ネットで発信をはじめた理由

 2003年11月に「豊かな美術教育を!」(旧サイト)というホームページをはじめました。2004年9月に以下のようなことを書きました。

自分でもホームページでもつくってみようかなと軽い気持ちではじめました。しかし、今は自分にとって重要なものになってきます。
美術教育が必修教科から消えるのではないかという不安がきっかけです。
 逆に言うならば、国民から必要とされていないのではないかということにもなると思います。
 一般的には、絵が上手だとか下手だとか、しょせんは才能や趣味の教科としてしか認知されていないのではないか。また教師の中でも中学校では無免許で授業を持たされている先生(私は体育・数学・社会・技術を担当した事があります。教材研究はもう必死でした。)もいらしゃいますし、小学校では「図工の指導がよくわからない」と困っている先生もおられます。
 そんな先生がたの授業も充実させてこそ、はじめて美術教育の重要性が認知される事になると思います。何とか支援できないものか。
 また、酒井式やキミ子式のみで指導(指示)しようとする授業(善意なのですが)、あるいは見かけの作品の完成度にとらわれてしまう授業(昔の私があてはまります。)、個性という問題を浅くとらえ(人と違えば個性というような)子どもを放任している授業(美術教育史の中で「自由画教育運動」が誤解されて放任してしまった授業が出て来たことと似ているなと思います)、子どもがおもしろがることを優先し、何を育てるかを忘れてしまった授業。美術教育のとらえ違いといえるでしょう。そして私の授業はどうなのか。
 上にあげたような課題をもとに、日本の(大きく出てしまいました)美術教育全体の内容をより充実できないだろうか、そして美術教育はどうあるべきか、どこに向かうべきか、そんなことを考えたとき、このホームページが一つの解決への手がかりになるのではと考えたのです。
 「美術教育の研究会」がありますが、どうしてもその性格上、美術教育を充実させたいという方が集まってのもので、その成果が外に出にくいのです。集まった先生方の中では高まりますが。
 そして、気がつきました。苦労してつくりあげた提言資料や指導案、研究は、どんなに頑張ってもわずかな人の目にしかふれません。サイトにつけたカウンターを見ると紙に向かっての資料作りよりは、多くの人に見ていただけることがわかります。感想メールが届いたりし、勉強になります。 
 ましてや、美術教育の実態について、一般的な大人が知るなどは、一般的に言ってあり得ないでしょう。
しかしWEBサイトなら、いつでも、どこでも、だれでも知る事ができます。
 まず自分から発信しよう、そして多くの人に価値ある内容を提供しようということで、リンク集に力を入れています。
 このWEBサイトでの私の実践は正しいとは限りません。そして、あくまでも今のものです、これから変わっていくものもあるでしょう。また、私よりすぐれた実践はたくさんあります。Web上に出てこないだけで、素晴らしい授業もたくさんあると思います。
 ですから、発信活動をしていくことに少しとまどいもありました。しかし、私は私の立場で出来る事をしていこうと思っています。誰かがやってくれるだろうでは前に進まないでしょうから。
 このホームページをきっかけに、たくさんの先生方(先生以外の方も、生涯教育という視点から)が互いに交流し合い、つながり、子どものためにみんなで「豊かな美術教育を」つくりあげていきたいと思っています。
 このホームページをまじめに作り出してから10ヶ月ほどたちました。その間学んだ事の何と多い事か。勇気と元気が出て来ます。

2004年9月 山崎正明