つくり、つくりかえる。

 美術の授業というと計画にしたがって、目標を持って作品を完成させていくというイメージがあるように思う。けれど、美術の活動はそれだけではない。
 モダンテクニックなども、そうしたものの中に含まれるだろうが、それを作品の補助として使う方法が一般的ではないだろうか。
 小さな子どもが無心に色や形や材料とたわむれ、遊ぶ。それを中学生がやると意味が深くなってくる。
 画面で何かが生まれ、それをもとに、つくる。そして、つくりかえていく。そんな繰り返しが美意識を高めていく。

   
   

まるで、アーチスト。

 この写真は選択美術2年生のものです。彼は、はじめての選択美術で、何をやろうかとまどっていたので、いろいろ提案しましたが、最終的に興味を持ったのがポロックでした。
 必修の授業じゃできないことをしようということで、大きな紙にドリッピング。豪快でした。安易な選択になってしまったのでは?とも思ったのですが、何枚か進めていくうちに、色の選び方や絵の具を落とす勢い、高さなど工夫をはじめました。それがなんともかっこよいのです。時に、手を止めて、落とした絵の具の色を一部手がきで修正したり。全体のバランスを考えているのです。
私は「うーん、まるでアーチストだな!」なんて声をかけていました。もったいないから作品化してみないかと言ったらはじめたのが、こんな仕事です。
彼に、「あのさ、小さな頃、外遊びたくさんしてただろ?」と聞くと、その通りでした。彼が素材を楽しみ、遊ぶ姿を見ているとそう思えたのでした。
小さい頃の様子も聞かせてもらいました。今もやんちゃな生徒ですが。
 こんな活動をしている姿、親にも見せたいなーと思いました。実にいい顔をしていましたから。そして何より、遊んでいるようでいて、美を追究しているのです。

2004年12月

   
   

つくり、つくりかえる

選択教科美術では「自分のやりたいことをする」ということを基本としています。
さて下の写真はドリッピングをしている写真ですが、これをはじめてから3時間目です。最初は絵の具で遊んでいますが、この3時間目は黙々とやっています。二人で廊下で並んでやっています。「楽しい?」と聞くと(笑顔いっぱいで)「楽しいです!」とかえってきました。
 

偶然出来た形から刺激を受け、そこからまた新たな行為がはじまっています。時には手をやすめ、眺めたり.(ものすごく考えているんです)
「つくり、つくりかえる」その過程の中で明らかに色や形や材を通して自分の世界をつくりあげていることがわかります。その追究する姿をビデオでお見せしたいくらいです。

これを見た生徒が「なんか、いいね!」とか「○○に見えない?」とか声をかけます。見る側にとっても話題になります。
 どうしても授業の中では表現というと、あるイメージに向かって制作をすすめることが主になりがちです。これは、つくりながら考え、つくりかえていく面白さがあります。
 またモダンテクニックということで、絵の一部にそれを取り入れるというのも、何だかもったいな気がします。それ自体を楽しませたい。あるいは、そこから発展させたい。

2007年9月