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更新日 2018-07-27 | 作成日 2018-07-27

2年生
「 自分にとって価値あることを絵にし、伝えあおう 」

 
 絵の持つ大きな魅力の一つに頭の中に思い描いたことを、絵を通して目の前に再現できるということがあります。
 またそれらを鑑賞しあうとことで互いの価値観を感じとるという素晴らしいコミュニケーションの機能が発揮されます。
 完成した作品には生徒が書いた解説をつけます。この解説が絵を鑑賞するときのヒントになります。絵だけで自分の思いを表現し切るまでは要求していません。教師や保護者がこれを読むと、絵を見る意識が変わります。そして生徒自身も表面的なことよりもこの題材は中学校2年生で設定しています。彼らは同じ学級で3年生に進級していきます。しかし、現実にはグループが生まれたりし、広い人間関係づくりが希薄になったりしがちです。そこでこの時期に級友の様々な価値観に触れ、互いを理解し、尊重しあうということが大切だと考え、この題材を設定しました。
実際の授業では多様な価値観を表現の中で最大に発揮させるため、表現方法や制作の計画を自ら決定し、すすめていくという方法をとりました。
 制作過程で子どもどうしが級友の作品を見て「おもしろーい!」という言葉を発しました。美術は出す答えがみな違います。そんなことも体験を通して実感してほしいと願って設定した題材です。
 なお、絵を展示する段階では作品に解説をつけます。それを学級担任や保護者が見て生徒理解を深めましょうという提案もしています。
この題材を通して育てたい力。
(1)自ら立てた計画にしたがって主体的に表現に取り組む力
(2)発想を広げ、深めていく力。自己を見つめる力。 
(3)主題にふさわしい表現方法を選択し、表現出来る力
(4)級友の作品からその人らしさを感じ取り、自他を尊重できる力
 授業では最初になぜこの題材について取り組むのかを伝え、さらに想像して描く絵の魅力を多数の作品を観ながら感じとらせるようにします。そのあとはワークシート等を使い、自分について考えます。これをヒントにまずは軽くアイディアスケッチ。主題が決めきれず、悩む生徒も少なからずいますが、ここは自己を見つめる貴重な時間です。「美術難しい!」とう声も起きたりしますが、ここが決まると生徒は意欲的に取り組みます。
発想から構想まで2時間をかけたあとは、「これから、みんなに5時間をあげます。自分の表現にふさわしい方法を自分で決めて、自分で時間の使い方を決めて、必要なものは自分で考え、自分で準備して制作をすすめてください。」
この段階で、表現方法については小学校で経験してきたことを活かすという考え方も示します。ただし、今回は表現方法を選択するにあたっての様々な画材、参考作品などはあえて多くは示しませんでした。それは逆に表現方法に目を奪われて一番大事な主題性が弱まることを避けるためです。参考作品などの提示のタイミングやその内容については慎重な配慮が必要です。

               2007年2月 山崎正明