

地峡環境科学の小野有五教授から学ぶ


・総合学習の関係で北海道大学院地球環境科学科の小野有五教授にお会いして来ました。
「環境問題」で私はもっとも信頼している方です。
千歳川放水路問題のフォーラムで彼が反対するだけではなく、専門家の立場で「代案」を出していました。放水路の計画が話し合いの積み重ねによって中止になったというのは市民運動として画期的でした。

 小野有五さんは大学で研究をしていますが、行動する科学者です。
そして地球環境科学を研究している大学教授はに対し、今やるべきことは「研究よりも行動」と言っておられます。だから小野有五さんのサイトも一般の人が見てもわかりやすいのです。

 今、美術教育が危機的な状況にある中、教員養成課程の大学の先生にも頑張っていただきたいと思っています。もちろん、私もやれるべきことは微力でもやっていくことが前提です。
 今必要なのは「美術科教育学」を深めることよりも、図工の指導に困っている先生や無免許で美術を教えている先生、図工は才能やうまさだと思っている先生、親、特に母親になったばかりの方への啓蒙。あるいは支援.そんなことをしていってほしいのです。
 またお願いしたいのは「美術科教育に関する論文」のことですが、やはり一人でも多くの現場教師に読ませることを前提にわかりやすく平易に書いて欲しいのです。現場への援護射撃お願いします。

 このことについて反論もあるでしょうが、今は小野有五先生が語るように「研究よりも行動です」なぜなら美術教育が危機に瀕しているからです。
私はこれから数年のうちが、もっとも大事だと思っています。

 本業である目の前の子どもたちを育てていくことをおろそかにすることなく、自分がどう行動すべきかは難しいですが、後悔したくありません。何かをしなければ。
今、とりあえず無理なく出来ることはこのサイトを通していろいろな人とつながっていくことです。

 小野有五さんのサイトにある言葉「苦しくても楽しい世界へ」という言葉で元気が出て来ます。

※上の写真は「札幌芸術の森・野外彫刻美術館」の写真です。

☆ようこそYUGO Woldへ

「美術教育はなぜ必要か」~渡辺貞之氏の講演会と川名義美先生の全国教研参加報告

04/07/15(12722)

 石狩管内教育研究会図工美術部会主催の美術教育の理論研修会がおこなわれました。
川名くんからは全国教研の参加報告。これは非常に価値ある企画でした。
平山部長と村田事務局長!ありがとうございます。
 川名君は作品を返す時、生徒にその価値や意義を伝えることの大事さを強調していました。
(以前川名君から、教えてもらって、これは大事だと思い、今年から私もはじめました。確かに大事なことです。授業のねらいと子どもの活動を見直し、ねらいの妥当性を問うという作業でもあります。これひとつとりあげて研修してもおもしろいくらいです)
 そして鑑賞の重要性。石狩の今年の課題でもあります。(なお、鑑賞教育に関してはリンク集の中の福本謹一先生のサイトはぜひご覧下さい.様々な提案が多角的になされています。)

 これまでも全国教研には石狩から、加藤さん、工藤君、野口君と参加して来ましたが、川名君の報告は出色でした。わかりやすい。しかも本質をついています。そして石狩の研究を背景にしながら、共同研究がいかに力を持つものかを認識させてくれました。北海道や石狩の仲間が聴いたらうれしいです。

 そして渡辺貞之先生(深川)の講演。戦後の美術教育の変遷を述べながら、子どもの生活にねざすことの大切さや「絵画は目に見えないものを描く」という本質論を述べられました。要旨をいくつか列記します。

・子どもの絵は「聴いてこそわかる」ということを強調されていました。絵を通して子どもと会話することの価値。(参考までにリンク集の寺内定夫氏のサイトをご覧下さい。今はアクセス数は500程度ですが、もっと多くの人に見て欲しいサイトの一つです)

・自由画教育運動のとらえ違いによる「放任」。その後、図工の指導はよくわからんという空気が。そんな中で一部の良心的な教師がわらをもすがる気持ちでとびついたキミ子方式や酒井方式の間違い。

・子どもの生活に根ざした題材を設定することの大事さ。

 渡辺先生は退職されて3年目。退職されてから気がついたことも多いとか。
私たちにとって貴重なメッセージを送ってくださいました。
 渡辺先生の美術教育論では、いつも子どもの姿が感じられます。
思えば、渡辺先生との出会いは、私にとっても大きなものでした。
私がもっていた理想の美術教育を既に日々の授業で実践されていたのでした。

 素晴らしいひとときを過ごせました。感謝。

おじいちゃん、おばあちゃんに絵はがき

04/07/10 (12406)

 2年生の水彩のスケッチ、8つ切り画用紙を4分割(32切)ですが、どうせやるなら、はがきの大きさにすればよかったかなと思っています。
生徒がおじいちゃん、おばあちゃんに送ろかななどと話していたりしたものですから。
やっぱり生徒には「絵はがき等にもいい」ではなく「絵はがき」としてそのまま使えるという授業にすればよかった。
 孫が描いた絵が届いたら、やっぱりうれしいでしょうから。絵を描く楽しみを言うならここまでやればよかった。
 抽象絵画なども小さい作品なので縮小コピーしてはがきに印刷して、生徒に1枚渡すのもいいかもしれない。となると220枚印刷かあ。
 青森の先生が自分のクラスの子どもの版画を絵はがきにしてあげていました。
縮小されるとまた雰囲気がちがった新たな発見があったりします。
 デジカメ1台とスキャナ付きのインクジェットプリンタを備品で購入し、美術室においておけばいいのだと、今気がつきました。予算が限られているので難しいですが。


描く楽しさ

04/07/06 (12216)
 今、2年生で、はがき大の画用紙に風景画を描いています。描くことそのものを楽しむことを主眼においています。和やかな雰囲気です。50分の授業で2~3枚描きます。水彩画はこう描かなくてはならないという概念をとりはらって欲しいとも思います。デッサンのあとにこの授業を持ってくることは、大事だと思っています。

題材設定の理由「神社の絵」をめぐって

04/09/04(16524)

 先日小学校の先生からメールをいただきました。
内容は高学年で「神社の絵」を描く事になっているのだが、どう指導したらよいのかという問い合わせでした。
(学校のカリキュラムの中ですでに神社は決定しているとの事)
 私は以下のようなアドバイスを自分なりにしてみました。

・本当はなぜ神社なのかという理由があっての授業なので、来年以降、学校で見直したらよいとアドバイスをしました。地域によっても神社と子どもの関わりも違いますし。
・神社の絵が一般化したのは造形的におもしろいこと、神社が子どもの遊び場であったこと(地域や時代で違いますが)、いわゆる「絵になる風景」などと言われること、複雑な形をしているので描き込みやすいこと、緻密な表現でコンクールでの入賞したものを目にする事、などが考えられます。しかし、今の子どもの生活と照らし合わせるとどうかという疑問が残ります.
 神社を描く意味が子どもにとってどうかを吟味する必要があるのでは?本当にふさわしいかどうかは一考を要する。
・神社を描くのが決まっているので、その中でベターな方法として、子どもに神社に興味を持つような(描きたくなるような)話をしてみては?
・本気で考えてみて、神社を描かせる適切な理由が見当たらないなら、別に神社そのものを描く必要がないのではないか。神社の周辺にある木なども対象になるだろうし、神社の一部を描いてもいいのでは。子どもが興味を持った事をかけばよいとしては?
・以上を踏まえて、導入の語りかけを大事にしてください。
ただし山崎の考え方ですのでこれが正しいということではありませんので、あくまでも参考です。

(いろいろな考え方に触れるためにも私のHPは「リンク集」を大切にしています。場合によっては、リンク集の他の人の内容を推薦することもあります。)

返信が来ました。

 その先生は神社へ出かけていって、神社の方に神社の歴史を聞いたそうです。(最高!)
 ずいぶん前の建築で、歴史の授業とすこし関連するとのことでした。また狛犬があるのですが、50年以上前のもので、つがいになっていること。神社を守る役目なので、力強い形をしていたそうです。非常に古い木があって、木の歴史について解説がついていたことなどを発見。古いもののよさ、昔の人の暮らしと今の暮らしなど考えてみると、なんだか子ども達にぜひ描いてもらいたい気になったとのことでした。
 こんな行動力を持ち自ら価値を探っていこうとする先生の姿勢に、自らよい授業をつくりたいという熱意を感じました。

 その先生なりに題材設定の理由が見えて来たようでした。こんな感覚で導入時に語れば、ただ神社を描きましょうとか、神社を描く時のポイントだとかを話すより、子どもの絵に向かう気持ちは違ってくるでしょう。こうすれば感情移入しながら描く子どもも出てくると思います。
 この絵の指導はもちろんこれが全てではありませんが、導入は子どもの描く意欲を引き出す上で、とてもとても大事だと思います。
昨日の水野さんの研究発表でも、題材設定の理由が大事にされていました。

 なお、後日、この記事を読まれた村瀬千樫教授から「神社を描く理由もまずその意義から入ることが大事で適切な助言だと思います。」との感想をいただきました。
 現場と大学でこのようにして、実践を通してリアルタイムに考えられるのはありがたい事です。

美術教育で困っている人への支援


 時々相談のメールが来ます。数が少ないので対応できますが。今私の目の前の子どもたちが一番大切です。しかし、見知らぬどこかの子どもの役にも立ちたい、そうやって美術教育を盛り上げていきたいとも思っています.

 それから無免許で美術を担当せざるを得ない先生へのサポート。これも大事だと思っていますが。地域によってはこのような先生のための講習会が開かれてるところもあります。
 やはり「広げる研究」を大事にしなければと思っています。

ただし、自分に言い聞かせています。「支援などできる力が本当にあるのか。足元を見ろよ。」あるいは「これまで他の先生や子どもから学んで来た事を自分だけのものにするな。恩返ししろ。」と。

 相談しているうちに、自分自身が発見する事もありますし、共同でつくる感覚になることもあります。
 先日は、「鑑賞の指導案」へのアドバイスをしているうちに、今度これで授業やってみようかなと思ったくらいです。


おすすめホームページ:
*広げる研究と深める研究
*制作過程での相互評価
*石狩の研究

鑑賞教育についてあれこれ考えてみました


04/09/12(17345)

 先日他教科の補欠授業のときに、ちゃっかりその時間をもらって「鑑賞ビデオ」を見せました。美術作品の解説を聞きながらの作品鑑賞です。
 「なるほど」と思わせる内容で素晴らしいのですが、一歩間違えれば、作品の見方や価値を知る事で(ビデオ解説もある一つの感じ方や考え方)、子ども達は作品の価値はすでに専門家の人によって決められていると思ってしまうのではないか。美術を身近に感じさせることを遠ざけてしまうマイナス面もあるなと思っていたのです。
 ビデオの感想に「えらい人にはわかるかもしれないけれど、私にはピンときませんでした。」とあったのです。

 美術教育の中における鑑賞の意義、必要性については今後も深めていく必要があるでしょう。

 さて、そんな中で実にタイミングよく、旭川の若手教師 庄子 展弘 くんが、お願いしていた全道造形教育研究大会旭川大会の鑑賞の授業の指導案をメールで送ってくれました。
 その指導案が実におもしろかった。先行研究をしっかりととらえ、そこから学びつつ、授業改善してく様子が伝わってくるものでした。指導案というよりもレポートと言った方がよいのかもしれません。
 内容は「対話型の鑑賞授業」で「まなざしの共有」がテーマ。
マサチューセッツ美術大学のアビゲイル・ハウゼンとニューヨーク近代美術館の共同研究で明らかにしてきた「鑑賞能力の発達段階」を押さえつつ、庄子君自身が実際の授業で試行してきたその経過も述べられている。
 こうなると教師は「ファシリテーター」(注、山崎が思うに「触媒的な役割」とでも言ったらいいのかな、不勉強ですが)としての役割となるのかな。
 ファシリテーターとして授業をすることは、子ども同士の学びあいが豊かになっていく、一人ではなく仲間とともに学ぶよさ、その結果鑑賞活動を通して、自分の感じ方や考え方が広がり、深まる。

 庄子君の指導にはその学びを「ふりかえる」場がしっかりと設定されている。そこも非常に大事な事だと思う。自分で振り返り学びの価値に気がつく。

 そういえば思い出した。十勝の真鍋幸恵さんは「アメリカの鑑賞教育プログラムVisual Thinking Strategies (視覚で考える方法?:山崎),対話形式の鑑賞教育についてくわしいのでした。(お会いした事はありませんが。リンク集>美術館との連携>「つなぐNPO」の中に真鍋さんが主催する「観客の学校十勝校」がリンクされています。)

 刺激になるなあ。「ファシリテーター」か。(ところでよい日本語訳をつくりたいものです)

 鑑賞の授業と言えば福本謹一教授のWebAE誌「鑑賞教育を考える」は必見と思います。
そのなか中の「創刊号」にシカゴ美術館の実践例に質問内容とその意図が例として示されています。
一覧表でわかりやすくまとめられています。
授業をつくるうえで参考になるでしょう。
また、この発問からシカゴ美術館で鑑賞教育を通して、何をねらっているかが見えて来ます。

アメリカにはDBAE (Discipline Based Art Education)(学問に基づいた美術教育?:山崎)もあるし、最近はどうなのだろう?

 美術教育における「鑑賞教育」のあり方を考えていきた。

 ちなみに庄子君の資料には、同じ授業を各クラスで実践してみてその違いや共通点がのべられているけれども、ここがすごくよいと思うのです。
 久しぶりに面白いしかも提案の明快な指導案にぶつかりました。課題としては、どの作品を鑑賞してもらうかということになってくるだろうなと思っています。ファシリテーション マトリックスも面白かった。授業中自分の言葉が生きて、広がり、深まる。いいなあ。
 教育大学付属札幌中学校の研究主題(「共にあゆむ学び」をめざしてー「つなぎあう授業の創造」)とからんだら、おもしろいかもしれません。

 「美術教育HOTひろば」の人見さんのダイナッミクな鑑賞授業、来週に控えた熊本の「美術・夢創造科」の緒方さんの鑑賞授業「ルネサンスのライバル」、福本謹一教授のもと大学院大学で学んでいる先生の研究経過、美術教育学会での鑑賞教育の実態調査、石狩で着目しはじめた鑑賞授業。私も置き去りにされないように勉強したい。

 なんだか横文字がたくさん並んでしまいました。横文字よりも誰もがわかりやすい言葉を使うべきとは思うのですが。(そうしないと、広く美術教育のよさを理解してもらえないように思いますから。教育関係者以外の方にもわかってもらえる言葉を使うのが理想だと思っています)

結果としての作品からだけではわからないこと




 上の写真は小学校6年生の娘が夏休みにつくったカワセミです。「トーチャン、芯はどうしたらいいの?」アルミの針金とラムネ菓子のケースは娘が自分で用意していました。
 羽の部分は、「厚紙にしたらいいんでないか?」とアイディアを出すと実験したうえ、制作に入りました。
 インターネットで写真をさがしたり、図鑑を図書館から借りて来たり、それはそれはこっていました。くちばしなどは何度もやりなおし数時間かけているはずです。今までは居間で制作していたのですが、今回は自分の部屋にこもってやっていました。ですから私も制作過程をよく見ていません。部屋に作品を見に行くのが楽しみでした。
 くちばしにくわえている魚もこだわって、最後はニスで仕上げるという念の入れよう。
この制作過程を見ていて、カワセミを完成させるまでに次のような営みがありました。
 夏休みの作品は何をつくろか(工作は自分の誇りです)→色のきれいな生き物(生き物にくわしいことも誇り)にしよう→カワセミがいい。川にも実際に観察に見に行った。そのうえで、完成のイメージをつくり、具体的な目標を持ち、そのために必要な情報を収集し、時間の使い方を考え、試行錯誤を繰り返しながらも、チャレンジしていく。出来上がった作品は自分の宝であり、自然を愛でる象徴ともいえる。
 様々な学びがこの工作を通してあったように思います。
 このような過程を通してつけた学力は様々な場面に転移していくと思っています。

 最近、娘が「かあさん、分数よくわかんないから、教えて」「どうしてこななるの?と言っていました…。けっこうつまづいています。でも、それでいいんだよな。WONDERの精神こそ大事だよな.とりあえず。
 今思い出した事。宮崎駿氏の「思いでぽろぽろ」に出てくる主人公が分数の割り算に疑問を持つ場面。
娘が低学年のとき、公文式の塾に行きたいと言った時、行かせなかったこと。 
レイチエル=カーソンさんの言葉。遠藤友麗氏が美術教育で育てたいと提唱していたDVCH(Dream,Vison,Challennge,Heart&Humanity)。

 結果としての作品を見てもこの学びの価値はわからない。そのプロセスに目を向けなくては。
子どもの絵画コンクールがもたらす「罪」の部分を私たちはしっかりと認識しておく必要があると思います。
 このカワセミを見て「上手だねー」「本物みたい」「器用だね」「才能あるんだね」という見方は、きわめて一面的なものだろう。この作品の価値を本当にわかっているのは親でだろうなあ。
 なんだか散漫な文になってしまいました。ここに思い浮かんだことは実は大事な事だと直感しています。

子どもの思いを知るために


04/09/11(17252)

 授業の最後に子ども達に「この授業を通して、感じたこと、考えたこと、発見したことなどを書いて下さい」と言って「感想文」を書いてもらっています。
 担当する生徒がいま400人ほどですから、授業中の対話と結果としての作品からだけでは、子どもの思いを知るのは非常に厳しいものがあります。
ですから、この作文も参考にしながら子どもの作品を受けとめます。
書いてもらってはじめてわかるということが多いです。そして授業改善のための生徒からの貴重な提案という側面もあります。そして、何より「子どもにとっての表現とは何か」を考えるヒントになります。
 そこで、「美術教育あれこれ」の中に「1枚の絵から」というコーナーを新設しました。

 なお、私の学校の障がい児の学級の先生は、子どもの表現行為と対話が一体となっています。こうなると作文などいらないです。
ですから、私がその絵を見せていただいて、何を描いているかわからなくても、指導した先生には、その絵の価値を本当によくわかっているのです。
描かれた結果としての形の意味がわかるという表面的なことだけではなく、どんな気持ちで描いているのかをわかっているのです。そしてその表現から子どもの新たな側面を発見しています。
「絵を聴く」ということは年齢が低ければ低いほどきわめて重用になってくるでしょう。

 このことについては「リンク集」>「背景」>「寺内定夫の子育て塾」をご覧下さい。


絵画(図工)指導の基本


04/09/10(17148)

 よいサイトを見つけました。
福井県教育研究所の教育情報のページの「各部屋から」>「図工・美術」です。その中に「作品の見方」というものがあります。
 10項目にわたって、子どもの絵のとらえ方が書かれているのですが、簡潔でポイントを押さえた記述となっています。これがとてもわかりやすいのです。
.絵画指導の基本となることが書かれています.
また福井県教育研究所として取り組んでいる「研修講座」を見ると、これも参考になります。
 私のリンク集では「資料集」の中に加えました.


おすすめホームページ:
☆福井県教育研究所
☆寺内定夫の子育て塾
*1枚の絵から

共同研究はいいなあ

04/09/16(17641)

 今日北広島市図工美術部会で、石狩管内の研究会を北広島市で10月に開催するにあたり、そのための研究授業の事前研究と個人の実践交流をしました。けっこう厳しい意見も出たりして、中身のある研究会になりました。
 やはり共同研究のよさは自分ひとりでは気がつかないことに気がつく面白さがあります。
研究会の後半では、東部中学校の小出先生の鑑賞の授業の指導案検討。
提案のある授業になりそうです。
 そして石狩の平山部長の、「厳しく批判するところはする、他の人の実践のよいものは学び、自分のものとしていく」という姿勢が、石狩の研究を面白くするのではないかと思っています。
 ですから今日の研究会は6月にやったときよりも中身が濃かったといえます。
ふと思いました。そうか、弁証法的に発展させていけばよいのだなと。

写真と美術の授業

04/09/14(17498)
「art edu」の小野さんのBlogにデジタルカメラのことについてコメントをつけたら、ご返事をいただきましたが、共感しました。

「デジタルカメラが「カメラ」の裾野を一気に広げた感があると思います。(中略)ピントやぶれ、焦点距離、ワイドやテレの特性といったカメラの基礎すら全然知られていないで学習に使われている、そして構図とか色彩などなどの造形的要素も一切無視されて使われている現状はなんだかとても悲しくなってしまっています。デジタルカメラといえども、やはりカメラ。そしてただのデジカメで撮る写真であっても、どう撮るかという知識を少し知っていると知っていないとでは、全然違うんだ・・・そんなことを知っていってもらいたいと思っています。(中略)当然、学校にあるデジタルカメラであっても、造形表現のひとつとしての写真表現は十分に可能なんだということが伝えられたらばと思っています。そして、写真表現は、主題や表現の読み取りなどの造形鑑賞の可能性もすごくあるのでは・・・と思っています。」

 私も思いは同じでした。ただ、学校にはデジタルカメラが1台しかないので。そして、写真の授業をやれば美術の時間がまた減ってしまうしと思っていました。
しかし、よーく考えると、総合学習では生徒がカメラを持参してくることもあるので、(カメラの使い方については)総合学習でやってしまおうかなと今思いました。
 そして、もう一つ、テーマを決めて生徒が写真撮影をするという授業です。
たとえば「秋」とか「身近に見つけた自然の美」とか、そして同じテーマで違うアングルで撮影してみるというものです。できあがった写真を比較鑑賞し、構図や色彩などについて学習するとともに、絵画との違いを考えさせたり、そして身近なところから「美」を見いだすことを楽しむ心と目を育てられたらと思っています。ましてや大人になってからもカメラなら誰でもが使うでしょうから、生きて働く力にもなりますし.この授業はまだアイディアの段階ですが。
小野さんと同じようなこと考えているんだなーと思うとうれしくなりました。
実は、私は大学生の途中まで、写真なんか誰がとっても似たようなものと思っていました。
しかし、大学の講義で出会った高久先生の影響で、すっかり写真の魅力にとりつかれたのでした。
 近所の年輩の方に、写真の撮り方を教えたところたいへん喜ばれました。二人とも美を大事にしているということでは共通です。

まるで研究会のようです


 石狩でも鑑賞のことやろうとしているし、庄子君から届いた指導案もあったし、最近は「美術教育HOTひろば(滋賀)」の人見さん、「夢創造科(熊本)」の緒方さん、「つなぐNPO」「つなぐNPO十勝校」の真鍋さんと様々な新たな出会いがありました。
 鑑賞のことで、何人かの方とメールのやりとりをしました。ものすごく勉強になります。
まるで研究会に参加しているようです。
メールをいただいた方から、了解を得られれば公開したいと思っています。
私が得た有益な情報はどんどん発信していきたいと思っています。
リンク集に力を入れているのもそんな願いがあっての事です。

04/09/13(17420)


 ダウンロード美術資料に、旭川の庄子君の資料を加えました。
鑑賞の授業の指導案なのですが、各学年、各学級の授業をしながら、そこに改善を加えています。その姿は子どもに伝わりますよね。1時間の授業のために深い研究をしています。
なお、指導案には、彼のメールアドレスを入れてもらいました。

子どもの発達と遊び


 ダウンロード資料に、「子どもの発達と遊び」という本から抜粋した資料を加えました。
小学校に造形遊びが本格的に入って来たとき、別の視点から「遊び」について考えたくて読んだ本です。演繹法的な手法による研究ではなく、帰納法的な研究で、徹底して子どもを観察するところから、その行為に意味について考察しています。地味な研究で、えっ!という驚きもありませんが、でもなるほど、そうだよなと安心するものがあります。
 親や幼稚園の先生にはお勧めです。
 発達段階の勉強と合わせて読むとおもいろかもしれません。

なぜ学ぶのか


 今、我が家に、塾や家庭教師からの勧誘電話がかなり来ています。親が教師ですからと言ってお断りしますが、こうやってたくさん電話はするは、訪問販売はするは、テレビで宣伝はするは、普通の親ならどう思うのかな。おまけに早期教育の本も出ているし。
そこにちらつくのは「受験学力」「ペーパーテスト」の事です.
 進学のために授業があるのではないはず。
 子ども達には、なぜ学ぶのかということを意識させていきたい。
 高校入試が終わると、他教科のほとんどの先生は、授業はもう終わりという感覚です。子どももそうです。(これは学校によって違いますが。以前いた学校は、この最後の授業を大事にしていて、私も他教科の先生の参観にいったくらいです。感動がありますから)
卒業前は美術は卒業制作、音楽は合唱で大忙し。
 最後の授業は、どの教科も義務教育を終えるにあたり、なぜ学んで来たのか、そしてこれからも学ぶことの大切さをじっくりと語るべきではないのかなと思います。
 美術という教科は受験科目にありません。だから、なぜ学ぶのかが大事になるわけです。そういう意味では、美術教師は学力の本質を考えやすいポジションにいると思います。
 こんな話を同僚にしたら、うなづいていました。
私だって理科も社会も数学もなぜ勉強するの?と聞かれたら言いたい事は一杯あります。
しかし、このように受験産業が頑張っている中、学力の本質論はわすれられてしまいそうです。
 今気が進まない中でやっていた総合学習ですが、今は違います.とても大事な時間だと思っています。学ぶ価値を子どもがもっともとらえやすいとも言えます。だから子どもも「ためになる」と言うのだと思います。
 だけど、先生方はどうしても学習に結果物(レポートなど)の完成度に目を奪われてしまいがちです。その学習のプロセスにこそ価値があるのに。今年はプロセスを大事にするようになってきています。

学校のホームページ、この手があったか!


 東京の川島さんからメールが届きました。
「日曜日に出かけた淋派展が、感動的でしたので
全校児童にも鑑賞を呼びかけることにしました。
やはり、教科書にほしい作品です。
IT時代(引率できない時)の鑑賞教育を模索しています。」とのこと日曜日に出かけた淋派展が、感動的でしたので
全校児童にも鑑賞を呼びかけることにしました。
http://academic2.plala.or.jp/edo34s/news.html

下の「川島さんの取り組み」をご覧下さい。
(ただし、日が経てば、リンクが切れる可能性もあります)

IT時代(引率できない時)の鑑賞教育を模索しています。
やはり、教科書にほしい作品です。」とのことでした。

早速、サイトをのぞいてみました。あっ!この手があったかと思いました。
(情報提供の公平性という課題は残りつつも。)
私は自分の学校のホームページにリンク集をつくり、授業でも家庭学習でも
使えるようなものを考えていたので。刺激になりました。

子どもの作品の点検と管理!?


 今「図工大好き子ども美術展」の「参加校指導者の言葉」を、読んでいました。
Blog形式なのでコメントをつけていました。美術展の主幹の鈴石弘之さんにコメントをつけたところ、コメントが鈴石
さんからついて来ました。

「子ども展の発想は、減少する図工の時間の問題を社会に告発し、図工の時間の大切さをアッピールする事にあります。都主催の都展がありますが、都が表彰状をとの意向を20年余にわたって拒否し、誰でもが出品できる展覧会こそが、望ましいのだと抵抗してきましたが、近年、他教科が率先して表彰状を受け取り、学校で表彰するようになり、ついに、昨年からは、表彰状をわたすようになりました。今年からは主催として、管理するようになりました。
時代は、美術教育をも管理をし、自主・自由の目途を挫折させています。出品作品1点1点を点検し、いわゆる人権問題に抵触しないか、吟味をし、出品を取りやめさせる作品もあります。おそろしい、東京です。子ども展は自由が存在しますが、出品趣旨などについては、過激な文章は自粛せざるを得ません。厚生労働省の直下で行うのですから、やもう得ません。」

おそろしくなりました。わたしも過激なコメントは自粛しました。
ご迷惑をおかけしたくはないので。
恐ろしい時代です。

☆上の写真は「札幌芸術の森」にて撮影したものです。


おすすめホームページ:
☆川島さんの取り組み
*ダウンロード美術資料
☆図工大好き子ども美術展


第8回 東京都図画工作研究会のこと

04/09/20(17952)
 最近、「第8回 図工大好き子ども美術展」のことが気になります。
そこでの教師のコメントを読むと、東京にいる先生方が教科存続の危機を肌で感じていることが伝わって来ます。気になったので改めて「東京都図画工作研究会」を、じっくりと見させていただきました。
 そこには、図工の本質をとらえた、発言が多数あり、また共感する部分のなんと多いことか。
美術の研究会では、ややもすると授業論(もちろんこれはとても大事なのですが)にとどまりがちなのですが、広い視野で考えていく大切さを改めて実感しました。

 さて「第8回 図工大好き子ども美術展」は、各地で行われている「子どもの作品展」に対し、一石を投じるものと思います。

 石狩の「教育美術展」は功罪をかかえながらも、図工美術のよさを広くいろいろな方々に知ってもらおうということですすめて来ていますが、このままでは形骸化しかねません。
 吉田英夫先生が退職前に、作品展に「子どもの絵の見方」というような解説をつけたらどうだろう?と話しておられました。やらなくては。
 東京の子ども美術展を通して、あれこれ考えさせられたのでした。

書店に行って愕然~酒井式の本が多数!


 最近、本はオンラインで購入しているのであまり書店に出向かなくなりました。
久しぶりに教育書の図工美術コーナーを見て、愕然!スペースが減っています。

 そして、なんとその3分の1近くが酒井式ではありませんか!何冊か手に取って見ましたが、初版ではなく増刷されたものばかり。売れているのですね。
 子どもの多様な可能性をむしりとるこの方式。一本のモノサシで、子どもの絵の価値を決めてしまうおそろしさ。どうして、この恐ろしさに気がつかないのだろう?全国の子どもが一斉に同じ手順で同じ描き方で「電信柱」「給食」「シャボン玉」「ホタルブクロ」を描くことに疑問を持たないのだろう?
 ある実践を読んでいたら、「中学校に送り出す前に最適な題材」と書かれてあった。心の中で叫んだ!「それだけは勘弁してくれ!絵をうわべだけでしか考えない、指示待ちでしか描けない、しかも身に付けてきた技法は特定の技法、そして自己を表現することの楽しさ、素晴らしさを知らないで中学校に来るのですか?」

 なお、酒井式をされている方で反論があれば、お願いします。酒井式を試みておられる先生は多分、指導(指示)がとても楽になったことと思います。(「かたつむりの線」を一時導入してみるのはよいかもしれませんが。)
しかし、子ども達は一人一人、その中で何を感じ、考えたのかを考えていただけませんか?
例えば「シャボン玉」を吹いたとき、一人一人感じることは違うはずです。
 酒井式ので指導(?)される先生方の作文の指導はどうなっているのだろうと思います。

 最後に、もう唖然とした実践がありました。本物そっくりのウンチをつくらせ、さらに、それが一番本物そっくりかを「競う」ものでした。確かに、子どもは喜んだように見えるかもしれません。笑顔の写真が掲載されていましたから。そこに何が育ったのでしょう?これをよしとするのが酒井式なのですね。
 確かに混色は工夫したでしょう。完成した作品をトイレに持ち込んでイタズラする子どもも出て来たとか。
これを出版した「明治図書」さんは、どう判断されているのでしょう.そして編集した酒井さんは?


今、もっとも訴えたいこと

04/09/19(17860)
 美術教育を考えていく上で、いま、どんなに授業実践を充実させようとも、その場がなくなってしまえば…。
 今、日々の授業を充実させることが何より大事です。
同時にしなければならないこと、それは教科を必修として残すために何か行動することでしょう。
 そのために、とりあえずすぐできることは、美術教師がネットワークを強固に組むことだと思います。ここ数年が大事だと思います。
 そんな思いから、私のサイトの自己紹介の中に「美術教育を広げるために」という一文を加えました。
 教育関係者以外のかたの応援もぜひお願いします。お読みください。
このページの下の「*美術教育を広げるために」から直接、ご覧になれます。





自分の好みや美意識について考えてみました


04/09/18 

 先日、私の車の前にポルシェ911が走っていました。ふと、思ったのですが、以前あんなに好きだったポルシェを見てもドキドキしなくなってしまいました。なんでだろう?
 どのくらい好きだったのかというと、実は30代前半ころ、密かにポルシェ911を(もちろん中古)買おうと密かに計画していました。まさか、家庭訪問に行くのにポルシェはまずいから、やはりもう1台、軽自動車も買わなくてはならないかな、とか、維持費にどのくらいかかるのか専門誌などを買って研究していたくらいでした。アメリカで買って日本に個人輸入した方が安いのかもしれない、オランダの免税店で買う方法もあるとか、年式の特徴とか、かなり盛り上がってきいました。妻に購入について話したところ、もう論外という感じでした。どう考えても妻の主張が正しいのでした。結局、いつのまにかポルシェ購入計画は消え、家を建てる事になったのです。まあ選択としてはこれが正しかったのですが…。
 しかし、あれほど好きだったポルシェ。あの車の持つ独特のラインやボリューム感にほれていたのですが。好みは変わって変わっていくのだなあと、思いました。
 好きな絵も年齢とともに変化しています。それで思ったのですが、この「好き」という感情に、どうやら知識も影響をしているような気もします。ポルシェの場合はその設計思想にもほれていたから、ますますかっこよく見えたのかもしれません。そして時代や流行、生育環境、他との相対関係も、影響しているでしょう。
 暴走族が好むかっこいいい車、いやもっと広げてファッション。それぞれの美意識があるわけですが、流行に流されない、確かな目を子どもに育みたいとも思っていますし。
 このような話を書いたのは、なんとなく「鑑賞の授業」と「美意識」について考えていくためのひとつのヒントになる気がしたからでした。

 「鑑賞(観賞)」すべき対象は美術の作品の他、工芸やデザインなど様々な対象が考えられますが、いつか授業でファッションな身の回りにある工業製品などを対象とした鑑賞の授業を試みたいと思っているのでした。この鑑賞の授業の場合、授業の意図が違ってきますが、ただ美術の授業が日常と深く関連していると視点を大事にしたいと思っています。

 ひとつの試みとして「よいデザイン」とは、ということについて考えてもらうために「幼児用の水性フェルトペン」を5種類購入し、生徒に実際に、手に取って確かめてもらったところ、やはり徹底的に子どもの側に立ってつくられた商品をちゃんと見抜くのでした。「比較」することで、理解できたのです。デザイナーのその志の高さが、ちゃんと子ども達にも伝わっていました.いわゆる、他の鑑賞の授業とは違い、美意識を変えていく事がねらいです。よいデザインとは何かというテーマです。

 実はある教科書会社の図版の中にフォルクスワーゲン車の「ニュービートル」が取り上げられていました。(私は発表されたとき、欲しかったのですが。)
 しかし、数多くある車の中でなぜ?と思ってしまいました。現在求められるカーデザインの方向からすると違うものでしょう。当の環境や安全を徹底して考えて来たフォルクスワーゲン社の象徴とすべきものではないでしょう。ゴルフをもとに、あのボディを載せたものですから。
 よいデザインかどうか(単なる好みではなく)となると疑問が残ります。

 木を扱う授業の時は、法隆寺の宮大工故西岡常一さんの話を紹介します。
木を手にした子ども達の表情が違って来ます。木を見るときの意識が変わって来ます。
それは子どもの「美意識」をかえることにもつながります。

 なんだか、いろいろ書きましたが、そのうち整理しなければならないかなと思っています。

 もしかしたら今考えている授業は「総合学習」「技術科」の一部に持ってくるのがよいのかもしれませんし、あえて美術でやっていく方法もあるでしょうし。時間数が削減されていますから、限られた中で考えていかなければなりません。
 また、指導要領でうたわれている「造形的なよさや美しさ」という言葉についても考える必要があるかなとも思いました。

アメリカの鑑賞教育


04/09/17(17708)
 庄子君の授業をきっかけでアメリアさんの提唱する対話型の授業について、福本先生にメールを出しました。(お忙しい中すいません!)

福本謹一先生(兵庫教育大学教授)からメールをいただきましたが、その中で、この内容はぜひ皆さんにもお知らせしたいと思いましたので、以下に公開します。(福本先生の了解済み)

「アメリカの美術教育のことは、知らないわけではありませんが、あちらの教育事情と日本ではかなり違うので、美術批評というか、自分の意見を言葉としてまとめたり、発表するという下地作りから始めないといけないですよね。

 アメリカは最近、トム・アンダーソンらがVCAE(視覚文化美術教育)なるものを打ち出していて、その本もつい最近でました。数人で、今訳本を出す計画が進行中です。
DBAEにしてもVCAEにしてもアメリカで適合しても、日本には合わない部分が多々あるので、このVCAEを積極的に評価するものではありませんが、比較をすることは重要なので、訳本を出すことになったわけです。

 私自身は、鑑賞という言葉を使うのがあまり好きではないので、「観賞(admiration)」の方がまだ合っているような気がします。
 「鑑賞」という言葉は基本的に芸術作品に対象を限定する傾向があるからですが。
それと表現と鑑賞というように二元論的に捉えることに終始するからです。

 アメリアさんの実践は魅力的ですね。ただアメリアさんのいう「誰でもできる」はちょっと無理かもしれません。
美術館教育から出発していますから、暗黙のうちに芸術作品を中心に考えるのと、キュレイターというか学校では教師が「与える」作品から出発しますよね。
ある程度というかかなり芸術作品の理解がないとできないので、子どもがいきなりこれ先生どう思う?から出発するのが難しいところがあります。
「マネキンってアートだと思う?」というようには始めれないので、そこを拡げようと言うのが、VCAE視覚文化美術教育でもあるわけです。」


☆VTS、VCAE、DBAE、キュレイター、ファシリテーター、admiration、と私に似合わない横文字が並びます。
 異文化の中での研究ではありますが、福本先生のご指摘されている通り、「比較」しながら学ぶこと高めていけると思っています。
 詳しくは、「ArtEdudation福本研究室」の中のWebAE「鑑賞と教育」(リンク集>美術教育研究会)をご覧下さい。「鑑賞」の授業を考える場合必見のサイトだと思います。
日々の授業をつくる上でも参考になります。


☆上の写真は「札幌芸術の森」


おすすめホームページ:
WebAE誌「鑑賞と教育」
*美術教育を広げるために
☆東京都図画工作研究会


福本謹一先生の「Web AE 鑑賞と教育」が更新されました」

04/10/07(19038)

 旭川の庄子展弘くんが旭川の全道造形教育研究大会で公開した「対話型の鑑賞授業」~「まなざしの共有」が、福本先生のサイト「Web AE誌 鑑賞と教育 第8号」で紹介されました。
マサチューセッツ美術大学のアビゲイル・ハウゼン氏とニューヨーク近代美術館の共同研究で明らかにしてきた「鑑賞能力の発達段階」を押さえつつ、庄子君自身が実際の授業で試行してきたものです。
 庄子君の実践が広く知られるのは同じ仲間としてうれしいです。また、こうやって美術教師がつながりながら、教育力を高めていくことも本当に今必要なことだと思っています。特にここ数年は。5年後に頑張りだしても手遅れかもしれませんから。
 石狩でも最近鑑賞が話題になっているので、福本謹一先生の「Web AE 鑑賞と教育」は注目です。
(なお庄子展弘くんの指導案は私の「ダウンロード美術資料集>題材開発資料」からダウンロードできます。

鑑賞の果たす役割


 庄子君が鑑賞について授業後の考察したものを、送付してくれました。一部を紹介します。
「今回の対話式の鑑賞方法の課題は多いです。どの作品を提示するのか、生徒からの発言をどう交流させていくかというワークショップ的な方法。
今回用いた板書(ファシリテーションマトリックス)など意見の交流をさらにわかりやすくする方法の改良。
どこまで作品を研究しておけばいいのかなどなど、研究する課題は多いです。
 しかし、美術科における鑑賞に役割は重要視されています。
他人の意見を鵜呑みにするのではなく、美術作品について、自分で意味(価値)を生成する。
たとえ学校を卒業して、作品制作することがなくなっても、自分にとっての美を求めて日常の生活の中に、色や形の組み合わせの中に自分らしい美を見いだし生きていけるのではないでしょうか。
それこそが、美術科における生きる力につながってくるのではないかと思います。」

 今回、庄子君の研究からいろいろと勉強させていただきました。ありがとうございます。
(正直、負けていられないなーと思う山崎でした。でもいいものはいい。)
 庄子くんの感想に「(研究会の)猛暑の中制服を着込んで、だれずに最後まで意見を言ってくれた生徒たちに感謝したいと思います。」という一言がありました。こんな教師の姿勢が充実した対話型の鑑賞授業をつくるのだと思います

美術教育を広めるための工夫

04/10/06 (18950)

 今月15日にある石狩の図工美術部会の研究会(1日日程)の事前打ち合わせをしました。
指導案集の中に、石狩市の井上先生(副部長)が「美術教育を広めるための様々な工夫」について様々な案を出してくれていました。こんなことをもとに少し話し合いを深めてみたいです。


感じる心の感度をあげる。

04/10/05 (18875)
 私の学校の「文化発表会」が終わりました。総合学習の担当だったので、ハードな日々でした。全校や学年での発表は、心に響いてくるものがありました。発表に思わず引き込まれてしまいました。
 発表と言うと、ついテクニックに目がいきがちですが、それよりも大事なのは生徒自身が人に伝えたいと言う強い意志を持つことです。
 そのため総合学習では「感じる心」や「共感する心」の「感度」を上げてあげることを大事にしています。
 だから講師の方々に多数来ていただいたり、学校を出て学んだり、「ホンモノ」に触れる機会を多くつくるようにしています。美術教育との共通点の何と多いことか。

美術教師のつながり(ML)

04/10/01 (18683)
 現在熊本の西尾さんが呼びかけている全国造形教育教育研究大会のメーリングリストはもうすぐ30人に達しようとしています。これ以上美術教育を衰退させないためにも、横のつながりが大切だと考えています。

ID for Web Life


04/09/30(18601)

 総合学習の発表会に向けて忙しすぎる日々が続いています。ぐっすり寝たい。
 学校でデジタルステージ社の「ID for Web Life」というホームページソフトを購入しました。これを使って生徒作品を公開予定です。年内公開が目標。
 このソフトはとにかく簡単でありながら、テンプレート類が充実していて、かっこよいウェブサイトができあがるのが魅力。福島の造形教育連盟が、このソフトを使っていて、新鮮さを感じさせます。

教師の授業中の言葉


04/09/27(18397)

「美術教育HOTひろば」の人見さんのサイトが更新されていて、1年生の「絵文字」(人見さんのネーミンブは美文字)と2年生の木材工芸が、実践発表されていました。
絵文字では「失敗を分析して根気よく指導していくこと。(大事なんだよなあ、この科学性も)
木材工芸では、心をこめて木を彫るために「木の声を聞きなさい」と言って指導しているそうです。この「指導の言葉」いいですねえ。生徒は?と思っても心にひっかかりますね。さらにビデオ鑑賞と関連づけ、木についての理解を深めさせるようにしているとのこと。
(私は木と言えば西岡常一氏の文章を読んで聞かせています。)
ところで、指導の言葉に教師の指導観が出てくるのですよね。そういえば音楽の教師が「指導言」といって授業中に生徒に言う具体的な言葉を検証しながら研修していたものを見せていただきましたが、面白かったです。
 人見さんのサイトはできたてほやほやですが、もっとアクセスがあってよいサイトだと思っています。ぜひ、どうぞ。


共同研究はおもしろい

04/09/23(18160)
 昨夜、小学校の高木くん(新卒2年目)と小学校2年生の図工の授業の指導案検討をしました。二人で話しているうちに、いろいろアイディアがわいてきます。
子どもの反応を想像するとわくわくしてきました。「授業者が楽しみになってきました。」という高木くんの笑顔が、何よりよかった。
 小学校の先生と話すと中学校の授業の見え方がまたすこし違って来ます。小学校と中学校を見通して図工美術で育てるべきことが見えてくるからです。
 そういう意味で石狩には小中を通しての基礎基本があるので話し合いが同じ土俵になります。共同研究はおもしろい。

図工美術のよさを伝える


「第8回 図工大好き子ども美術展(東京)」のホームページを見ていたら(会場の様子)、作品と共に子どもの活動場面の写真(説明付き)が展示されてました。
 研究会や実践発表では見かけますが、大人も見る作品展で、このような企画をするという考え方に「なるほど!」と思いました。
 図工美術の本当のよさを理解していただくのに、とても効果的な方法ではありませんか!
映画「トントンギコギコ図工の時間」を見て、感想を寄せられた方も、その作品をつくる子ども達の姿に感動していることが、わかります。リーフレットにある親の言葉が紹介されていました。
(映画を見て)「自分の子どもがつくった作品がなんだか宝物に思えて来ました。」


大人になって生きる力~鑑賞の力


04/09/21 (18028)
「ピースフルアートランドびそう」の高橋さんに「そのうち、高橋さんの視点から美術教育で、こんなことをやっておいてくれると、大人になったとき、いいんだけどなというようなさりげないお話を聞かせてほしいのですが。」というメールを送りました。
(高橋さんは普通の会社員の方です。教育関係者以外の方の声を聞きたかったのです。)
本人の了解の上、非常に大事な視点が含まれていると思いますので紹介させていただきます.

「(前略)物の見方を学ぶという点からいえば、美術鑑賞の時間がもっとあれば!と思います。自分の中では1回くらい授業で美術館に行ったような記憶がありますが…。
でも、ほとんどその時のことは覚えていません。それは美術鑑賞を行う前のレクチャーと鑑賞後のフォローがなっていなかったせいではないでしょうか。
確か自分の好きな作品を1点選んで、それについての感想を述べたか書いたと思います。
この「好きな作品」というのが、意外と曲者かもしれません。
自分の感覚に合わないものはスルーしてしまうわけです。
よくわからないものもスルー。
これではそれまでの自分にはなかった物の見方を学ぶ、もしくは見出す機会を失うだけなのではないでしょうか。
あえてよくわからなそうな現代美術の作品を課題として選択する、もしくはある作品とある作品とを比較してその違いを探す、というようなことを行えば、なんでこれが美術作品といえるのか、どうしてすごいのか、時代とともにどう違っていくのか、一体何を意味しているのか、と自分で新たなものを探して考える機会になるのではないでしょうか。
 そうした考え方・思考(あるものをさまざまな視点から捉え直してみるとか)を展開するということが習慣になったり身についたら、大人になっても非常に役立つのではないでしょうか。(こうしたことは美術館に行かなくてもできることだとは思いますが)こうした記憶に頼る授業ではなく、考え方を学ぶ授業というのも必要ではないでしょうかねぇ。ということで、個人的にはデッサンの時間を少なくしても、テーマがしっかりした美術鑑賞の時間を増やすのが大人になって役立つのではないでしょうか。私はデッサンの時間が好きでしたが…(後略)」


 高橋さんの「自分の感覚に合わないものはスルー」というご指摘と「大人になって役に立つ力」としてご指摘された内容、本当にそうだなと思いました。鑑賞授業を考えていく上で大変参考になるものです。
 私の抽象絵画の授業は、大人になって現代美術を「わかんない!」と言って欲しくなくて始めたのです。つまり大人になってから役にたつであろうと考えての事です。ですから、この授業では「カンディンスキー・ピカソ・ブランクーシ」の言葉が重要になってくる訳です。

 ただ、「あるものを様々な視点からとらえてみる力」については、私はまだ不足していると思います。
ちょうど、先日自習時間に「美術の鑑賞ビデオ」を見せたのですが、つまらなそうにしていた生徒に「どうしたの?」と聞いたら「だって好きな絵ないもん。」これが気になっていたのでした。(ビデオを見せただけにせよ)これまでの鑑賞の授業の弱さが出て来たのかもしれません。

山崎君、足元を見なさい


 現在2年生で「MY MARK」という授業を始めました。
しかし、導入時教師の私の力みや思い入れが強すぎ、結果として、教師の話が長過ぎでした。
 授業中の生徒も生き生きとした表情ではなく、まあ、聞いていると言う感じのような気がしました。デザイナーである川崎和夫氏の車いすのマークに対する彼の思いを伝えたのですが、やや内容が高度過ぎたことと、導入時ではなく、アイディアがまとまってきた段階でやるべきと判断しました。心の中で「山崎君、足元を見なさい」という言葉が浮かんできました。反省。
改善した結果、今日の授業は、生徒の反応もよかった。教材研究不足でした。

▲写真は「札幌芸術の森」

おすすめホームページ:
Peaceful Art Land B-sou
美術教育HOTひろば
Web AE「鑑賞と教育」

04/10/10(19302)

★「リンク集>子どものための資料室に2つ追加」

 一つは「山梨県立近代美術館」の「ミレー作品の鑑賞の手引き」。「鑑賞教育の手引き」も含まれています。最初にミレーの作品を先入観なしで見せてから、このサイトを訪ねさせたいものです。なお、ミレーに関しては「ピースフルアートランドびそう」さんでもくわしく解説しています。
 もう一つは「日本パウル・クレー協会」。クレーの雰囲気がよく伝わって来ます。サイトも上品でいい感じです。

見る、知る、考える、述べる鑑賞授業


04/10/09(19211)

 熊本教育大学の緒方信行先生より鑑賞の授業(中学校3年生)の指導案をいただきました。(緒方さん、ありがとう!)

題材の概要は
「1401年ルネサンスが始まろうとする15世紀元年、ある洗礼堂のレリー扉をめぐる熱きコンクールがありました。最終候補に残ったのがブルネレスキとギベルティ。…子ども達にそのコンクールを再検討してもらいます。」

指導観(考える力を育てるための)
「まずは直感での評価から始め、次いで、そのころの時代性やイサクの物語などを紹介し、知識を与えた上でコンクールの検証を行う。生徒がどちらに評価を下しても構わないが、大切なのは、得たある程度の情報をもとに考える、という行為そのものである。
 作品評価に関しては2年時の鑑賞「あなたも審査員!」で扱った経緯がある。テーマや美術的な時代性からの判断に加え、画面構成上の観点からも考えを深めさせていきたい。
 鑑賞に関しては、熊大吉川教授の鑑賞学「見る」「知る」「考える」の3段階思考に、「述べる」という段階を明確に取り上げ4段階とする。」

 緒方先生は、鑑賞の中に「知」を持ち込んでの授業を構成しています。ただしここでの知とは一般的な作品の評価としての「知」ではなく、作品をより深く理解するための「知」です。
 また審査について班で話しあうことで、当然知的な部分での話し合いがなされることになります。中3ならではの授業といえるかもしれません。

「知る」ことによって、あるいは「話し合う」ことによって作品の感じ取り方を深めたり、新たな発見をする。これは美術作品を鑑賞する大人がたどるひとつの道でもあると思います。
 生涯学習としての基礎を培う美術教育として、このような視点の授業もまた大切であると思いました。
 鑑賞の中での「知」の部分の扱いや鑑賞の作品としてどのようなものが適切であるか、これからも考えていきたい部分です。
 極端な話マルセルデュシャンの「泉」を、ただ見せても「???」ですし、かといって名作と称するものを美術史上の作品の価値や定説から入り、知識として与えても…。
 子どもが鑑賞はおもいろい!感動した!と思えるような体験を義務教育の中で体験させたいものです。簡単に言うならば感じ取る心の感度をあげるようなそんな授業をしたいものです。
 最近は鑑賞のこといろいろと考えさせられます。

 緒方先生の提案のある授業は刺激になりました。ホームページ「美術・夢創造科」の更新を楽しみにしています。



観賞と鑑賞(訂正記事)

04/10/08(19105)

以前この日記で福本謹一先生の言葉を間違って記載しました。以下が正しいものです。
(もとの文も直しておきました)お詫びし、訂正させていただきました。今後慎重にしていきたいと思います。

 私自身は、鑑賞という言葉を使うのがあまり好きではないので、「観賞(admiration)」の方がまだ合っているような気がします。
 「鑑賞」という言葉は基本的に芸術作品に対象を限定する傾向があるからですが。
それと表現と鑑賞というように二元論的に捉えることに終始するからです。

全国造形教育連盟のメーリングリストに参加しませんか。


 ここ数年は美術教育にとっても大事な時期に来ていると思います。こんなときだからこそ、美術教師がつながりあっていくことが必要と思います。メーリングリストによって情報交流を盛んにしたいものです。参加意思のある方は、私までメールを下さい。
所属団体など立場の違いはあるでしょうが、今はそうも言っていられない状況ではないかなと考えています。大きなうねりに飲み込まれないためにも。
メーリングリストは熊本の西尾隆一さんの手によって管理されています。
このようなことを提案して下さった西尾さんに感謝!


▲「札幌芸術の森」

おすすめホームページ:
★美術・夢創造科
*ロダンの鑑賞
*子どものための資料集

人間の頭の中こそおもしろい

04/10/11 (19381)

 今日は栗沢町の美流渡(みると)のM.バッバチさんの「スクラップアート美術館」というところにいって来ました。古い建物を改装した手づくり美術館です。
 ババッチさんに案内されて2階にあがったら、楽しい作品がどーんと目に入って来ました。
(上の写真がそうです。)
なんだかもう色と形が楽しげに語りかけてくるという感じです。
 そこでいろいろなお話をお伺いできました。
そこで、子どもの教育論になってしまいました。
 バッバチさんのお話しによると、子どもはこの作品を見てもそんなに興味を示さないそうです。作品は動いたりしないし。
 子どもにとってはゲームなどはおもしろいでしょうが、本当は面白いことは、外にあるんじゃなくて「自分の頭の中にあるんでしょうね」。子どもたちは先に行きすぎてしまって、大事なことを失っているのではないかというお話もされていました。
 頭の中だといろいろなことが想像できておもしろい、自然の中にいて美流渡の自然に触れていると美術の作品を見るよりおもしろい、自然は先生です、日本の美術などはなんか空気が重いものが多いので、楽しいものをと思ってやってきました、など様々なお話を伺えました。
 私が、一番印象に残った言葉は「おもしろいことは外にあるのではない。人間の頭の中こそおもいろい。」という言葉でした。
 今日バッバチさんにお会いできて本当にうれしかった。今年還暦を迎えられるとは思えません。若々しい感覚の方でした。
 美術館は休日のみ開館。入場料100円。近くには、フィンランド調のログを意識した温泉「メープルロッジ」があります。

ババッチさんの言葉


「廃品を拾い厚め廃品アート作品をつくり続けて32年、全国各地で発表して来ました。
私の作品は、廃品を故意に傷つけたり変形させたりしないで、素材の持つ美しい姿をひきだし、現存の形や生物たちの架空の擬態として見立てて変身再生させています。
 捨てられモノの哀れみを忘れさせてくれるユーモラスな表情を見てほしい、そして愛しんでほしいし話しかけてほしい。きっと心豊かになります。
 私の作品はたくさんの職人やデザイナーが営々と築きあげた歴史の上に成り立つ作品で、私一人の制作物ではありません。
いわば私はコンダクターなのかもしれないし、錬金術師なのかもしれない。
モノ達の有終の美が、違った所で運命的な出会いをし、私の手の中でモノの愛し子として甦った、それはスクラップアート。」
(「キロロの森美術館・スクラップアート展」のパンフレットより)

なお、ババッチさんの新刊本があります。
「モノ・リサ」―捨てられたモノたちが甦るリサイクルアート M.バッバチ著
 出版社: 新風舎 ( ISBN: 4797444851 ) 2004年07月刊

子どもの芽を伸ばして下さい

04/10/13 (19550)

ババッチさんから応援メールをいただきました。感謝。

「子どもたちの芽を伸ばして下さい。これからの社会は発想の豊かな人しか生き残れません。
機械として使われないためにも。そして優しさや感謝の心を育てて下さい。ヘ理屈はいらない。ババッチより」

短い言葉に込められたババッチさんの言葉、重みがあります。


美しい形にこだわる

04/10/14 (19662)

 今日、マークデザインの授業で、アイディアが決まり、いよいよ下がきの段階に入る前に、形の美しさにこだわるようになってほしくて、ディック・ブルーナのミッフィーを黒板に描きました。生徒は「似てない!」といいました。
 笑いが起こりました。(以前バルタン星人を描いた時は感心されたのですが…)
 シンプルだからこそちょっとしたゆがみで、こんなにもイメージが違うということがよくわかってくれたようです。
(追求する場面では「くらべる」という行為を授業の中に取り入れるようにしています。)
 美しい形を生み出そうとしている行為そのものが大事なのだと思います。曲線を何度も手直ししながら、よくやっていました。
 美術の授業では生徒自身が「こだわり」を持つと、やはり素晴らしい色や形が生まれて来ま
す。

雪舟の『慧可断臂図』の鑑賞授業


 11月16日、滋賀大学教育学部附属中学校の人見和宏さん(「美術教育HOTひろば」)が研究発表会で公開授業をするそうです。2つ!
 1つは1年生の必修で,雪舟の『慧可断臂図』を鑑賞する授業。
もう1つは2,3年合同の選択みかた学習というもので「身近な画像情報の秘密」と題して,雑誌や広告の写真画像を見て,そこに施された画像加工を読み解くものだそうです。
 どんな授業なのだろう。楽しみです。

叔父とお別れ


04/10/22(20251)

 私の大好きだった叔父が心筋梗塞で突然亡くなりました。私のことを今でも「正明ちゃん」とよんでくれる叔父でした。私は幼稚園の頃は体が弱く(信じられない)医者のすすめから母親の実家である新篠津(しんしのつ)村の叔父(農業)の家で過ごすことが多くなりました。小学校の頃の夏休みや冬休みはほんとんど叔父の実家である新篠津村で過ごしました.教員採用試験で落ちてしまったときは農業の手伝いをしました。(本当に厳しい仕事でした。しかし貴重な体験でした。)
 叔父は私の人間形成に大きな影響を与えてくれたのだなと改めて思いました。
小学校入学前は、よく絵を描きました。叔父は私の絵を見ては心からほめてくれて、お客さんがきたときなどは、わざわざ私の絵を見せて自慢してくれるのです。今もその時の光景は忘れません。子どもですから,うれしくてどんどん描きました。そんなことがあって、私は絵をかくのがいつのまにか大好きになっていたのです。叔父のトラクターの絵を描いた時などは部屋に飾ってくれたほどです。
 そして当時の豊かな自然環境。うちわでホタル狩りをしたことなども忘れられない思い出です。どじょうすくいをして一升瓶びっしりにしたこともありました。川にこっそり、いとこと沢ガニを捕りに行って溺れた私の命を救ってくれたのも叔父でした。(溺れる私を見ていたいとこが泣き叫んでいるので、農作業をしていた叔父が異変に気がつき川に飛び込み救い上げてくれたのでした。)
 いつも私の話を真剣に聞いてくれた叔父。いろんなことに感激する感性豊かな叔父。本当に信じられないくらい心のやさしい方でした。
 英夫おじさん、今まで本当にありがとうございました。私が今こうして美術教師をしているのもおじさんの影響も大きいと思っています。
 幼い頃の体験がいかに大きなものであるか、叔父との別れをめぐっていろいろと考えさせられました。

アクセス数20000を超えました


 メインページのアクセス数が20000を超えました。見ていただいた方々に感謝。
(先日開催された石狩管内の図工美術部会でも伊藤先生が、分科会の中で私のサイトのこと何でも褒めて下さりうれしかったです。)
 このサイトを通じて様々な出会いがありました。これからもいろいろな方々とつながりあいながら、美術教育を発展させていきたいと思っています。たとえ一人の力は小さくてもつながることで大きくなることを信じて。
メールをくださるとうれしいです。

Apple iMac G5 20inchを購入

04/10/24(20402)

 これまで、使ってきたパソコンiMac DVも5年目を迎え、とうとう新製品を購入。
20インチのディスプレイは迫力もので、広くて使いやすい。シンプルなデザインで非常に気に入っています。使いやすくて、ウイルスも関係なしのパソコン、学校でも使われるようになったらよいのにと思いますが。娘はループ音楽を使って作曲するソフトが気に入った様子。はじめて目にしたソフトなのに何となく使えてしまうそのデザイン力に驚くばかり。
 それにしてもappleのデザインはいつもオリジナリティと遊び心があっておもしろい。毎日使うものだからやはりかっこよくて簡単に使えるものを使いたい。
 今日、農業を営む新篠津村の従兄弟がFIAT(イタリア)のトラクターを見せてもらいました。
トラクターを見てはじめてかっこいいと思いました。
 私は学生時代プロダクトデザインに興味を持っていたので、工業製品の作り手の考えを想像するのが好きです。
 工業製品のデザインに関する授業などもやってみるとおもしろいのだろうなと思います。
子供用のフェルトペンを使ってのデザインの授業(鑑賞)はおもしろかったです。
 何でこの部分はこんな形をしているのだろう?子どものことを真剣に考えてつくっているのはどのペンだろう?生徒は比べることで、その違いに気がつきます。(その商品が製造中止になり、もうその授業はできませんが。やはりキャラクターものの方が売れるようですね。残念。)


第54次 合同教育研究全道集会

04/10/27(20728)
 29日から3日間深川で合同教育研究集会が開かれます。私は6分科会の美術教育の共同研究者としての参加です。本当はこんな肩書きはないほうが、よいのですが。なんだか自由に話せない感じです。といいながら自由に話してしまうでしょう。きっと。
 思えば、このホームページを本格的にはじめたのは、昨年の会議の中で「美術教育を広める」方法として参加者のみなさんからアイディアを出していただいたのがきっかけです。
あとでわかったのですが、ホームページのアイディアを出してくれたのは旭川の庄子くんだったのです。
 今年も様々な方との出会いがあります。
石狩からは、田嶋さんがレポート発表、川名君が司会という形で参加。
楽しみです。

合同研究集会修了

04/10/31(21152)

 今日で研究集会が終わりました。共同研究者としての役割は充分果たせなかった気がします。
反省多々。しかし、今年も様々な出会いがありました。石狩から参加した田嶋さん、傍聴で参加した恵庭の佐藤君、二人とも行ってよかったと何度も何度も話していました。それを聞くとうれしかった!


おすすめホームページ:
☆BabatchiのおもしろArt land
☆美術教育HOTひろば

難民キャンプの子供たち~絵と写真展 





深川市の「アートホール東州館」での企画展「ぼくたちはここにいる~難民キャンプの子供たち~絵と写真展 HLPJ主催」にて。説明をしてくれているのは渡辺貞之館長。
昨年度はテレジン収容所(アウシュビッツ)の子供達の絵の企画展をしました。
表現とは何かという本質を考えることになります。
なお、この難民キャンプの子供達の絵は既に遺作となっているものも。
下にリンクをはっておきます。(ART HART)

免許外で美術を担当している先生や図工の指導でとまどっている先生への支援


2004/11/02(21413)

 合同教研であらためて地方の図工美術教育の実態を思い知らされました。
専科が圧倒的に少なく、互いに研修しようにも、人がいないという実態。
図工美術教育を教科として残していくためにもこのような地域への支援をしていかなければいけないと思いました。
今はインターネットという武器がありますが。
(本当は会って直接授業づくりなどの支援をするのがいいのですが。)

 やはり「図工美術教育支援サイト」をつくる必要があるのかもしれません。しかし、サイトを開設したいとは思っていますが、そこに費やす時間やお金のことを考えると勇気が必要です。

 今回、美術免許がない先生が美術授業のレポート発表をしてくれました。真摯な姿勢で美術教育に取り組んでいました。そんな姿を見ると「支援サイト」があればと思います。
 実は4月頃より構想を練っているのですが、「山崎くん、足元をみなさい」とか「お前にそんな力があるのか」という内なる声も聞こえて来たり。

とりあえず、リンク集を充実させて来ましたが。

 酒井式などにとびつくのは、良心的な教師なのだと思います。昨年、研究会の中で酒井式の実践発表を批判しました。その実践を発表された誠実な若い先生でした。図工の指導に困っていて図書館に行ったら「酒井式」の本がたくさんあって、これなら子供も描けるようになると思ったのだそうです。
 私の住む北広島市の市立図書館には「キミ子方式」本が多数あります。私の娘がその本を借りて来ましたが、結局、「描き方が決まっていて、つまんない」ということで結局は読みませんでした。

 各図工美術教育研究団体でも、このことについて取り組む必要があるのではないかと思います。「隗より始めよ」という言葉が浮かんできました。

寺内先生の手のひら絵本


2004/11/03(21529)

 寺内先生のことは渡辺先生を通して知りました。おもちゃの作家である寺内先生は子育ての講演会などで「手のひら絵本」をすすめています。子どもの前で、両手で絵本を作り、想像のお話を読んであげるのものです。私も昨年深川で実際にみせていただき、感銘を受けました。
 そしておもちゃづくりのコンセプトも同様です。公文などから発売されている知育玩具などに疑問をもっていた私は、寺内先生の主張に共感します。

 そして現在世の中が「学力、学力」といいだし、文部科学省から全国一斉の学力テストの実施をするとのこと。しかし、どうして幼児期こそ大事にしないのでしょうか。目先の受験学力に右往左往していては、乾いた人間しか育たないように思います。

 「知る」ことより先に「感じる」ことが大事だと思うのです。
私には寺内先生の主張もそしてレイチェル=カーソン氏の主張も同じことを言っているように思えます。

 美術教育の中で技法が話題にされます。技法を知らないと絵が描けないのでしょか?子供の絵を理解するのになぜ主題がもっと話題にならないのでしょうか。つまり子どもにとっての「表現」とは何かを考えないと、不毛な美術教育論になっていくと思うのです。

 寺内定夫先生の「絵を聴く」という考え方は、大人が知っておくべきことだと思います。
(リンク集>背景>「寺内定夫の子育て塾」をご覧下さい)


作品だけからはわからないこと

04/11/04(21635)
 今日2年生の「マイ マーク」という授業で、ある生徒が、曲線を何度も何度も手直ししながら描いていました。その線がどんどん美しくなっていくのです。美しい形を生み出すことにこだわる姿勢は大切だなとあらためて思いました。得意な生徒であればおそらく1分で終わってしまうかもしれません。しかし、彼のこの姿勢は他の場面にも転移していくだろうと思います。

 また曲線を生み出すために数学的な比例関係を考えて形を書いている生徒もいました。
紙に計算しているのです。補助線は全て消しますから、結果として残った線はたった2本です。

 またマークですから、使用する色数は少ないのですが、それでも配色カードを見ながら悩んでいます。

 これらの生徒の素晴らしい取り組みは、完成作品だけからはわからないことです。
 自分のマークということでこだわりは大きいのだと思います。やはり「かっこいいい」ものをつくりたいでしょうから。

 生徒に時々言っています。出来上がった作品はもちろん大事だけれど、今悩んだり迷ったり苦労したり、このように描いている瞬間が大事であるということを。

美術教育支援~インターネットの可能性

04/11/06(21775)

「伊丹つ子美術館」の岡田さんから、メールをいただきました。
インターネットを通じて、見知らぬ小学校の先生の授業に協力したそうです。
役に立つ喜びと、ネット公開の重み、インターネットの可能性を感じているとのことでした。
本当にそうですよね。
 一人の先生をサポートしたことが結局は、多くの子ども達のためになると考えるとうれしいことです。
 今図工美術教育が軽視されている中、このような地道な努力やネットワークづくりも大事だと思います。
 先日、小学校の先生に、リンク集>Web子ども美術館>「伊丹っ子美術館」を紹介したばかりでした。そんなときに岡田さんからのメール。なんか不思議です。

 北海道の沼田町で商店を経営している久保さん(HP「共犯新聞」)という方からメールをいただきました。
私のサイトを時々見ていて下さるとかでうれしかったです。私のサイトの記事をギャラリーどらーる掲示板で紹介していただいたとのことでした。見ると渡辺貞之先生のことが書いてありました。つながりが不思議です。

日本美術教育学会からの発信~これからの美術教育


 先日京都で開催された「日本美術教育学会」の講演会の主旨が紹介されていました。
以下に紹介します。

「神林恒道会長は、大会の開会挨拶で、今日の美術教育における”つくること”偏重の実態は、表現における”みること”の意義を見失ってきた結果であり、”みること”の重要性に目を向けたバランスのとれた美術教育によって、真に美術を楽しみ愛する「美術のサポーター」を育てなければならないと指摘されました。
そして大会のまとめでは、共同討議などにおける「いつまでも古い理論や、過去にこだわる発言や考え方」について厳しく指摘をした上で、美術嫌いを育てるような「美術の教育」がまだまだ蔓延する中、教師や研究者がしっかり反省し、そして協力して、美術によって芸術を愛する人間を開き育てていく「美術による芸術教育」の新しい原理に目を向けていく必要性を説かれました。」
との記事がありました。

うーん、考えさせる内容です。
先日、ある生徒に「絵って嫌い」と言われたばかりでしたから。 

美術嫌いをつくりだしているということについて、
全道合同研究集会で渡辺貞之共同研究者が基調報告の中で述べています。

なお、美術教育学会の労作「図画工作科・美術科における鑑賞学習指導についての調査」は、参考になります。(調査対象1000人!)


おすすめホームページ:
☆ART HART
☆手のひら絵本
☆日本美術教育学会

▲深川のアートホール東州館での企画展企「ぼくたちはここにいる~難民キャンプの子供たち~絵と写真展 HLPJ主催」のポスター。子どもにとっての表現とは何かを考えさせられます。
写真をクリックすると拡大されます。

雪舟の鑑賞授業

2004/11/07(21862)

「美術教育HOTひろば」の人見さんが「雪舟の鑑賞」授業の指導案を公開していました。
(指導案をダウンロードすることが出来ます)
さすが人見さんだけあって工夫しています。
なるほど、こんな方法もあるのか!
深い教材研究だからこそ生まれてくる方法だと思います。
題材名も「Shall we 雪舟? -雪舟の技を解き明かそう-」となっていて興味をもちます。
鑑賞授業はおもいしろいという人見さんだけあって、参考になります。
人見さんの「美術教育HOTひろば」には、人見さん自身の鑑賞授業の変遷が語られています。

戦術ではなく戦略を~方法ではなく本質を


 なお、上記の人見さんの指導案の目標(評価の観点)に「学んだことを活用する力」という独自の観点が盛り込まれています。
 文部科学省から示されている4観点でよしとするのではなく、今の美術教育を見据えて、どんな力が必要なのかを主体的に考えていない限り、独自の項目など盛り込まないでしょう。

 いま。授業時間数が少ないから「短時間題材」なんてことも言われていますが、本質はそのような対処療法ではないはずです。

 人見さんの設定している「学んだことを活用する力」は、大事な考え方だと思います。
私が考えている「関連づけて考える力」あるいは「つなげる(つなぐ)力」というものと近いものだと思いました。

 最近この「つなげる(つなぐ)力」は教育課程を編成する私たち自身に求められているものだと思うようになりました。(*よろしければ下の「教育課程の編成をクリックして下さい)

 私たちは「戦術」に目がいきがちです(たとえば、おもしろい題材)
しかし「戦略」(たとえば美術l教育の果たすべき役割、目標)をついつい忘れてしまいがちです。

 学校行事をどうするかなどといった場合、方法論に目がいきがちです。
しかし最終的には「ねらい、本質」です。
その行事を通してどんな力を育てるのかということです。
 私も戦術に目がいきやすいので、自戒しつつ書きました。

 先日発表委された中山成彬 -文部科学大臣の学力テスト推進などまさしく「戦術」でしょう。
戦術は注目されやすいです。

さて「教育基本法」「日本国憲法」は時代に合わなくなったから変えるのでしょうか。
「教育基本法」の改定案を見て、その背景にある「戦略」を考えるとおそろしくなってきます。


満足感・達成感を味わわせたい?

04/11/08(21924)
 合同教育研究全同集会の美術分科会で気になった言葉がありました。
それは満足感、達成感という言葉です。
子どもに満足感や達成感を味わわせたいがために、写真をもとにして絵を描いて来た実践が発表されました。中には写真をコピーして方眼を入れ描いたものもありました。
 確かに子ども達は集中しただろうし、熱心にやったと思います。作品の出来映えに感動したかもしれません。しかしです。「表現」ということを考えたとき、どうなるのでしょう。
子どもの思いが見えて来ません。
 美術の授業を通してそっくりに描けた喜びよりも、自分の表したいことが表せたということにこそ満足感を感じる子どもに育てたいものです。

 さて、我が家で犬がやってきました。ミニチュアダックスのオスで生後3ヶ月。(とてもかわいい!)
 娘が机の上にあるミニチュアダックスの写真(ポストカード)を見て、絵を描くと言い出しました。この感じからいうとポストカードを見ながら描くのかなと思ってみていたのですが、うたた寝をしている目の前のふう太(犬の名前)を描きだしました。
 顔が見えないとかいって描きにくそうでした。それでも目の前にあるポストカードは見向きもせず、ひたすらふう太を見て描いていました。
 娘にとってふう太を描くということは、犬の絵を上手に描きたいという意味とは違います。(娘は写真を見て絵を描いていたこともありました)ふう太がかわいくてしかたがないという思いがあったのだと思います。
 結果としての絵ではなく、その描いている瞬間が娘にとっては大事なことなのだと思います。娘の絵を見て私が言ったのは「ふう太ってホントかわいいよな!」でした。

 小2のとき、クワガタの絵を描いていた時もそうでした。昆虫図鑑を横にしながら、あくまでも生きているものを描いていたのです。よく動くし、描きにくいはずです。目の前においても、すぐ歩き出します。クワガタに向かって「動くんじゃない。」などと言っていました。気がつくといつのまにかクワガタで遊んでいました。自分で採集してきたクワガタです。これが大事なのだと思います。

 絵を描いているとき、子どもが何を考えているか、そこに思いを巡らせたいものです。
たとえば「自画像」という題材があります。いわば定番です。
しかし、授業のねらいによって子ども達の取り組みの質あるいは考えていることが違ってくると思います.題材名だけ同じで、表現の意味がまったく違うものが多々あります。
 最終的に 義務教育で何を培うのか。また、何を教えて、何を教えないか。

人の役に立てるのはうれしいです


04/11/09 (22006)

帯広市(第一中)の澤田さんからメールをいただきました。
人見先生の鑑賞授業をはじめ、各地の素晴らしい実践が瞬時にわかり、うれしいとのこと。
「”井の中の蛙”状態で、孤独感にさいなまれていた日々から脱却できそうです。」と書き添えてありました。美術教師は一校にせいぜい一人ですものね。
けっこう大きな釧路市でさえ、美術教師が集まっての研修は厳しいようですから。
私のサイトが役に立ってくれるのは本当にありがたいことです。
人の役にたてることは何とうれしいことか。
様々な出会いを通してお互いに授業実践の質を高めていくことは、多くの子ども達の幸せにつながります。

全国の造形教育関係のメーリングリストについて

04/11/09 (22006)
 熊本の西尾隆一さんがメーリングリストの呼びかけ人です。
もうすぐ40人近くになります。まだリストを有効に活用するというところまではいっていませんが、美術教育の危機にある今、互いにつながっておくことは大切だと思います。
参加希望者は、私あてに連絡ください。西尾さんにすぐ連絡します。
西尾さんが管理しているサイトは『WEB子ども美術館」です。
今年大幅リニューアルをしました。熊本県図画工作・図工美術部会のHPでもあります。
その中に「実践事例」があります。小学校中学校あわせて11実践が紹介されています。
これをまとめあげた西尾パワーには脱帽。

美術館との連携による学校美術展


04/11/10(22099)

 帯広の澤田佳子さんが、学校美術展というものを企画しています。帯広の美術館が企画した事業との連携です。その実践資料を「ダウンロード美術資料」に加えました。
この学校美術展は親にも鑑賞を呼びかけています。これもポイントだと思います。家庭でも話題にしてくれたら、素晴らしいことですね。
また、美術展を盛り上げるちょっとした工夫も参考になります。
生徒の具体的鑑賞方法では課題がありつつも、校内や親に美術科の存在感を示す実践だと思います。
実際の生徒の鑑賞場面では、工夫次第でより価値のあるもにつながっていくでしょう。
リンク集に「美術館との連携」を加えていますが、美術館の方でも様々な工夫をしています。
旭川の庄子君の鑑賞の授業のベースはニューヨーク近代美術館(MoMA)の教育担当学芸員を12年間務めたアメリア・アレナスさんのものがベースとなっています。
キーワードは「見る、考える、話す」「まなざしの共有」という概念です。
 この澤田さんの企画と庄子くんの実践がからんだら、おもしろそう。
この記事を書くにあたって、検索していたら「@MUSEM」というサイトを発見。おすすめです。

かつて石狩の伊藤光悦先生(昨年退職)は、教室に複製画を展示し美術館のような雰囲気で鑑賞授業をしたと伺っています。
また先日の石教研図工美術部会の授業研究はゴッホの複製画を展示した中で小出先生が授業を行いました。美術館がなくても工夫次第で様々なことが出来そうです。
生涯教育の基礎を培う学校での鑑賞授業はやはり大事だと思います。

なお鑑賞教育では福本謹一先生の「art education福本謹一」の「鑑賞教育を考える」(リンク集>美術教育研究会)が、多角的に鑑賞教育について提案されています。

中2マイマークの授業

04/11/11(22198)

 マイマークの授業で完成した作品を次々と黒板に並べていきました。
たくさん並ぶとなんだかとてもきれい。
早く作品を完成させた生徒は色違いか新図案に取り組むことにしています。
 家でもさらに描いて来たいという生徒もいてうれしいです。
完成した作品は「 ID FOR WEB LIFE」というソフトを使って公開する予定。
何人かの生徒とともにページ作成をしようと思っています。
 それにしてもマークの意図を聞くとおもいしろい。  

作品の完成場面


04/11/12(22260)

 今日、近隣の小学校との交流会があって、小学校の授業を参観しました。ちょうど作品の完成場面でした。
子どもの作品を私が喜んで見ていたら、「ぼくのも見て」などと声をかけてくる児童がたくさんいました。
やっぱり、つくる喜びも大事ですが、作品を通して共感してもらえる喜びを同じように大事なのだと思いました。やっぱりつくったのだから、見てほしいんですよね。
「表現」したことに対し、やはり反応がほしいのは当たり前です。いわゆる「評価」(評定ではありません)というやつです。
「出来上がったら、そこの棚に提出ね」ではなく、完成したらやっぱり、「見せてください」だろうなあと思いました。4年生の担任の先生は、笑顔でうなづいたり、一声かけたり。いい感じでした。
 「先生これでいいですか?」というような授業ではいけないだろうなと思います。
 完成が許可制だとしたら、それは表現が子どものものではなく、先生に満足させるためのものになってしまいます。
 作品を喜んで見せにくる4年生を見て、あらためて作品の「完成場面」の大事さを実感しました。あるいは生徒に作品を返すとき。


おすすめホームページ:
☆美術教育 HOTひろば
*教育課程の編成
☆@musem


▲上の写真は北海道深川小学校の児童玄関の吹き抜けに展示されている作品です。指導したのは渡辺貞之先生です。
「心の花畑」。このタイトルからも造形活動で何を大切にしているのかが伝わってきます。深川小学校はアートがいっぱいの学校です。校内にいるとうれしい気持ちになってきます。


04/11/13(22378)

★「リンク集に3つ追加しました」

「子どものための資料集」に「IPA教育画像素材集」~独立行政法人 情報処理推進機構が提供しています。安心して子どもに活用してもらうことができます。
また、教育目的での利用に限り、この画像を無償で使用できることができるとのことです。
くわしくはIPAの利用規約をご覧下さい。

「生活と美術」に「モードの世紀」を加えました。ファッションなど、まさに美術と大きく関わっています。
日本のファッション史などの読み物もあります。
美術の授業でもこんなことも視野に入っていると違ってくると思います。
私は、授業ではプロダクトデザインを話題として取り上げることが多いですが、ファッションなんかも取り上げていきたいと思っています。
(でもファッションをとりあげる山崎先生の服装が…)

もうひとつ「eiga.com」を加えました。これも美術の視点から見ると、おもしろいですから。
想像画の授業などで関連づけて話しています。
授業中に「映画」が話題になるとまた、反応も違って来ます。

2年生作品だけからはわからないこと

04/11/16(22632)

 作品だけからはわからないことが、たくさんあります。

たとえば、そことを、中学校2年生「マイ マーク」という授業を通して書いてみました

全造連MLが活気でてきました


 MLリストによるメールは本当に刺激になります。毎日が研究会?
 そういえば大分の「a.e.net」の「スフィンクス」の総合学習と美術などみなさんの論議が読めておもしろかったし、勉強にもなりました。
 また東京の「図工だいすき子ども美術展」の「参加校指導者の言葉」(ブログ)。これは本当に読み応えがあります。美術教育を取りまく厳しい状況、あるいは先生方の志の高さも感じ、私も『よし!」って気になりました。ブログにはコメントをつけることが出来るので、コメントしてはどうでしょう?今のところコメントを入れているのは私だけですが。
 互いにつながっていき、力をつけていきたいものです。

石狩造形教育連盟の会議で大失敗


 やってしましました。大失敗。私の学校で、教育美術展のための作品整理と今後の日程確認のための石狩造形教育連盟の会議が設定されていたのですが、その会議場所は美術室でおまけに開始時刻は私の授業中。美術室の後ろに作業の準備はしておいたのですが、生徒が集中して静かだったため、先生方も遠慮されて…。なんだか研究授業みたいな感じになってしましました。
 先生方ごめんなさい!でも生徒にはよかった。先生方がやさしく声をかけてくれたり、感心してくれるので、喜んでいました。
 ところで2008年(平成20年)石狩での全道造形教育研究大会が決まっています。


日本の美術も

04/11/17(22720)
 先日、鳥取県の高校の蔵多敏夫先生からメールをいただきました。以前、美術の言葉集が役に立つとの感想を送っていただいたのですが、日本画家などももっと載せては?というアドバイスをいただきました。
「ピースフルアートランドびそう」さんで、膨大な量の美術家達の言葉を紹介してくださっていたので、「美術の言葉集」には手をつけていませんでした。
 でもこうしてアドバスをいただくと、なるほどと思いました。
いつのまにか偏っているのですね。
同僚の山田先生は今、水墨画に取り組んでいます。

うれしい!


 先日の放課後、同僚が美術作品の傾いた額を直してくれていました。本当にありがたいことです。石狩管内移動美術展の展示も同僚がやってくれました。いろいろな人に支えられて仕事ができているということを忘れがちです。

これは便利!手ぶれ補正カメラ


 PanasonicのデジタルカメラDMCーFX7という手ぶれ補正付きのコンパクトなデジタルカメラを買いました。本当は他社のものを検討していたのですが、手ぶれ補正の魅力で買いました。
 昨日、美術室の中で生徒の作品を撮影しました。
いつもなら手ぶれに相当気を使って撮影していましたが、気軽にドンドン撮れます。
しかもストロボなしで撮影できますから、作品が変に光ったり、周辺光量の低下に気を使わなくてすみます。また、ちょと薄暗い時など撮影できるなど、撮影範囲は大きく広がります。
 ただし、あまりに小さいのでなくすかもしれないという不安はありますが。実は買ってすぐ娘にカメラを見せたら「とーちゃんなら、これなくすんじゃない?」と言われてしまいました。
(本当は作品を撮影する場合は、光源に気を使い、色の管理もしなければならないといけません。フィルムの一眼レフを使っていた頃は、接写台を用意し、フラッドランプという写真用の電球を使って撮影していました。あるいは自然光で撮影する場合は午前10時から午後2時の間など、気を使っていました。)
 撮影した写真は全てMacのiPhotoというソフトで管理。現在7000枚の写真がありますが、目的の写真がすぐ見つかります。20インチのディスプレイとの組み合わせで快適。本当に便利になったものです。

必然的に生れて来るものは貴い。自分はそれを真実と呼ぶ。

04/11/118(22785)

 これは、鳥取西高等学校の蔵多敏夫さんから提供していただいた速水御舟氏の言葉です。
高校教育では「漢字仮名交じり書」の指導が、重要課題となっているそうで、生徒達に、書きたい言葉を探させるなかで、芸術に関する言葉を提示していきたいと考えているそうです。
美術家の言葉って考えさせられることがたくさんあります。
私も高校生の頃、哲学に関する本を読んで、自分の生き方を考えていたことを思いだしました。
「必然的に生れて来るものは貴い。自分はそれを真実と呼ぶ。」なんか、ピンと来る言葉です。
子どもが必然性を感じながら描く、つくるような授業が出来たら、最高だろうなと思います。
 こうやってこのサイトをきっかけに、さまざまな刺激を受け、それがやがて子どもにかえっていくとしたら素晴らしいことだと思います。
 さっそくこの言葉を「ダウンロード美術資料」に加えさせていただき、更新しました。
言葉づくりもこうやって協力してつくっていくのは、うれしいものです。感謝。
 これから、寝る前に速水御舟の画集を見ようと思います。

参考作品を見せる


 小学校6年生の版画の授業に協力しました。参考資料として、小学生の版画を貸したのですが、少し手渡すのが遅くなってしまい、参考作品を見せるタイミングが下絵が終わってからになりました。
 下絵が終わって彫りに入る前に、黒板に展示したのだそうですが、それを見た子ども達が、下絵の手直しをはじめたそうです。これにはびっくりしたそうです。
 また、白と黒のバランスの違いと受ける印象の違いや、光の方などにも気がついたそうです。
結果としてたいへん、よいタイミングだったとのことでした。さらに意欲が高まったそう。
 そして、これらの参考作品は様々な指導者から生まれてきたものですから、多様な表現がありました。これもポイントです。
 版画の主題「自分が輝いたとき」というものですが、子ども達は自分が描きたいものをすでに決めていたからこそよかったかもしれないと話しておられました。

 「参考作品を見せる」ということについて、思い出があります。過去に幼稚園の先生の指導案づくりに参加させていただいた時のことです。
 参考作品を見せるか、見せないかについて話題になりました。幼稚園の先生方で長い論議の末、見せるべきではないかもしれないけれど、さっと紹介しようということになりました。
ほんのわずかだけ見せて、導入に使うことになりました。
 いい先生方だなと思いました。参考作品を見せる時のメリットやデメリットを真剣に考えていましたから。さらに、どんな言葉を投げかけるかなんてことも真剣に論議していました。論議している先生方の頭の中には子ども達の姿を思い浮かべている様子が伝わってきました。


ついにブログをはじめました

04/11/19(22864)
 「美術教育あれこれ日記」は、今日で終わりにし、「ブログ」をはじめます。
やはり、このままでは表現上、制約が多かったためです。
 そして、自分にとって大事な「自然」のことについても書いていこうと思います。
記事としては焦点化せず、散漫になるかもしれませんが…。
ブログ名は「美術と自然と教育と」です。堅いタイトルだなー。



おすすめホームページ:
*学ぶ姿
☆図工大好き子ども美術展
★美術と自然と教育と