1年生 「絵文字」

2時間で完成「 絵文字」

 この絵文字は2時間で完成。(A4の台紙にはって感想を書いたのは別の時間)
1時間目「アイディアスケッチ〜したがき」
2時間目「彩色〜完成」
ただし、時間内で出来ない生徒はおよそ30%。しかし、その30%の子ども達も大幅に遅れている訳ではありません。準備と後片付けの時間も含まれていますから子ども達はよくやっていたと思います。1年生です。この題材の前は「自然から学ぶ」という題材で12時間じっくり取り組みました。(ただし、この中にはアクリルガッシュの使い方、スケッチ、色彩の学習、筆の使い方、デフォルメなど多様なものが含まれてます)
 しかし、ここで終わると美術というのは時間がかかるものだし、じっくりやらないといけないみたいに考えてもらっては困るわけです。
 そこで設定しているのがこの「絵文字」です。短時間でも楽しみながら作品が出来るという体験をさせたくて設定しています。授業もいつもと違って時間のことを随分いいます。「あ、あと10分ね」(ただし絵文字そのものが題材としてよいかどうかは別ですが…検討の余地はあるでしょう)
 これまでの授業とテンポがまるで違います。追求したり、楽しんだり、教育課程ではそのバランスが大切だと考えています。
 もうひとつのねらいは、過去に学んだことをつなげてあげることです。1学期にしたレタリングでの形のとらえ方、「自然から学ぶ」でやった多数のアイディアスケッチをしてからアイディアを練っていくこと、色の使い方など。一見バラバラにやっていることを、教師の方で振返らせ、学びをつなげてあげることで、子ども達は力を発揮させると思うのです。
 過去の私はこの学びをつなげるというところが弱かったのです。この学びをつなげることが時間数、削減のうえで特に大事な力だと思っています。
 なお、この考え方はいわゆる「短時間題材」とは違います。


↑台紙は上質紙です。枠を印刷しておきました。こうするとかっこよいのです。また全体を並べて掲示したと全体としての統一感が出てきます。完成した作品を台紙に貼るのことはとても大事です。これをするのとしないのでは作品から受ける印象もちがいます。台紙にはるとき、子どもは学習のふりかえりもしますし、人に見てもらうという意識にもなるわけです。
 感想・解説欄は枠は2分割。2分割したのは新聞が段組みをしているのは読みやすさを考えているというデザインの仕事と同じ考え方であることを説明しました。

↑中には作業の早い生徒もいます。家で完成させてきましたが、ほとんど授業中に出来ていました。

↑作品の下がきが完成するまでに一人あたり3〜6枚くらいのアイディアスケッチをします。「もっとよいアイディアが生まれるかもしれないので一つのアイディアだけで、下がきをしないように話しています。いくら短時間であっても、やはりよりよいものを求める姿勢は大事にしたい。生徒に「人と違うだけで個性的でいいね、ではなく、その個性をみがかなくちゃ!」とよく話しています。

↑「恋」いいなあ。恋にこがれているんだろうなあ。若者の作品は楽しい!
 なお、別紙で短時間でやったこの授業の感想を求めました。これが授業改善のための重要な資料になります。
以下は生徒の感想。

「2時間で終わってしまうのは、私はおそいのであまりにあわただしく、好きではありません」
「時間が足りないなと思ったけれど、楽しかった。またやりたい」
「自分はこういうパッパとした授業は割と好き。だらだらせずスピーディーでいい。」
「あの短い時間でもここまでで色や形を表現出来ると思ってもみなかったので楽しかった」
「2時間はすごく大変だったと思うけれど、意外にそんなに大変ではありませんでした。たまに短時間でつくるのもいいなあと思いました。やっぱり色はとても重大な役割をしているなと思いました。」
「さすがに2時間じゃ時間が足りなかった」
「短時間で描くってきいた時はびっくりして、できるかどうか不安だったけれど、頭を使うし、アイディアも浮かぶし、長い時間をかけてやるより「パッパと描こう」とか思って描けたから私は短時間で描くのも好きです。すっごく頭を使った授業で、できたときはスッキリしました。」
「楽しかった、もう一度やりたい!」
「文字を生かしてデザインするのが楽しかったです。2時間しかなくて、正直大変あせったけど短い時間でも真剣にやれば、しっかりしたものが出来たからよかった。」
「一言で言うなら大変だった。けどそれに付け加えるなら、楽しかった!」

あらためて、生徒の感じ方や考え方の違いを実感します。生徒の多様な個性を生かしたい。
教師のねらいいや意図とのズレも見逃せない。